ステロイド剤外用後に生じた,深在性皮膚カンジダ症の1例を報告した.症例は68歳,男性,農業,ビニールハウス栽培経営.1992年9月頃,左眉毛部に,にきび様の皮疹が出現した.他医にて副腎皮質ホルモン外用剤による治療を受けていたが,皮疹は悪化し拡大した.臨床的に顔面,手背に表面に痂皮,鱗屑を付着し,一部糜爛を呈する紅色局面が存在する.組織学的に表皮直下にリンパ球,組織球,形質細胞,巨細胞の稠密な浸潤があり,部分的には膿瘍が形成され,類上皮細胞性肉芽腫が混在する.Grocott染色では,真皮乳頭層から乳頭下層にかけて胞子が散在し,一部には出芽を示す胞子,仮性菌糸も認められた.生検組織からの培養では,黄白色湿性クリーム状コロニーが形成され,血清学的に
Candida albicans serotype Aと同定した.臨床像,病理組織学的所見,菌学的検査から
Candida albicansによる深在性皮膚カンジダ症と診断した.治療はイトラコナゾール1日200mgの内服を開始したところ,1週間で局面は縮小,扁平化し改善傾向が確認された.治療開始1週後から,ミノサイクリン1日100mg内服を併用し,約2ヶ月間で皮疹は軽度の色素沈着,部分的には萎縮性瘢痕を残し治癒した.
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