キュウリ幼植物の側根をP. oligandrum(寄生者)により感染させ,P. ultimum(宿主)を接種して両菌菌糸の相互作用を調べたところ,培地に敷いたセロファン上およびモデル土壌中の場合とほぼ同様の現象が観察された.宿主菌糸は寄生者よりも激しくキュウリ根へ侵入した.寄生者の影響を受けた宿主菌糸の原形質は経時的に消失したが,なお部分的に残存した原形質より菌糸の再生が認められた.この場合,側根内外に極めて少数の卵胞子,蔵卵器およびhyphal swellingsを形成した.一方,寄生者の菌糸も同様に側根の細胞内へ侵入したが,その数は少なく主に側根表面に限られて数多く観察された.また,寄生者は側根内外に多数のhyphal swellingsと少数の蔵卵器および卵胞子を形成することが特徴的であった.両菌菌糸およびキュウリ側根とも,損傷の程度によってコンゴーレッドにより薄赤色~濃赤色に染まった.
1995年4月,鹿児島市で,タイワンサザンカ(Camellia tenuiflora Cochen-Stuart)の葉にもち病の発生が初めて確認された.病原菌について菌学的検討を行なった.病徴,菌の形態,胞子の発芽法および培養的性質を調査し,本菌をExobasidium gracile(Shirai)Sydowと同定した.
日本特産種の木材腐朽菌アケボノオシロイタケ(Tyromyces incarnatus Imazeki)の腐朽型について検討を行った.腐朽材の成分分析の結果,リグニン含量の減少が確認できた.バーベンダム反応は陽性であり,酵素分析の結果から,ラッカーゼなどフェノール酸化酵素の生産が認められた.以上の結果は,本菌が白色腐朽菌であることを示す.
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