廃棄物学会論文誌
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14 巻, 2 号
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論文
  • 中西 亜貴夫, 玉井 元治, 川崎 直人, 中村 武夫, 松本 和興, 棚田 成紀
    2003 年14 巻2 号 p. 69-75
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    有機性廃棄物のリサイクル手法として炭化過程は簡易で安価な手法である。特に有機性廃棄物中, 最も多く産出される廃木材は炭化を通して, 有用な木炭としてリサイクル利用が期待される。日本は湿気が多く過去, 床下調湿剤として木炭が広く使用されてきた。しかし, 木炭は調湿性能が一般的に低く, 調湿材として利用する場合, 大量の木炭を要する。本研究では, 高調湿能付加木炭・鉄複合材料の創製を指向し, 鉄の酸化過程を用いて木炭表面を鉄で修飾することで, 木炭よりも省スペースかつ高性能な調湿材料, 木炭・鉄複合材料 (Ch-Fe) を製造した。Ch-Feの調湿性能は最高で従来の木炭の約4倍以上を示し, 特に調湿材として最も性能が要求される高湿度領域 (相対湿度0.55以上) における調湿性能が向上された。現代社会において重要な問題の一つである有機性廃棄物のリサイクルおよび地球温暖化防止という視点から, Ch-Feは高性能な調湿材として有益な再資源化方法となりうることが示唆された。
  • 田口 文章, 宋 国富, 須貝 保徳, 工藤 博康, 小池田 章
    2003 年14 巻2 号 p. 76-82
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    パンダから分離した耐熱性酵素群を産生する新規な細菌株をGAMブイヨン培地に接種して55℃および60℃で盲目継代を繰り返して高温で増殖する細菌叢を確立し, その高温適応細菌叢を用いて食品関連廃棄物処理の実証試験を行った。高温適応菌を定着させた菌床3kgを入れた家庭用生ごみ処理機にオカラと魚屑を17週間に総計79.7kg, フスマと魚屑を12週間に67.2kg, フスマ, オカラと魚屑の混合物を17週間に100.2kgをおのおの連続的に投入した。その結果, 投入重量のおのおのの95.12%, 95.24%, 97.01%が消失し, 菌床の温度は最高73.2℃, 72.8℃, 72.4℃に達した。これらの結果から, 高温に適応させたパンダ由来細菌叢を用いて, オカラ, フスマなどの食品関連廃棄物を高温で迅速な処理が可能であることが判明した。
  • 張 允鍾, 河合 慎一郎, 青木 誠治, 中尾 晋策, 早瀬 光司
    2003 年14 巻2 号 p. 83-92
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    公共空間としての東広島市立西条中央公園における有効なごみコントロール策を探るため12週間にわたり実験を行った。現場介入実験として, 散乱ごみ抑制に一番効果のある均等分散型配置をベースに分別型ごみ箱の設置と分別表の掲示およびごみ箱の撤去とごみ持ち帰りの啓発効果の検証を行った。また, 分別率と分別意識, 分別知識との関係を探るため実験系の利用者である地域住民を対象にアンケート調査も行った。分別型ごみ箱のみ設置した期間に比べて分別表を同時に設置した期間ではごみの散乱率が大きく減少し, ごみの分別率と混入率の双方とも改善が見られ, 分別表の設置が望ましいことがわかった。ごみ箱を撤去したところ, ごみの散乱量はやや増えたが, 啓発パネルの掲示により散乱増加量は大きく減少した。ごみ箱を撤去し, 啓発パネルを掲示することは, 管理されている公共空間ではごみコントロール策として有効であることがわかった。アンケート調査からは仮想分別率, 仮想混入率を算出し, ごみ問題への関心の高さやごみ分別意識の強さと分別知識には相関のないことがわかった。
  • 近藤 康雄, 出口 憲司, 中野 智之
    2003 年14 巻2 号 p. 93-101
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    13種類の製品の分解による部品および素材の選別性を調べた。FAX, ファンヒータ, ガス給湯器, 電気ストーブ, ビデオデッキレコーダ, パソコン類, 洗濯機, エアコン, テレビは, 製品全体を単一素材またはUNIT部品にまで選別できたが, 冷蔵庫は約60wt%の部品しか選別できなかった。小型9製品は, +ドライバ, +精密ドライバ, ニッパおよびヘラの4種類の工具で分解が可能で, 締結部に腐食や損傷は見られなかった。一方, 家電4品目の分解には, ラチェットレンチや金のこをも使用する必要があった。家電4製品群の締結の解除時間は, 小型9製品群の2~3倍となったが, 締結種類別の解除時間の大小関係は, 両製品群でほぼ一致した。分解特性の相似性を検討した結果, 家電4製品群間または小型9製品群間では, 締結の解除可能性や解除時間に多くの類似性があることが明らかとなった。
  • 竹内 正雄, 土屋 健太郎, 畑中 健志, 北島 暁雄, 原田 和彦, 平島 照久
    2003 年14 巻2 号 p. 109-115
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中のダイオキシン類分解処理に対する電子線照射の有効性を調べ, 分解特性を明らかにするために, 五塩化ベンゼン (P5CBz) と四塩化ダイオキシン (1, 2, 3, 4-T4CDD) をケイ酸マグネシウム粉末に吸着させた模擬試料を用いて分解実験を行うとともに, P5CBzの量子化学計算を行った。照射量を300kGyとするとP5CBzとしての分解率は96%に達したが, 低塩素化物が生成するため, 生成物も含めた塩化ベンゼン (CBz) 全体の分解率は62%であった。また, 1, 2, 3, 4-T4CDDの分解実験でも, CBzとほぼ同じ分解率が得られた。分解反応は, 塩素数が多い場合は脱塩素が主であるが, 低塩素ではベンゼン環の開裂が起きていると考えられる。脱塩素の容易さは置換位置により差があり, P5CBzではC-Cl結合解離エネルギーの値が低い結合からの順であった。生成物の異性体分析は, 両側に塩素の存在するP5CBzの3位あるいは1, 2, 3, 4-T4CDDの2 (3) 位が脱塩素しやすいことを示している。したがって, 高塩素化ダイオキシンの処理でも, 2 (3) 位に置換した毒性の高い異性体はできにくいと予想される。
  • 高橋 岩仁, 大木 宜章, 大沢 吉範, 関根 宏, 保坂 成司
    2003 年14 巻2 号 p. 102-108
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は, 下水処理場で多量に発生し, しかも難脱水性の余剰汚泥を再生し, 脱臭材としての利用を図ることを目的とした。そこで余剰汚泥を電解処理により性状改質を行い, この脱水汚泥 (含水率80%) を試料として, 下水処理時に発生する代表的臭気の脱臭性能の検討を行った。先ず, バッチ脱臭実験により, この電解汚泥は短時間に85~95%以上の脱臭性能を示した。次に, 連続実験により, 脱臭性能は400時間まで99%以上の安定した除去率が得られた。さらに試料の含水率を保持することにより脱臭性能の持続性を図ることができた。
    これらのことから電解処理した余剰汚泥が脱臭材として再生利用可能であることを見出した。
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