日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
検索
OR
閲覧
検索
10 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
解説
  • ラオリンタナー ウィシュター, パラミタ ヴィタ, ニーヨ ツ ルーン, 古田 武, 吉井 英文
    10 巻 (2009) 2 号 p. 79-85
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    タンパク質製剤は,過酷な保存条件下にあっても,長期間にわたってその効果を保持することが要求される.この目的を達成するために,医薬成分を粉末化する手法が採られている.真空凍結乾燥法は,医薬タンパク質を粉末化する最も適した手法として,この分野で多用されている.しかしながら,作製された粉末形状が不定形であること,設備費が高いこと,乾燥に長時間を要するなどの欠点がある.噴霧乾燥法は,短時間で溶液から直接球形微粒子が得られる乾燥法であり,真空凍結乾燥法に代わる医薬タンパク質の粉末化手法として期待されている.噴霧乾燥によるタンパク質の粉末化の一般的なプロセスは,酵素溶液などのタンパク質水溶液に種々の賦形剤(主として多糖類)を溶解させ,溶液を数十μmの微粒子に噴霧した後,熱風と接触させて乾燥粉末とするものであり,乾燥に要する時間は数秒と極めて短時間である.しかしながら,比較的高温度の熱風を使用した乾燥法であり,かつ溶液を微粒子に噴霧するため,微粒化液滴中のタンパク質が熱および界面変性を受けやすく,真空凍結乾燥法に比較して活性収率の低下が著しいことが多くの研究者から指摘されている.噴霧乾燥中の熱および界面変性を防止するためには,乾燥熱風と酵素との気液界面における直接接触を避け,酵素を効率良く賦形剤で覆う必要がある.このための賦形剤や添加剤の選択は,現時点では経験によるところが大きい.また,乾燥という脱水操作により,本来,水分子の存在下で安定であった酵素分子が水素結合の消失によって不安定となるが,適切な賦形剤の選択によって,酵素分子と賦形剤分子が水素結合し,低含水率であっても安定に存在できることが報告されている.本稿ではまず噴霧乾燥の各過程(送液,噴霧微粒化,脱水乾燥)でタンパク質(酵素)が受けると考えられる変性要因を解説し,次いで賦形剤による酵素の包括と相互作用に関して解説する.最後に,酵素溶液の単一液滴乾燥による酵素保持率,およびベンチスケールの噴霧乾燥装置による粉末酵素の作製と,酵素活性保持率に与える乾燥操作条件に関する解説をおこなう.
    抄録全体を表示
原著論文
  • 寺嶋 正明, 新島 亜佐子, 岡崎 夏子, 吉田 麻里, 吉田 麻友子, 椎葉 昌美
    10 巻 (2009) 2 号 p. 87-94
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    次亜塩素酸イオン,ヒドロキシラジカルに対してハーブティが示す抗酸化性を著者らが提案したミオグロビン保護率を用いる方法で測定した.また,DPPHに対する抗酸化性をビタミンC相当濃度として求めた.これらをレーダーチャートにまとめて,14種類のハーブティが示す抗酸化性の特徴を総合的に評価した.測定したハーブティは高い抗酸化性を示すもの(ローズレッド,ペパーミント,レモンバーム),中程度の抗酸化性を示すもの(カモミール,ローズマリー,リンデン,ハイビスカス,ローズヒップ,ラズベリーリーフ)およびほとんど抗酸化性を示さないもの(レモングラス,タイム,ラベンダー,ジャスミン,エリカ)に分類できた.抗酸化性の特徴はポリフェノールが示す特徴と類似性を示した.ハーブティの抗酸化性の強さは品種,産地,製造方法など種々の要因で大きく変化するが,本研究で提案した方法を使うことでハーブティの特徴,強さを簡便かつ定量的に評価できることが明らかとなった.
    抄録全体を表示
  • 五月女 格, 津田 升子, 岡部 繭子, 大島 紗也香, ホッセン ムハマド シャリフ, 板倉 真由美, 竹中 真紀子, 岡留 博司, 五十 ...
    10 巻 (2009) 2 号 p. 95-106
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    微粉砕により米粉の利用方法の拡大が期待されるが,微粉砕された米粉は流動性が低下し食品加工機械を用いる際に問題を生じる事が予測される.微粉砕された米粉を用いる際に食品加工機械に対して必要となる対策を予測するため,ウルチ米精米および玄米ならびにモチ米精米を原料として用い,平均粒径3~30μmの試料をジェットミルで,30~100μmの試料をハンマーミルにて調製し,試料調製時の温度,調製後の水分,Carrの流動性指数および噴流性指数,ならびに表面粗度の測定を行った.試料の平均粒径が小さくなるにしたがい水分および表面粗度は低下したが,試料の流動性は平均粒径が15μmまでは小さくなるにしたがい低下し,平均粒径が3μmになると精米粉では流動性は変化せず玄米粉では流動性が向上した.平均粒径30μm以下の米粉試料の流動性は,伝統的な米粉の一種である上新粉と比較すると低く,小麦粉と比較すると同程度であった.
