ハタケシメジ5系統の菌糸培養特性を調べた.培養温度,1~35℃で生長が認められ,最適温度は25℃であった.培地pHは3.2~8.2で生長が認められ,最適pHは系統により異なり,5.2~8.2の範囲であった.炭素源はフルクトースを加えた培地でどの系統も生長が良好であった.窒素源はどの系統もカザミノ酸が最も有効であり,無機態窒素では系統間で異なるが,硝酸カリウムあるいは硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウムが比較的良く利用された.ビタミン類の試験では,チアミンあるいはチアミンを含む5種類のビタミン混合物の効果が認められた.無機塩類の添加効果は殆ど認められなかったが,系統によって塩化アルミニウムの添加効果が認められた.
リン酸供給(P(+))培地とリン酸欠乏(P(-))培地で培養したナメコ菌糸体の乾燥重量,菌糸体と培養ろ液の可溶性蛋白質量を経時的に調べた.菌糸体重量は,培養10日目以降P(-)培養で増加率が小さくなり,40日目のP(-)培養の重量はP(+)培養の82%だった.P(+)培養の菌糸体蛋白質量は,10~20日目に大きく増加しP(-)培養に有為差を示したが,蛋白質含量では25日目以降P(-)培養の方が1.4倍高かった.培養ろ液の蛋白質は,P(+)培養で20日目,P(-)培養で30日目に最大となったが,P(+)培養の値はP(-)培養の半分だった.菌糸体可溶性蛋白質のSDS-PAGE分析では,P(-)培養に特異的な3つのバンド,P(-)培養で相対的に増加および減少する6つと8つのバンドが見い出された.培養ろ液でも,P(-)培養に特異的な2つのバンド,P(-)培養で相対的に増加および減少する4つと3つのバンドが見出された.酸性ホスファターゼの活性染色では,P(-)培養のみに2本の活性バンドが検出された.
日本産のゴミムシ類(甲虫目,オサムシ上科)13属47種(3亜種)の虫体上にラブルベニア菌(子嚢菌綱)の発生を確認した.菌の形態を調べた結果,得られたラブルベニア菌は,すでに日本から知られている種類ばかりで,2属17種に及ぶことが確認された.それぞれの菌種について新しい宿主を列挙し,菌の全形写真を付けた.
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