情報通信学会誌
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41 巻, 1 号
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論文
  • 大磯 一, 依田 高典, 黒田 敏史
    2023 年 41 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/18
    ジャーナル フリー

    デジタルプラットフォームの利用者情報取扱いへの理解度と利用意向を両立させる政策のため、架空のポイントアプリの利用者情報取扱いの階層構造表示による介入効果を無作為介入実験で測定した。平均介入効果は、クリック義務等で利用者の閲覧負荷を高めた場合に有意に理解度が向上し、利用意向への影響は有意ではなかった。また、介入効果の異質性を分析した結果、パソコンの長時間利用者に追加的な閲覧負荷のない階層構造のみの表示で介入すると理解度が低下するが、閲覧負荷のある表示で介入すると、利用意向が上昇し得ることが明らかになった。また制度信頼が高い利用者は、介入による理解度の上昇がより顕著であった。

    理解度向上のため利用者に負担をかけても、利用意向が低下する場合は少なく、むしろ上昇する場合が多いため、産業振興の観点からも、理解促進を図っていくことが望ましい。また、制度信頼を政策上の重要目標と位置付けることが望ましい。

論説
  • 福永 成徳, 猿渡 康文
    2023 年 41 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/18
    ジャーナル フリー

    東日本エリアの戸建て向けFTTH 市場は、サービス開始以降、NTT 東日本が高いシェアを維持する一方で参入が十分生起せず、競争が不活性なまま今日に至っている。

    本稿では、市場形成を主導する支配的事業者、参入を目論む潜在的競争事業者からなる仮想的FTTH 市場を構築し、反事実的想定を含む複数のシナリオに対して、両事業者が「自社の事業価値の最大化に向けてシナリオ選択する」モデルを分析することにより、実際のFTTH 市場が競争不活性となったメカニズムについて考察する。

    分析結果によれば、NTT 東日本が選択したシナリオにより、潜在的競争事業者の利益が圧迫され、参入障壁が形成されたと考えられる。一方、NTT 東日本のシナリオ選択それ自体は経済合理的であり、行政指導により競争環境の改善が予見されたため、シナリオ変更を必要とする状況には至らなかったと推察される。その結果、参入機会が十分確保できず競争不活性な状態になったと考えられる。

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