日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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15 巻 , 2 号
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特集にあたって
特集:原著論文
  • 菊池 耕士, 山本 修一, 四日 洋和, 吉井 英文, 安達 修二
    15 巻 (2014) 2 号 p. 43-47
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    O/Wエマルション系における脂質酸化に及ぼす油滴径の影響は,次のように考えるのが一般的であろう.油滴径が大きいと比表面積が小さく,油水界面での酸素の物質移動の影響により酸化が遅延される.一方,油滴が微細化すると,油水界面を通して十分量の酸素が供給されるので,反応自体が律速となり,脂質の酸化速度は油滴径に依存しない.しかし,既往の論文では,油滴を微細化すると酸化が促進されるとするもの[1-5]と,逆に遅延されるとするもの[6-10]がある.また,油滴径は脂質の酸化に顕著な影響を及ぼさないという報告もある[11-15].このように結果が大きく異なる理由として,使用されている脂質の種類,油滴の大きさの範囲,酸化過程を測定する温度などが異なることに加えて,広い油滴径の範囲にわたり,脂質の状態がまったく同じO/Wエマルションを調製することが,実験的には困難であることがあげられる.そこで本研究では,コンピュータ・シミュレーションにより,O/Wエマルション系における脂質酸化に及ぼす油滴径の影響について検討した.すなわち,N分子の脂質をm個の油滴に分割し,ある瞬間に(無次元時間0で)n分子のラジカルがそれぞれの油滴に均等またはランダムに発生する場合を想定し,発生したラジカルの影響はその油滴内に留まると仮定して,全体の平均的な酸化過程を計算した.また,一定の時間間隔で1個ずつラジカルがランダムに発生する場合の酸化過程についても計算した.脂質の分子数Nは一定としたので,油滴の数mが大きいほど,油滴が微細化されたことに相当する.
    103個の油滴に対して,初期(無次元時間0)に105または103分子のラジカルを均等またはランダムに発生させて,脂質の未酸化率の変化を計算した(Fig. 1).発生するラジカル数が油滴の数より大きいとき(nm)には,ラジカルの発生が均等でもランダムでも脂質の酸化過程はほぼ同じであった.一方,ラジカルの発生数が油滴数と同じ103分子で,均等に発生する場合には,発生数が105分子の場合に比べて,酸化誘導期は遅延されるが,酸化速度には大きな差異は認められなかった.しかし,ラジカルの発生がランダムなときには,酸化速度がやや遅くなり,脂質の酸化はある未酸化率で停止した.その未酸化率は確率的に計算できる.
    次に,初期に105分子のラジカルが,1,10,102,103,104または105個の油滴に対してランダムに発生する場合の脂質の酸化過程を計算した(Fig. 2).油滴数が発生するラジカルの数より少ない1~104個の場合には,油滴の大きさに関わらずほぼ同じ酸化過程を示したが,105個の場合には,Fig. 1と同様であるが,一定の未酸化率で脂質の酸化が停止した.
    上記では,105分子のラジカルが初期に一斉に発生したが,同数のラジカルが一定の時間間隔で1個ずつランダムに発生する場合の酸化過程を計算すると(Fig. 3),油滴数が多い,すなわち,油滴が微細化するほど,酸化の誘導期が延長され,酸化速度も遅くなった.また,未酸化率が0.75,0.5または0.25に到達する時間の分布は,当然ながら,未酸化率が低くなるほど分散が大きくなった.
    ラジカルは油滴に対して均等かつ一斉に発生するのではなく,徐々にかつランダムに発生すると考えるのが妥当であろう.したがって,Fig. 3に示すように,油滴を微細化すると,発生したラジカルの影響が及ぶ範囲が狭くなるので,脂質全体の酸化は遅延される.また,ここで示した効果のほかに,油滴を微細化すると,油滴の表面を覆っている乳化剤の疎水基により脂質が希釈される効果が顕在化して酸化速度が小さくなると予測するモデルを提出している[10].これらの2つの効果により,乳化直後の脂質の状態がまったく同じであれば,ナノエマルション系ではマイクロエマルション系よりも酸化が遅延されることが期待される.
