廃棄物学会論文誌
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1 巻, 1 号
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論文
  • 田中 信寿, 李 東勲, 松藤 敏彦, 神山 桂一
    1990 年1 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    有害有機化合物の一つであるトリクロロエチレン (TCE) は非イオン性有機化合物に分類され, 固体との反応において特異性を持つ。廃棄物処分場はそれらによる地下水汚染の発生源の一つである。これまで埋立層内での非イオン性有機化合物の挙動に関する研究はほとんどなく, 筆者らはTCEを用いて一連の研究を発表してきた。
    本研究は粒径4mm以下の焼却灰及び破砕不燃ごみと水中のTCEとの分解・収着反応, 及び飽和水流れによる廃棄物層内TCE輸送について研究したものである。廃棄物によるTCE分解の一次反応速度定数は約0.02h-1 (焼却灰) , 0.003h-1 (破砕ごみ) と求まったが, この反応には検討の余地がある。分解を伴うTCE輸送を調べるカラム実験を行って並列型TCE収着速度式を用いた解析法とその有効性を示した。両廃棄物に対して瞬間平衡収着率は約0.3, 流体本体から固体内の有機物までTCEが拡散する時の移動し易さを示す総括物質移動容量係数は約0.08h-1と求まった。
  • 占部 武生, 横川 晴美
    1990 年1 巻1 号 p. 10-18
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市ごみを大型ごみ焼却炉で焼却すると, 水銀の大部分は燃焼ガス中に排出されるが, 燃焼ガス中の水銀の形態は炉内の場所によりかなり変化する。
    本稿では, まずガス温度, HC1及びH2O濃度の水銀の形態への影響について実験的に検討し, 次に炉内の燃焼ガスの実測データを参考にして, 燃焼ガスへの化学平衡計算システム (CTC/SOLGASMIX) の適用を試みた。81種類の化学種 (多相) を考慮した平衡計算を行うことにより, ガス温度, HCl, O2, H2O濃度及び飛灰成分 (NaCl, Zn) 等の影響について検討した。
    次に, 平衡計算及び基礎実験の結果を用いて, 炉内の水銀の形態変化について熱力学的考察を行った。1条件当たりの計算時間は10~20秒と短く, 操作方法も簡単であることから, CTC/SOLGASMIXへは燃焼ガス中の微量成分の熱力学的考察に極めて有用な手法であると思われる。
  • 桑山 忠, 本多 淳裕, 山田 優, 三瀬 貞
    1990 年1 巻1 号 p. 19-28
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    電気炉スラグは2段階の精錬工程から排出する酸化スラグと還元スラグがある。還元スラグには化学成分の相違によって粉状と塊状のものがあり, 粉状還元スラグは製鋼条件と化学成分に支配されるが, 大きい水硬性を示す。
    この研究は還元スラグの水硬性の機構を明らかにし, この水硬性を促進させる添加物を調べ, 促進効果の大きい成分を含んだ産業廃棄物と混合してこれらの廃棄物を有効に利用することを目的としている。
    還元スラグの水硬性は12CaO・7 Al2O3, C-S鉱物の水和反応によって発現し, 養生日数の増加とともに促進する。一方, 石膏の添加により12CaO・7 Al2O3が石膏と反応してエトリンガイトを生成し, 水硬性の促進効果が顕著となる。石膏を含む産業廃棄物との混合では還元スラグのみの水硬性の2~4倍発揮するようになる。
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