    抄録全体を表示
  • 村山 雄亮, ニーヨ ツ ルーン, 小林 敬, 安達 修二
    10 巻 (2009) 2 号 p. 107-114
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    常圧での沸点である100℃から臨界温度である374℃の範囲で加圧することにより液体状態を保った水を亜臨界水または加圧熱水という.亜臨界水とよぶ温度範囲については,明確な定義がないように思われるが,ここでは上述の範囲とする.常温常圧の水に比べて,亜臨界水は次の2つの特徴を有する.1つは温度の上昇とともに比誘電率が著しく低下し,200℃以上ではアセトンなどの水溶性有機溶媒のそれとほぼ同程度の値になる.この特性から,亜臨界水には疎水性物質が比較的高濃度で溶解する.もう1つの特徴は,イオン積が大きいことであり,200℃~300℃では10-11(mol/kg)2のオーダとなる.すなわち,亜臨界水は水素イオンおよび水酸化物イオンの濃度が高く,高温であることが相俟って,水自体が酸または塩基触媒として作用し,加水分解のみならず,分解や異性化などの反応を触媒する.このような特性に基づき,亜臨界水を用いて食品残渣や農産廃棄物から有用物質を抽出しようとする研究が数多くなされている.なお,亜臨界水を用いた処理では,(加水)分解と抽出が同時に起こると考えられるが,操作の目的より抽出と表記されることが多い.
    著者らは,利用価値の低い農産(廃棄)物である脱脂米糠や小麦フスマの亜臨界水処理による有用物質の抽出と抽出物の利用に関する検討を行っている.脱脂米糠を150℃~180℃程度の比較的低温で処理すると,糖質の含有率が高く,乳化性および乳化安定性を有する物質が得られる.一方,250℃前後の高温で処理すると,Lowery-Folin法で呈色するタンパク質性の物質(必ずしも高分子とは限らず,ペプチドやアミノ酸も含まれる可能性がある)の割合が高く,抗酸化性をもつ物質が得られる.これらの処理における抽出物の収率は,温度にも依存するが,概ね20%から30%である.しかし,抗酸化性をもつ物質を得るために250℃前後の高温で処理すると,Mailard反応などに起因すると推測されるが,抽出液は著しく褐色を呈しており,用途の限定が危惧される.そこで,脱脂米糠を150℃~180℃程度の比較的低温で処理して,糖質が多く乳化性などをもつ抽出液を得たのち,その残渣に加水してさらに250℃前後で処理すれば抗酸化性をもつ抽出液が得られるとともに,二段階目の処理では脱脂米糠中の糖質の含有率が低下しているため,着色が抑制できないかと着想した.
    150℃~180℃で処理することにより,既往の知見通りに,乳化性と乳化安定性をもつ物質が得られた.その残渣に一段階目の処理で回収した抽出液と同量の水を加えて,さらに250℃で処理したところ,抗酸化性をもつ抽出物が得られた.しかし,二段階処理により着色を抑えるという所期の目的は実現しなかった.これは一段階目の処理で抽出されなかった残渣にまだ多くの糖質が残存しており,それらが二段階目の処理で切り出されて低分子化して生成した単糖などが分解して着色物質を生成するとともに,タンパク質性の物質などとMailard反応などを起したためと推測される.一方,脱脂米糠を二段階で処理することにより,一段階目と二段階目の抽出物の和で計算した総括的な収率は50%前後と著しく向上した.二段階処理は操作が煩雑であるという問題はあるが,廃棄物量を大幅に低減でき,かつ乳化性と抗酸化性という異なる機能をもつ物質を得られるという点では利点があると考えられる.
    抄録全体を表示
  • 渡邉 義之, 岡安 辰徳, 井手之上 花菜, 安達 修二
    10 巻 (2009) 2 号 p. 117-124
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    ビタミンCとして知られるl-アスコルビン酸は,強い還元能をもつため広く利用されている水溶性抗酸化剤である.有機溶媒中でリパーゼの触媒作用を利用したアスコルビン酸と脂肪酸との縮合反応により,6-O-アシルアスコルビン酸が合成されている.アシルアスコルビン酸は親水性基と親油性基を有する両親媒性の抗酸化剤であり,抗腫瘍活性などを有するため有益な食品添加物であるといえよう.著者らも,固定化リパーゼを用いた回分および連続反応にて各種アシルアスコルビン酸を合成し,それらの界面活性剤特性や脂質に対する抗酸化能を評価するとともに,脂質粉末化技術への適用を検討した.しかしながら,アシルアスコルビン酸の効果的な利用にはその水溶液中での挙動についての知見が必要であるにも関わらず,水溶液中での抗酸化特性に関する検討はなされていない.一方,生理的に有用な物質であるカテキンを含むほとんどの茶飲料は,寒冷期間中はベンダー内で加熱保存され,そのうえ好熱性嫌気性菌の胞子を死滅させるために高温での熱処理が必要であるため,水溶液中での茶カテキンの安定性向上は重要な課題といえる.本研究では,水溶液中での(+)-カテキンの分解過程を様々なpHおよび温度下で測定した.そして,その分解過程をWeibull式で表現し動力学パラメータを決定した.固定化リパーゼを用いてアセトン中でアスコルビン酸とオクタン酸を縮合させ,アシルアスコルビン酸の中では比較的親水的なオクタノイルアスコルビン酸を合成した.そして,アスコルビン酸またはオクタノイルアスコルビン酸を添加した場合の水溶液中でのカテキンの分解動力学について検討した.
