症例は下半身麻痺のある83歳の男性で,坐骨部褥瘡に対して当科での治療歴がある.2018年6月に同部位の褥瘡再発のため当科に入院した.坐骨結節の露出と広範な皮下ポケットを伴う褥瘡を認め,全身麻酔下にデブリードマンとRIGENERA
Ⓡシステムを用いたdermal micrograftの注入を行った.陰圧閉鎖療法ののち,術後2週間で大殿筋皮弁により潰瘍部を被覆し,20日後に抜糸した.経過は良好であり術後半年で再発を認めない.RIGENERA
Ⓡシステムは,2013年にイタリアで開発以来,micrograftによる治療として海外で注目されてきているが,本邦での症例報告はまだない.本邦でのmicrograftによる治療の先駆けとして,陰圧閉鎖療法や外科的手術との併用を行い,良好な結果を得たため報告する.
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