日本新産の2種のザラミノシメジ属菌,Melanoleuca alboflavida(アシボソザラミノシメジ,新称)およびM. griseobrunnea(ネズミザラミノシメジ,新称)を,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.細長く直立し,軟骨質で白色を帯びる柄と,フラスコ形から紡錘形の側シスチジアおよび縁シスチジアがM. alboflavidaを特徴づける形質である.一方,M. griseobrunneaはかさが淡灰褐色を帯びる点,柄の基部の肉が淡灰色から褐色を帯びる点,そして縁シスチジアが長首フラスコ形で結晶を有する点により特徴づけられる.核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析により,これら2種の同定結果が支持されたとともに,M. alboflavida はMelanoleuca亜属に,M. griseobrunneaはUrticocystis亜属に位置することが示された.
愛知県の林内地上より,有彩色の色彩を欠き,傘と柄の全体が黒い鱗片で覆われ,全体に強い黒変性を持つアカヤマタケ属菌を見出した.形態観察およびrDNA領域内のITSおよび26S rRNAの2箇所の配列を用いた系統解析の結果,2020年に中国より新種報告されたH. griseonigricansと同定した.本邦からの本種の報告は初となる.