米国では、かねてから表現の自由との関係で著作権法の合憲性が論じられているところ、パブリシティの権利と表現の自由の関係についても、著作権との類似性を手がかりとした議論がみられる。これに対して、「パブリシティ権」に関する日本の裁判例では、これを人格権の一内容とする判断が定着しつつある。しかし、人格権としてのパブリシティ権と、著作権法が定める著作者人格権との相似性については、未だ十分な議論が尽くされていない。
人格権としてのパブリシティ権は、自律的な自己定義について認められる権利として把握することができる。この意味におけるパブリシティ権は、著作者人格権の一部と同様に、プライバシー権 (自己情報コントロール権) と類似する性質の権利であると考えられる。パブリシティ権における理論的根拠や対抗利益による制限については、これらの権利と整合的に解釈すべきである。
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