日本透析療法学会雑誌
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25 巻, 12 号
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  • 宮坂 信之
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1301-1305
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 打田 和宏, 根木 茂雄, 阿部 富彌
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1307-1313
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Recombinant human erythropoietin (rh-EPO) による貧血の改善が維持透析患者の心理面に与える影響について, 矢田部-ギルフォード性格検査 (YGテスト) およびCornell Medical Index (CMI) を用いて検討した.
    貧血を有する維持血液透析患者90例 (男性49例, 女性41例) に, Hb 10g/dl, Ht 30%を維持目標値としてrh-EPOを投与した. 観察期間は12週とし, rh-EPO投与開始直前および観察期間の終了時に, YGテストおよびCMIを施行した. なお, YGテスト, CMI施行症例のうち解析可能であった症例数は, それぞれ61例 (男31例, 女30例), 60例 (男28例, 女32例) であった.
    YGテストでは, rh-EPO投与前後で明らかな変化は認められなかった.
    CMIでは, 自覚症プロフィールにおいて, 身体的自覚症12項目中, 4項目に有意な改善を認め, 1項目に改善傾向がみられた. また身体的自覚症の合計ポイントにも, 有意な改善が認められた. 精神的自覚症においても, 6項目中1項目に有意な改善を, 1項目に改善傾向を認め, 6項目の合計ポイントにも改善傾向がみられた.
    CMIの自覚症プロフィールから判定される神経症判別図では, 男女ともに, rh-EPO投与前は「領域III: どちらかといえば神経症」であったものが, rh-EPO投与後には「領域II: どちらかといえば正常」に移動した.
    以上の結果から, rh-EPOによる貧血の改善は, 維持透析患者の心理面にも好ましい影響をおよぼすものと考えられた.
  • 川崎 浩一, 庄司 哲雄, 西沢 良記, 田畑 勉, 絵本 正憲, 庄司 繁市, 小西 俊彰, 三木 隆巳, 井上 隆, 森井 浩世
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1315-1319
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者では腎症の進展とともに血清Lp (a) が上昇することが知られているが, 糖尿病透析患者における血清Lp (a) 代謝の変化については十分に検討されていない. 我々は血清Lp (a) について糖尿病透析患者 (DM/HD群, n=30), 非糖尿病透析患者 (nonDM/HD群, n=139) および健常者 (control群, n=39) の血清Lp (a) について比較検討した. 各群の血清Lp (a) 濃度はcontrol群, nonDM/HD群およびDM/HD群の順に14.4±1.7 (11.4) mg/dl {平均値±SE (中央値)}, 21.1±1.3 (18.5) mg/dl, 21.1±2.5 (15.0) mg/dlであり, control群と比較しnonDM/HD群では有意に高値を示したが, DM/HD群では高値の傾向は示すものの統計学的には有意ではなかった. 血清Lp (a) 濃度はHDL-コレステロール, アポリポタンパク (アポ) A-IおよびA-IIとの間に相関関係は認められなかったが, LDL-コレステロールおよびアポBと正の相関を示し, Lp (a) とアポB含有リポ蛋白との代謝の関連が示唆された. 糖尿病透析患老においては血清Lp (a) 濃度の高値が認められなかったことより, 糖尿病性腎症保存期にみられる肝でのアポB含有リポ蛋白およびLp (a) の産生促進が透析導入により改善することが考察された.