    オクタノイルアスコルビン酸の合成には,Candida antarctica由来の固定化リパーゼを用い,2-ブタノンおよび水による二相分配抽出にて精製した.所定量のカテキン,アシルアスコルビン酸およびリン酸緩衝液(pH5.0~7.5)を茶褐色バイアル瓶に入れ,所定温度(37~70℃)の恒温水槽に浸し振盪させた.ODSカラム(4.6 mmϕ×250 mm)およびUV検出器(280 nm)を用いたHPLCにてカテキン残存量を測定した.
    カテキン分解について動力学解析を行った結果,カテキン初濃度が高いほどWeibull式の適合性が低かったが,分解速度定数kおよび形状定数nがいずれも小さかった.いずれの初濃度でもn値が1未満であったため,初期段階で分解が進み,徐々に分解速度が低くなることが示された.これらの結果は,カテキン初濃度が高いほど,カテキンの残存分率の低下が遅いことを示している.また,pHおよび温度が低いほどk値が低く,低温・低pHでのカテキンの高い安定性が示された.一方,n値には顕著なpHおよび温度依存性が認められなかった.速度定数の温度依存性がArrhenius式に基づいて解析され,見かけの活性化エネルギーおよび頻度因子を決定した結果,カテキン分解過程におけるエンタルピ-エントロピ補償の成立が示されたため,異なるpH下での分解が本質的に同じメカニズムで進行したことが示唆された(Tβ=46.4℃).カテキン水溶液へのアスコルビン酸添加によりその安定性が向上し,アスコルビン酸濃度が低いほどk値が低くなる傾向が認められた.他方,オクタノイルアスコルビン酸を添加した場合では,その濃度が0.01 mmol/L以下であればカテキン分解が抑制され,0.1 mmol/L以上であれば分解速度が高くなった.オクタノイルアスコルビン酸の25℃水溶液中での臨界ミセル濃度が1.24 mmol/Lであるため,オクタノイルアスコルビン酸のこの特徴的な挙動がミセル形成に起因するのではないかと考え,水-オクタン酸メチル系でのカテキンの分配係数Pを測定した.カテキン濃度が高いほどP値は高かったが,いずれのカテキン濃度でも0.1未満であった.したがって,カテキンのミセル相への分配による見かけのカテキン量の減少ではないことが確認された.しかし,オクタノイルアスコルビン酸のミセル形成がカテキンの不安定化に何らかの影響を与えているものと考えられる.異なる温度下におけるオクタノイルアスコルビン酸添加時のカテキンの安定性を測定した結果,オクタノイルアスコルビン酸はいずれの温度でもカテキン分解を抑制し,その抗酸化能は温度に依存しないで発現されたことが示された.
    抄録全体を表示
技術論文
  • 青山 亮介, 北村 豊, 山崎 和彦
    10 巻 (2009) 2 号 p. 127-133
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    減圧噴霧乾燥法(VSD)は乾燥塔内を10~20 kPaに減圧することにより,40~60℃で液体試料の粉末化を可能とする方法である.本研究では,減圧された乾燥塔内の噴霧特性と粉末化特性を実験的に明らかにすることにより,VSDの設計・操作に資する基礎データを得ることを目的とした.材料に無糖練乳とヨーグルトスラリを用いて,減圧・非減圧の乾燥塔に噴霧し,その液滴径を測定したところ,噴霧圧や噴霧空気流量と液滴径の関係解析から,減圧下に噴霧されることによって液滴はより微細化し,二流体ノズルへの噴霧空気流量が小さい場合でも微細な噴霧液滴が得られることが判明した.しかし少ない噴霧空気流量でVSDを操作すると液滴の乾燥不良が生じ,逆に大きい噴霧空気流量で乾燥すると,微細粉末が乾燥塔外へ多く排出されるのでVSD乾燥特性の向上には,微細粉末を容易に回収する装置的改良が必要である.
    抄録全体を表示
ほんねで語るモノづくり
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top