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  • 中川 究也, Teeraya JARUNGLUMLERT, 安達 修二
    15 巻 (2014) 2 号 p. 51-57
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    カゼインは乳タンパク質のひとつであり,安価であること,安全性,乳化特性,生分解性,臭気特性などに優れることから様々な応用が期待されている.脱脂乳より酸の添加により分離される固形分中の主成分がカゼインであり,これをナトリウム塩により可溶化させたものがカゼインナトリウムである.カゼインナトリウムは,pHに依存してナノサイズの自己凝集体を形成する.疎水性相互作用を利用して脂溶性物質をカゼイネートの疎水鎖に吸着させた後,pH調整によって凝集構造を形成させることで極めて簡易にナノカプセルを作製することができる.近年これを,栄養物質や薬効成分を送達するためのキャリアとして利用する技術が研究されている.本研究では,カゼインナトリウム溶液中にβカロテンを混合・安定化させた後,pH調整によって自己凝集体を形成させた.この分散液を噴霧乾燥させることで乾燥粉末を作製し,得られた粉末のマイクロカプセルとしての特性をβカロテン包含率,貯蔵安定性,色変化の観点から評価した.本実験において混合させたβカロテンの量はカゼイネート400 gに対して1 gと比較的低く設定し,最終的に得られる噴霧乾燥粉末中への包含率も比較的高い値が得られるような系を採択した.また,pH調整に伴って形成する凝集体構造に関する情報を小角X線散乱分析により得た.
    初期溶液のpHを6.5,6.0,5.5とそれぞれ変化させた場合,pHを6.0に設定した溶液から得られた噴霧乾燥粉末において最もβカロテンの包含率が高いことが見出された.表面包含率,内部包含率と分けて分析したところ,この設定は表面包含率を低く,内部包含率を高くする条件であることがわかった.一定湿度下におけるβカロテンの貯蔵安定性を評価したところ,やはり同条件にて作製された試料が優れた特性を示した.pHを5.5と設定することでより凝集度が高まるものの,包含率,貯蔵安定性などの観点では優れてはいなかった.貯蔵過程における色変化を測定したところ,pHを5.5と設定した場合には貯蔵期間に比例して退色が進行したのに対し,pHを6.5,6.0に設定した場合においては室温にて約30日間,低湿度下では大きな退色は起こらなかった.本研究におけるマイクロカプセルは,賦形剤などを添加しないカゼイネートのみで安定化された系である.原料溶液中の凝集に加え,乾燥過程における凝集も起こると考えられるが,上記実験結果はβカロテンの包含のメカニズムに原液中の凝集構造が強く関わっていることを示唆している.
    原液中の凝集体構造に関わる知見を得るために小角X線散乱にて凝集体のナノ構造を評価した.散乱プロファイルをフーリエ変換して得られる二体間距離分布関数より凝集体の慣性半径を算出し,また散乱強度の傾きより表面フラクタル次元を算出した.その結果,pH変化に依存した凝集体サイズと表面フラクタル構造の変化が確認できた.pHを6.5から5.5へと低下させることで凝集体サイズは91 nmから166 nmへと増加するが,同時にフラクタル次元も2.4から2.9へと増加した.すなわちpH変化に伴う凝集によって,よりフラクタル性の高い表面構造が形成していることが示唆された.恐らくこの物理的構造の違いが,凝集構造内に包含されるβカロテンの安定性と関連していると考えられた.
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  • Riitta PARTANEN, Lasse MURTOMÄKI, Timo MOISIO, Maija LÄHTEENMÄKI, Outi ...
    15 巻 (2014) 2 号 p. 61-67
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    Protection of sensitive lipids such as oils against oxidation in foods is often a real challenge due to the heterogeneity of the food matrix and interactions of the matrix biopolymers with water present in the surroundings. Water-biopolymer interactions are important with regard to oxidation since oxygen dynamics is linked with water mobility, which in turn depends on the mobility of matrix molecules. Oils sensitive to oxidation can partly be protected by spray-drying of emulsions with oil as the dispersed phase. Spray-dried particles are also useful model systems to study the number of factors affecting oil oxidation in a bio-matrix and to elucidate the potential routes for improved oxidative stability via better control of oxygen dynamics.