  • 堀江 正宣, 長谷川 正広, 小林 覚, 根笹 信一, 足立 敦, 堀 基幸, 篠田 孝, 栗山 学, 坂 義人, 河田 幸道
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1321-1328
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者195例中評価可能な115例を対象に, 腎性骨異栄養症 (広義のROD) の疼痛scoreとDEXA骨密度測定の意義を検討するため, 測定部位別骨密度すなわち, 中手骨, 腰椎 (L2-L4), 大腿骨の骨密度と各種骨パラメータ検査値, および中手骨のmicrodensitometry (MD法) のパラメータの相関性と有用性を検討した. 透析歴で5年未満, 10年未満, 15年未満, 15年以上の4群間でDEXAによる骨塩量を中手骨, 腰椎, 大腿骨で測定値を比較すると, 中手骨でのみ群間で有意差を認めた. 10年以上の長期透析群の骨密度の検討では男性では10年未満に比して有意に低値を示したが, 女性群の10年未満の症例ですでに骨密度は低下していて長期透析群と同程度であった. また疼痛scoreによる患者群別でも中手骨の骨密度が群間で有意差を認めたが腰椎では差を認めなかった. DEXAによる各部位の骨塩量を目的変量として多変量解析すると, 中手骨では疼痛score, 透析歴, 年齢の順で寄与率が高く, 大腿骨頸部では, C-PTH, 年齢, Ca×P, calcitoninに, 腰椎ではC-PTH, 年齢に高い結果を得た. DEXAによる骨塩量の測定でも, 透析歴および疼痛scoreを反映する骨塩量の変化は皮質骨主体の中手骨で認められ, 腰椎のDEXA骨密度は治療効果の経過観察に適している可能性があることが示唆された.
  • 石黒 源之, 幾高 敏晴, 那須 浩, 藤 良英, 島袋 盛一, 平野 高弘, 後藤 尚己, 操 潤, 井上 清明, 皆川 太郎, 高田 信 ...
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1329-1336
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不金のため透析を施行している症例で, 〓痒感を訴えている20例 (男6例, 女14例, 平均年齢58±13歳, 平均透析年数3.2±2.5年) に対し, テルフェナジン120mg/日分2を4週間投与し, 投与前後で〓痒感, IgEに関して検討した. 〓痒感は有意 (p<0.001) に改善した. 有効率80%, 安全度100%, 有用度80%であった. IgEは有意な変動を認めなかった. 透析症例における非透析日の主要代謝物のCmaxは654.4±250.6ng/ml, tmax 3.4±0.5時間, t1/25.1±1.6時間, AUC0-24, 6,917±3,519ng・hr/mlであった. 透析症例における透析日の主要代謝物のCmaxは670.5±124.5ng/ml, tmax 4.3±0.2時間, t1/2 5.8±0.8時間, AUC0-24 7,421±2,236ng・hr/mlであった. 透析によるテルフェナジンクリアランスは20ml/minであった. CAPD症例における主要代謝物のCmaxは508.9±60.2ng/ml, tmax 6.2±1.5時間, t1/2 6.7±0.6時間, AUC0-24 6,767±171ng・hr/mlであった. 以上の結果により抗アレルギー剤テルフェナジン (トリルダン®) は, 透析症例の皮膚〓痒感に対しても有用であると示唆された. 腎不全症例ではCmax, AUC0-24が高値のため投与量の減量も考慮する必要があろう.
  • 増永 義則, 安藤 康宏, 大野 修一, 手塚 俊文, 浅野 泰
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1337-1342
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    超音波断層法で描出される下大静脈 (IVC) の安静呼気時最大径 (IVCe), 安静吸気時最小径 (IVCi) およびcollapsidility index (CI) [(IVCe-IVCi)/IVCe] は中心静脈圧, 右心機能を反映することが知られている. 我々はすでに血液透析中, 除水による体液量の減少に伴いIVCe, IVCiが減少, CIが増加し, 特にIVCeと循環血液量の間には有意の一次正相関があることを報告している. 血液透析に比し除水が緩徐で, 循環血夜量の変化が少ないCAPDでは, IVC径も安定していることが予想される反面, 腹腔内の液貯留がIVCの形態に影響を及ぼす可能性がある. 今回我々は安定維持期CAPD患者 (n=13) のIVCの形態を検討し, 以下の結論を得た.
