日本産多孔菌類子実体に寄生するCladobotryum属菌を調査した結果,日本新産種であるC. arthrobotryoidesならびにC. caribense, C. protrusumを報告した.Cladobotryum arthrobotryoidesは,小歯状に発達した分生子形成細胞からシンポジオ状に単生する2隔壁の分生子が特徴的である.Cladobotryum caribenseは長連鎖性で釣鐘型の分生子を形成する.Cladobotryum protrusumは,分生子形成細胞は出芽型,分生子が淡緑性の色調を特徴とする赤色色素産生菌である.
日本新産種Bryoperdon acuminatum(モリノコダマタケ,新称)を,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.子実体が小型,卵形~円錐形で無性基部を欠く点,担子胞子がほぼ平滑~わずかに疣状突起に覆われる点,外皮の刺が球形,類球形,卵形あるいは棍棒形の偽柔組織からなる点が本菌の特徴である.核rDNA塩基配列の分子系統解析により,日本およびヨーロッパ産B. acuminatumの同一性が支持された.