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解説
原著論文
  • 佐野 貴士, 武波 慎也, 今義 潤, 白砂 尋士
    15 巻 (2014) 2 号 p. 87-94
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,食用油を高温長時間加熱した際に生じるにおい特徴とそれに及ぼすにおい成分の影響を明らかとするため,国内でフライ油として主に用いられている,キャノーラ種菜種油,大豆油,High-oleic Low-linoleic種菜種油,パームオレインの4種の油を用い,180°Cで長時間加熱した際の官能評価と自動DHS(Dynamic Head Space)を用いた分析を実施した.その結果,「全体のにおい強度」とにおい成分の面積の合計値が非常に高い相関性を示したことから,本分析が油脂のにおいを評価するのに有用な手法であることが明らかとなった.官能評価で得られたスコアと各有臭成分の面積値を標準化し多変量解析を行った結果,油脂を長時間加熱した際に発生する「酸敗臭」や「刺激臭」といったにおいには,とくにリノール酸由来分解物が影響を及ぼすこと明らかとなり,その発生には油脂を構成する脂肪酸が影響を及ぼすことが示された.
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技術論文
  • 吉岡 泰嗣, 清水 直人
    15 巻 (2014) 2 号 p. 95-100
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    加圧熱水の反応場を用いてモチ米澱粉のナノスケール化を行った.澱粉の濃度,加圧熱水の圧力と温度をそれぞれ操作し,調製条件の違いによる澱粉粒子の性質の違いを観察した.澱粉粒子の性質としてゼータ電位・粒度分布測定装置を用いて平均粒子径と粒子径分布を測定した.澱粉の平均粒子径は調製条件に依存し,濃度が小さいほど平均粒子径は小さくなり,圧力と温度が高いほど平均粒子径は小さくなった.濃度0.1%(w/w),初期圧力3.0 MPa,到達温度180°Cという調製条件において平均粒子径が150.4 nmとなり,本実験における最小の平均粒子径を示すことが明らかになった.また,100 nm以下の粒子が約30%であった.本実験の操作範囲において温度,圧力および濃度を操作することで平均粒子径を制御し,目的に応じた平均粒子径の試料を調製できることが示唆された.また,大気圧−100°Cで調製した場合においては100 nm以下の成分が確認できず,加圧熱水を用いて調製した場合ではいずれの試料においても100 nm以下に粒子の分布が認められた.このことから加圧熱水は平均粒子径100 nm以下の小さな粒子を調製する手段として有効であることがわかった.さらに,圧力と温度からMarshall-Franckの式を用いて求めた水のイオン積によって,加圧熱水の反応場の特性を評価できることが明らかになった.
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ノート
  • Takenobu OGAWA, Shuji ADACHI
    15 巻 (2014) 2 号 p. 101-104
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    Surface roughness of spaghetti depends on the die material used during production, and affects the momentarily rehydrated amount of water. The calculated average roughness of spaghetti surfaces, Ra, was evaluated for geometry measurements using a laser microscope. Smoothness of the spaghetti surface decreased, depending on the type of the die used during the preparation in the following order: Teflon, polypropylene, polycarbonate, aluminum, and bronze. For hypothetically smooth cylindrical spaghetti, the momentarily rehydrated amount of water per unit surface area was larger for spaghetti with larger Ra values. In contrast, the amount of water per surface area, which was estimated considering the roughness of the surface, did not affect the Ra value. This showed that the initial rehydration rate of spaghetti could be controlled by altering the surface roughness.
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  • La Choviya HAWA, Suriah Binti ALI, Sachie FUJII, Noriko YOSHIMOTO, Shu ...
    15 巻 (2014) 2 号 p. 105-108
    公開日: 2014/09/24
    ジャーナル フリー
    Isothermal drying rates and desorption isotherms of lemon juice were measured and compared with the data for a simulated lemon juice, sucrose, maltodextin and citric acid. The drying rates of lemon juice were much lower than the values for the simulated lemon juice and maltodextrin. Equilibrium water contents of lemon juice were much higher than those for other sugars, and similar to the values for the simulated lemon juice and citric acid.
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解説:環境・エネルギー研究会
注目しています.その技術!
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