情報通信学会誌
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31 巻, 1 号
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論文
  • -機能中心、使い方中心の使用のモデルを手がかりに
    今江 崇, 兼子 正勝
    2013 年 31 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    近年、ユーザ・エクスペリエンス(UX)などユーザを重視する設計思想では、製品そのものにとどまらず、ユーザの使用体験をデザインすることが提唱される。筆者らはこれらの設計思想の検討を通じてユーザの概念を明確化する必要性を論じ、使用を、製品が予め決められた通りに機能するプロセスとしてのみならず、つどの使い方に応じてユーザと機能の関係が動的に生成するプロセスと捉える概念モデル (機能中心と、使い方中心の使用モデル) を提案する。本稿ではその概念モデルに基づき、ユーザの使用を定量的に把握する手法を検討する。即ち、先行研究の蓄積があるUXの評価項目を利用し、UXに配慮し設計された製品である初代iPadを事例とし、そのユーザの使用体験が記述されたブログをテキストマイニングの手法で分析する。そして形態素の出現傾向から、使い方中心のモデルで捉えうる使用のあり方を定量的に把握し、使用を通じて活性化するユーザと機能の関係を確認する手法の検討を行う。これは質的データを定量的に処理することで、特定の製品の使用体験に関するユーザの主観的評価の傾向を俯瞰する試みである。これにより、ユーザの行動の活性化を企図して設計された製品に関して、実際にそうした活性化が実現しているかどうかを確認する方法について検討する。
  • -地域性の検証と提案-
    脇浜 紀子
    2013 年 31 巻 1 号 p. 15-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    新メディアサービスとの競争、地デジ投資の負担などで地上民放テレビ局の経営環境が厳しさを増す中、資本集中を促す政策が進んでいるが、放送においては多元性・多様性・地域性の実現が要である。本研究では、在京キー局主導以外の再編の可能性を探るため、地域の中核局である「基幹局」を対象に、その経営効率性を計測し、それに影響を与える要因の分析を行った。マスメディア機能も加味した分析の結果、自社制作比率が高いことや放送エリアが広いことが効率性を高めることがわかった。前者については先行研究と異なる結果である。経営面ではネットワーク協定の、政策面では県域免許制約の見直しが、基幹局経営に有効であると考えられる。
論説
  • Yasutaka Ueda
    2013 年 31 巻 1 号 p. 31-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    The digitization of terrestrial TV broadcasting is an important target in the New Zealand ICT strategy. The object of this paper is to demonstrate whether the digital switchover in New Zealand targeted for completion on December 1, 2013 will be implemented smoothly while referring to the precedent set in Japan. Although rural areas will be switched over prior to urban areas, this is in consideration of the delay in the proliferation of digital receivers in urban areas, and as a result, switchover is presumed to proceed smoothly. Since the time of the digital switchover in New Zealand is relatively late in comparison with other advanced countries, the price of digital television receivers is already sufficiently low and has reached a level that enables these devices to be easily purchased by residents, thereby serving as another factor indicating that digital switchover will be completed smoothly.
  • ―地上デジタル放送移行とブロードバンド普及の影響を踏まえて―
    高田 義久
    2013 年 31 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/25
    ジャーナル フリー
    ケーブルテレビ (CATV) は、放送、インターネットなどを総合的に提供できるメディアであることから、1990年代には県内のデジタル・デバイド解消と県域の公共ネットワークとして活用するため、CATV網の整備を進める県が現れた。2000年代には、地上テレビ放送のデジタル化移行、ブロードバンド通信の普及が進む中で、特に山間部などの条件不利地域で民間事業者単独では整備が難しいことが課題となっていた。本論では、国のCATV網整備関連施策の動向を踏まえつつ、新たに条件不利地域でのCATV整備を広域で実施した事例について、情報ネットワークおよび地域メディアとしての観点から、その整備目的、過程、現状を検証する。それを踏まえて、条件不利地域にて整備されたCATV網について、情報通信ネットワークと地域メディアとしての観点から考察する。
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