日本菌学会会報
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38 巻, 3 号
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論文
  • 戸矢崎 紀紘, 宇田川 俊一
    1997 年 38 巻 3 号 論文ID: jjom.H08-133
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

     喘息患者住居から採取したハウスダスト98試料を対象に,混釈平板法,エタノール処理法,Warcup・Baker法を用い,ハウスダスト中の微小真菌を分離した.

     混釈平板法でPDA培地を使用した場合,検出された真菌の大部分は生育のための最低水分活性値がAw 0.80以上を示す好湿および中湿性の不完全菌類であったが,同じ混釈平板法でもDG-18培地を使用すると検出される真菌の約60%は好乾性の子のう菌類と不完全菌類であり,それらは主としてAw 0.80以下のハウスダスト中で増殖しうるEurotium spp.,Aspergillus restrictusWallemia sebiであった.

     エタノール処理法でPDA培地上に出現した真菌は子のう菌類54%,不完全菌類29%からなり,子のう菌類ではChaetomium属が,不完全菌類ではNigrospora oryzaeがそれぞれ優先的に検出された.

     Warcup・Baker法でエタノール処理,60℃加温処理後にPDA培地上に出現した真菌は約88%が耐熱性子のう菌類で,Talaromyces,Eurotium,Neosartorya,Eupenicilliumに所属する種であった.これらの真菌の子のう胞子は他の真菌の胞子に比べ,極めて耐熱性が強い.加熱処理後のDG-18培地上に出現したEurotium spp. は92%まで増加した.以上のように得られた真菌相は多様であり,ハウスダスト試料に恒常的に増殖する真菌を計測する上で分離法は極めて大きく影響することが示された.

総説
菌類実験技術講座I
菌類実験技術講座II
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