日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 1882-0476
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51 巻 , 2 号
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総説
  • 新見 昌一
    2010 年 51 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/10
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症は免疫不全などの基礎疾患のうえに成立する.原因となる真菌は多種にわたるが,有効な抗真菌治療薬は限られている.広く用いられているアゾール系抗真菌薬は耐性菌出現の問題があり,それを克服するため耐性機構の解析が活発になされ,多くの事象が明らかになった.我々は生理・生化学的性状およびゲノム情報が最もよく解析されている出芽酵母を用いてその解明に取り組んできた.本稿では,先ずnon- albicans Candida のアゾール薬耐性機構について概説し,次に出芽酵母発現系を利用した病原真菌の多剤排出ポンプATP-binding cassette(ABC)トランスポーターについて,これまでに得た知見を紹介した.また,ポンプ阻害剤の探索および新しい抗真菌薬の可能性についても触れた.我々が用いた酵母発現系はABCトランスポーターを分子レベルで解析するうえでいくつもの利点があり,今後,薬剤排出機構のみならずトランスポーターの構造と機能の解明に貢献することが期待される.
  • 山田 剛
    2010 年 51 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/10
    ジャーナル フリー
    白癬に関する研究は臨床の領域が先行していた感があるが,基礎領域の研究も徐々に行われるようになってきた.原因菌である皮膚糸状菌(白癬菌)の感染メカニズムの解明を目的に,大規模(網羅的)な遺伝子解析が展開されている.また,代表的なヒト好性白癬菌である Trichophyton rubrum や動物好性白癬菌である Microsporum canis などでは,ゲノムシーケンシングプロジェクトが進められている.このような解析を通じて得られた情報は,個々の遺伝子の機能に関する詳細な解析に役立てられていくものと考えられる.遺伝子の機能を解析する時,真菌では遺伝子破壊株に代表される変異体がしばしば利用される.しかし,白癬菌の遺伝子操作に利用できるツールの整備は遅れており,遺伝子破壊株を利用した解析事例も少ない.このような状況の中,筆者の所属する帝京大学医真菌研究センターでは,代表的なヒト好性白癬菌である T. mentagrophytes を用いて,遺伝子破壊株などを作り出すためのツールの整備を進めてきた.
原著
  • 横田 昌, 川辺 桂太郎, 山田 秀樹, 布村 眞季
    2010 年 51 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/10
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血治療中の44歳男性に発症した,Nocardia farcinica 感染による皮下膿瘍を経験した.8年前に再生不良性貧血を発症し,抗胸腺細胞グロブリン療法により治療されたが,効果は一時的であった.抑鬱傾向のため骨髄移植の適応なしと判断され,以後3年間にわたりプレドニゾロンとシクロスポリンを投与されていたが,効果不十分であり,定期的な赤血球と血小板の輸血が必要であった.2008年4月,誘因なく左上肢に疼痛を伴う腫脹が出現した.肉眼的に刺傷や受傷所見はなく,抗生物質の投与を開始したが,増悪し自壊排膿もみられたため,入院の上切開排膿を行い,抗生物質による治療を開始した.系統学的解析や生化学性状より起因病原体は Nocardia farcinica と判明した.抗生物質の投与による治療により肺や中枢をはじめとする内臓へ播種することなく,1年間の投薬を終了した.一方,我々は,医中誌Web(医学中央雑誌刊行会)で検索し得た2000年から2008年までのわが国での報告92例のノカルジア症の疫学および臨床的特徴を検討した.この結果によれば,全身性ノカルジア症はプレドニゾロン,シクロスポリンやアザチオプリンといった免疫抑制剤の使用が最大の危険因子であることが明らかとなった.こうした免疫抑制状態ではノカルジア症を念頭に置く必要性がある.
  • Ken-ichi Ishibashi, Chikaku Dogasaki, Masuro Motoi, Noriko Miura, Yosh ...
    2010 年 51 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/10
    ジャーナル フリー
    β-Glucan is a major component of the cell walls and pathogen-associated microbial patterns of fungi. We previously reported the presence of an antibody which reacts to β-glucan, anti-β-glucan (BG) antibody, in human sera. In livestock and domestic pets, the antibody's response to fungal cell wall β-glucan is little understood. In this study, we examined the existence and reactivity of anti-BG antibody in various animal species.
    We demonstrated the presence of the anti-BG antibody in each animal's serum. Individual differences in the titer existed. The antibody was highly reactive to Candida solubilized cell wall β-glucan (CSBG) while reacting little to grifolan (GRN) from Grifola frondosa. This suggested that the anti-BG antibody interacted with fungal cell wall β-glucan and participated in the immune-response to pathogenic fungi.
  • Tetsuhiro Matsuzawa, Reiko Tanaka, Yoshikazu Horie, Tohru Gonoi, Takas ...
    2010 年 51 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/10
    ジャーナル フリー
    Aspergillosis is an important mycosis caused primarily by Aspergillus fumigatus and its relatives. The genus Emericella is a teleomorph related to the Aspergillus section Nidulantes. The typical anamorphic stage species in this genus is Aspergillus nidulans, which is sometimes a significant agent in chronic granulomatous disease (CGD) patients. The mortality rate of osteomyelitis in CGD patients due to A. nidulans ( E. nidulans ) is very high compared to that due to A. fumigatus. Moreover, two Emericella species ( E. nidulans and E. quadrilineata ) from clinical specimens exhibit different sensitivities against several antifungal drugs. In aspergillosis, correct species identification is important for antifungal therapy.
    We attempted to develop rapid and specific molecular discrimination by polymerase chain reaction (PCR) and loop-mediated isothermal amplification (LAMP) methods in the principal pathogenic Emericella species, and succeeded in establishing species-specific primers corresponding to the hydrophobin gene. These primers discriminate E. nidulans and E. quadrilineata rapidly and specifically. These methods and primers make it possible to diagnose etiological agents in aspergillosis quickly and easily.
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