    1) 安定維持期CAPD患者では, IVCe (mean±SE) はヘマトクリット値とともに, 透析液交換中有意な変化はなく (排液前12.2±0.8, 排液後11.9±0.7, 注液直後11.5±0.8mm), 循環血液量の安定を裏付けるとともに, 2l程度の腹腔内液貯留はIVCeには影響しないと考えられた. 2) 一方IVCi, CIは排液前8.6±0.8mmおよび0.30±0.04に対し, 排液後はそれぞれ7.2±0.7mmおよび0.39±0.05と有意に変化したことから, 腹腔内液貯留が吸気時のIVCの虚脱を抑制すると考えられた. 3) 排液後あるいは注液後のIVCeとCTRとの間に有意な一次正相関 (いずれもr=0.57, n=13, p<0.05) がみられたことから, IVCe値がHD患者同様CAPD患者においても体液量の指標となる可能性が示唆された.
  • 青柳 竜治
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1343-1350
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析関節症の病態を明らかにするために, 肩関節および股関節に注目し, 関節周囲の軟部組織を超音波画像で描出した. 関節包膨隆度の指標として, 肩関節ではshoulder-capsular distance: SCD, 股関節ではhip-capsular distance: HCDを測定し, 関節症状, 骨X線所見, 手根管症候群 (CTS) の手術歴, 血液生化学所見との関係を検討した. 対象とした血液透析 (HD) 患者は, 168例 (男116例, 女52例) で, 平均HD期間は107.0±75.6か月, 平均年齢は49.4±12.2歳であった. また, 対照として, 腎機能正常者10例のSCD, HCDを計測した.
    HD患者の左右のSCD平均値: mean-SCDと左右のHCD平均値: mean-HCDは, 腎機能正常者のそれらに比べ増加していた (mean-SCD: 6.8±1.7mm vs 5.5±0.9mm, p<0.05, mean-HCD: 17.5±5.5mm vs 13.6±1.5mm, p<0.01). mean-SCDおよびmean-HCDとHD期間との間にはそれぞれ, r=0.696, p<0.001; r=0.606, p<0.001と正の相関が見られたが, 血清β2ミクログロブリン (β2-MG), C末端PTH, アルミニウムとの間には関連はなかった. 肩関節痛, 股関節痛を認めるグループのSCDおよびHCDは, 認めないグループのそれらに比べ増加していた. CTSの手術歴, 手根骨骨透亮像を認めるグループのmean-SCDおよびmean-HCDは, 認めないグループのそれらに比べ増加していた. SCDが7mm以上の肩関節のうち13.4%に上腕二頭筋腱長頭周囲または肩峰下滑液包内のecho-free spaceが観察された. 肩関節内視鏡的滑膜切除術では, 滑膜増生が観察され, β2-MG由来のアミロイド沈着を認めた. また, 股関節MRI検査では, 関節液貯留と滑膜肥厚の所見を得た.
    以上の結果より, HD患者の肩関節および股関節の関節包は, 透析の経過と共に膨隆度を増すことが示された. また, 関節症状のある症例や透析アミロイドーシス合併例では関節包膨隆度が強かった. 関節包の膨隆は, 関節液の貯留と滑膜肥厚を示唆し, 透析関節症の原因の一つであることが明らかになった.
  • 熊谷 裕通, 古谷 隆一, 菱田 明, 金子 栄蔵, 丸山 行孝, 坂尾 正
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1351-1354
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者において, 唾液Na/K比が腎外K調節の指標として有用か否か調べる目的で, 無尿の血液透析患者24名につき3か月おきに3回, 透析開始直前に唾液Na, K, 血清K値, 唾液および血漿アルドステロンを測定した. 維持透析患者の唾液Na, K濃度はそれぞれ21.3±2.2, 30.2±3.2mEq/lで, 健常人の唾液Na, K濃度, 11.5±6.4 (P<0.05) 22.5±1.7 (P<0.05) mEq/lに比し有意に高値であった. 維持透析患者で, 唾液K濃度と血清K値との間には相関がみられなかったが, 唾液Na/K比と血清K値との間には有意な負の相関が認められた (r=-0.43, p<0.01). 維持透析患者の唾液アルドステロン濃度は23.8±9.0ng/dlと高値を示し, 血漿アルドステロン値11ng/dl以上の症例で血漿アルドステロン値と有意な正の相関を示した (r=0.78, p<0.01). また, 唾液アルドステロン濃度と唾液Na/K比とは有意な負の相関を示した (r=-0.47, p<0.01). Fludrocortisone投与により, 血清K値の有意な低下とともに, 唾液Na/K比は有意に低下し, その低下は投与量に依存する傾向がみられた. 以上の結果は, 1) 維持透析患者の唾液Na/K比が, 血清K値の上昇に伴って低下すること, 2) その機序の少なくとも一部はアルドステロンを介することを示唆している. したがって, 唾液Na/K比は腎外K調節の指標として有用であると考えられる.
