欧州連合は、偽情報、陰謀論、ヘイトスピーチ等の有害な情報、及びこれらの情報の拡散の問題に対して、オンラインプラットフォームのあり方・規律を検討するだけではなく、「メディア」が
果たす役割の重要性を強調している。2020年には、欧州委員会が「デジタル化の10年間(Digital Decade)における民主主義とメディア」と題した一連の行動計画を公表し、近年のメディア環境における民主主義とメディアの自由に対して、いかにアプローチしていくかを明らかにしている。2022年9月16日には、これまでの政策展開を踏まえて、編集上の独立性の保障、メディアの安定した財源の確保等を内容とする欧州メディア自由法(European Media Freedom Act)案が公表された。
本稿では、デジタル時代におけるメディアの自由がいかにあるべきかという点について、近年の欧州連合におけるメディア政策の進展を辿りながら考察を加える。
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