都市ごみを大型ごみ焼却炉で焼却すると, 水銀の大部分は燃焼ガス中に排出されるが, 燃焼ガス中の水銀の形態は炉内の場所によりかなり変化する。
本稿では, まずガス温度, HC1及びH
2O濃度の水銀の形態への影響について実験的に検討し, 次に炉内の燃焼ガスの実測データを参考にして, 燃焼ガスへの化学平衡計算システム (CTC/SOLGASMIX) の適用を試みた。81種類の化学種 (多相) を考慮した平衡計算を行うことにより, ガス温度, HCl, O
2, H
2O濃度及び飛灰成分 (NaCl, Zn) 等の影響について検討した。
次に, 平衡計算及び基礎実験の結果を用いて, 炉内の水銀の形態変化について熱力学的考察を行った。1条件当たりの計算時間は10~20秒と短く, 操作方法も簡単であることから, CTC/SOLGASMIXへは燃焼ガス中の微量成分の熱力学的考察に極めて有用な手法であると思われる。
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