  • 野村 敦, 青井 直樹, 多和田 英夫, 市田 静憲, 湯澤 由紀夫, 渡邊 有三
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1355-1361
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    昭和54年から平成3年までの12年間に, 名古屋第一赤十字病院にて血液浄化療法を施行した産科領域疾患に合併した急性腎不全症例13例の臨床病理学的検討を行った. 産科領域での腎不全は他科のものに比べ頻度が少なかった (全急性腎不全中7.6%). 急性腎不全発症の原因疾患は多岐にわたり, 急性妊娠脂肪肝 (3), 特発性分娩後溶血性尿毒症症候群 (2), 前置胎盤 (2), 常位胎盤早期剥離 (1), 異所性妊娠 (腹腔内妊娠) (1), 敗血症性人工妊娠中絶 (1), 弛緩出血 (1), 頸管裂傷 (1), 遷延分娩 (1) で構成されていた. 母性の死亡率は他科領域のものに比べ低かったが (23%), 最近では全例救命できている. 死亡例は全例腎皮質壊死の組織像を呈しており予後不良の所見と考えた. 一方, 尿細管壊死や特発性溶血性尿毒症症候群では腎機能の回復を認めた. 生存群と死亡群の間には臓器障害数で有意の差があり, 多臓器不全が予後に多大な影響を与えると考えられた. 当施設では, 透析技術の改良, 血漿交換の導入, 出血傾向の管理の改善などにより, 救命率が徐々に改善してきている. 特に血漿交換は特発性分娩後溶血性尿毒症症候群や急性妊娠脂肪肝の救命に貢献した. 産科的処置の改善により, 産科領域での急性腎不全は激減しているが, 本疾患患者の年齢構成を考えれば, 救命率はまだまだ不十分であり, さらなる向上が我々に課せられた使命である. 以上を総括するに, 出血傾向管理の改善ならびに透析技術の進歩が産科領域での急性腎不全の予後を改善したと考えた.
  • 八城 正知, 武曽 恵理, 松島 宗弘, 名倉 良一, 澤西 謙次
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1363-1368
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    巣状糸球体硬化症 (FGS) による7例のネフローゼ症候群 (男性3例, 女性4例, 年齢16-56歳, 平均30.3歳) に対してLDL吸着療法を施行しその効果を検討した. LDL吸着はdextransulfate cellulose column (Liposorba LA-15) を使用し1回の血漿処理量は4,000mlとした. LDL吸着前のネフローゼ持続期間は1.5か月から26か月, 吸着療法の施行回数は2から13回であった. 7例中4例が不完全寛解I型となり, 2例はネフローゼ状態のままで, 1例では末期的腎不全に進行し透析導入となった. 寛解した4例では, LDL吸着療法前のネフローゼ持続期間が1.5-4 (平均2.4) か月だったのに対し, 無効例では3-26 (平均13) か月とより長期であった. 治療前の血清総コレステロール (TC) 値, 1回の吸着療法でのTCの平均低下率には, 寛解例, 無効例で差を認めなかったが, 吸着療法施行中のTCのtime average concentration (TAC) は寛解例では173-269 (平均234.5) mg/dl, 無効例では280-302 (平均292.7) mg/dlと, 前者でより低い値に維持されており, またより高頻度で吸着療法が施行されていた. 腎組織のapoprotein B (apo B) の蛍光抗体所見では, 改善した3例中2例で治療後にapo Bのメサンギウムへの分布低下が見られたが, 一方TC維持レベルが高値であり腎不全へと移行した例では治療後にむしろ増強傾向にあった. 薬剤療法が無効のFGSによるネフローゼ症候群では90%が腎不全に至るとの報告があるが, 今回の検討では薬剤が無効であった5例中2例が不完全寛解I型以上の改善を示し, 1例が腎不全に陥ったのみで, LDL吸着療法の有効性が示唆された.
