ゴム, 塩化ビニール等に代表される難燃物を溶融スラグに投入し, 加熱, ガス化するとともに, 残渣分 (以下, 灰分と呼ぶ) をスラグ内に溶融する処理手法 (以下, スラグ流動床方式と呼ぶ) において, 主たる運転条件である炉内の温度, 酸素濃度に対する反応速度の特長を一般的な処理方式である空気燃焼方式と対比しながら把握した。ゴム試料およびポリスチレン試料の大きさおよび灰分含有率がそれぞれ, 3mm, 30%と3.5mm, 0%の難燃物を対象に, 炉内温度が800~1, 200℃, 酸素濃度が3~21%の範囲において, 処理中の難燃物質量の時間変化を計測し, 次の結果を得た。
難燃物の反応速度は, 灰分含有率が小さく揮発分の割合が多いものは空気燃焼方式およびスラグ流動床方式ともに運転条件の影響を受けにくい。一方, 灰分含有率が大きく揮発分の放出の後, 固定炭素の表面燃焼を伴うものは, 空気燃焼方式の方が運転条件の影響を受けやすい。特に酸素濃度の低下に伴い, 固定炭素の反応速度は顕著に低下した。一方, スラグ流動床方式では反応速度の低下は軽微であった。
微粉炭燃焼での研究を参考にして, 数値計算をもとに速度反応論的な議論をした結果, スラグ流動床方式では難燃物表面に生成する灰分がスラグに溶融することから, 固定炭素と空気が直接, 接するとともにサイズが小さくなることで単位面積あたりの反応速度が大きくなることが上記の要因であると考えられる。
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