  • 古閑 聡美, 落合 信恵, 浅尾 明美, 野村 真澄, 本郷 陽子, 島田 玲子, 副島 秀久
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1369-1372
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期に渡って透析治療を続ける患者が増加しており, こうした患者にとって自己管理の占める部分は大きなものである. 今回, 我々は透析患者の教育指導内容の理解度および自己評価の調査を行い, 年齢および透析経験年数の間にどのような相違があるか検討した.
    調査は, 1990年4月から1990年8月の間に当院で維持透析をしている外来患者で, その導入が1972年1月より1990年5月に渡り最低3か月以上の血液透析を経験した72名を対象とした. 方法は, 教育指導に関連する項目を8項目に分け面接による理解度テストおよび自己評価アンケートを行った. その結果, 1. 年齢と理解度の間には負の相関がみられた. 2. 透析経験年数と理解度の間には正の相関がみられたが, 食事の項目では, 経験年数1年未満の患者が経験年数の長い患者より良い成績であった. 3. 食事の項目では理解度と自己評価に大きな相違があった. 自己管理指導は高齢化による理解度の低下, 経験年数の短さによる理解の不足, また, 経験によっても学習効果のあがらない食事の項目など, 個人別, 項目別に分析し教育プログラムを作成する必要があると思われた.
  • 長宅 芳男, 槇野 博史, 柏原 直樹, 太田 善介, 犬飼 雄一, 河田 一郎, 重久 隆秀, 赤須 弘幸
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1373-1375
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糸球体基底膜 (GBM) はsizeおよびchargeの両作用によりproteinの透過性を規定していると考えられている. そこで今回我々は, GBMのcharge barrierを形成しているヘパラン硫酸プロテオグリカンがスルホン酸基を有していることから, EVAL (ethylene vinyl alcohol) 膜にスルホン酸基を付加することにより陰性荷電膜を作製し, 種々のproteinの透過性を検討した.
    その結果, 陰性荷電を付加したEVAL膜は, 対照として使用した, 従来のほぼ中性の荷電を有するEVAL膜と比べて, より高い透過選択性を示した. すなわち, 透析膜に陰性荷電を付加することにより, 従来の透析膜より, 高い透過選択性を有する透析膜を作製できる可能性があることが示唆された.
  • 栗原 怜, 竹内 正至, 桜井 祐成, 米島 秀夫, 秋葉 隆, 桑原 道雄, 坂本 尚登, 久保田 俊郎, 葉山 修陽, 河辺 満彦
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1377-1381
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は原疾患が糖尿病の34歳女性CAPD患者で, CAPD開始3か月目から月経と月経の中間期 (midcycle) に下腹部痛とともに血性の排液を繰り返した. いずれの時も腹膜炎の疑いで入院したが排液中に多形核白血球の増加を認めず, 菌も検出されなかった. CTおよびMRI検査にて左卵巣チョコレート嚢腫が発見されたためgonadotropine releasing hormone (GnRH) agonist剤であるbuserelinの鼻腔内投与 (600-1,200μg/day) 治療で4か月後には臨床症状は消失し, MRI像での腫瘍サイズも治療6か月後では著明に縮小していた. 以上のことから本症例における血性排液の原因としては排卵を機に 1) 嚢腫内貯留血液が腹腔内に流出した, 2) 卵巣被膜が破綻した, あるいは 3) 卵巣に存在する脆弱化した子宮内膜症病巣からの出血が誘発されたため等が推測された.
    CAPD療法中の血性排液に関しては多くの報告があるが性周期とくにmidcycle期の排卵時期に一致した血性排液の報告は比較的少ない. またその原因が卵巣チョコレート嚢腫または卵巣における子宮内膜症病変からの出血であった例は稀と考えられるが, 生殖可能年齢女性CAPD患者の血性排液を認めた場合には出血原因の一つとして念頭におき, 性周期を十分に確認するとともに超音波検査, CT検査あるいはMRI検査などの画像診断により子宮内膜症の有無を検討する必要があると考えられる.
  • 武林 祥裕, 倉田 和久, 飛田 美穂, 平賀 聖悟, 佐藤 威, 永井 寛子
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1383-1388
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    多量の飲酒歴のある男性に発症したアルコール性ミオパチーに続発した急性腎不全の4例について報告した.
    症例1: 37歳男性. 過度の飲酒後意識障害をきたしその後急速に腎不全に陥り入院した. 症例2: 50歳男性. 慢性アルコール中毒でせん妄状態となり, さらに腎不全をきたし入院した. 症例3: 37歳男性. アルコール依存症. 過度の飲酒約2日後多臓器不全 (multiple organ failure: MOF) 状態で入院した. 症例4: 35歳男性. 過度の飲酒後意識障害をきたし緊急入院したが, 入院時腎不全状態にあった.
    4症例に対し血液透析療法を行った. 4症例中1例がMOF状態にあったが, 全例急性腎不全より離脱した.
  • 井上 聖士, 吾妻 真幸, 藤田 嘉一
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1389-1392
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    摘出した腎の尿細管にβ2-microglobulin (β2-MG) に由来するアミロイド円柱ともいうべき所見を有する2症例を経験した. 第1例は15歳, 女性, 多発性嚢胞腎由来の慢性腎不全で透析歴4か月であった. 生体腎移植のため左嚢胞腎を摘出した. 左腎の残存皮質内の尿細管にアミロイド円柱を認め免疫組織化学的検査でβ2-MGと同定された. 第2例は71歳, 女性, 糸球体腎炎由来の慢性腎不全で透析歴8年であった. Grawitz腫瘍摘出時の残存尿細管にアミロイド円柱を認めた. いずれの腎にも血管壁に同時にアミロイド沈着がみられた. 透析アミロイド沈着は骨, 滑膜などの組織内, 心, 肺, 腎などの血管壁や心筋の組織にみられるが, 尿細管内に円柱状にみられることは少なく, β2-MGがアミロイド線維化する過程を考える上で重要な所見と考えられ考察をまじえて報告した.
  • 斎間 恵樹, 渡辺 寿美子, 吉本 恵子, 中村 雄二, 須田 昭夫
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1393-1398
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は, 41歳女性, 37歳で血液透析 (HD) に導入, 精神的動揺よりアルコール依存を生じ肝障害, 膵炎, Mallory-Weiss症候群などを併発した. 禁酒後は著しい水分管理不良が出現した. 導入3年目頃より精神的に安定し自己管理が改善され安定したHDが可能となったが, 腎性貧血治療目的でrecombinant human erythropoietin (rHuEPO) を投与したことを契機にアルコール依存, 水分管理不良が再燃, 腎性貧血改善に基づく血圧上昇と相侯って重症高血圧を発現し, 3回の高血圧性脳症発作を発症した後に死亡した. 本例はHD導入前後より種々の問題行動があり精神医学的には境界性人格障害と思われ, これが自己管理不良の原因に関係したと考えた. rHuEPO投与後に自己管理不良が再燃したことから, 貧血改善に伴う身体症状改善の影響およびrHuEPO自体の中枢神経系への直接作用が関与した可能性が考えられた. 問題行動のある例, 自己管理不良が著しい例でのrHuEPO投与に際してはより慎重にすべきであると思われる.
  • 阿曽 佳郎, 三村 信英
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1399-1416
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 谷口 昌弘, 川崎 忠行
    1992 年 25 巻 12 号 p. 1417-1425
    発行日: 1992/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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