都市ごみ焼却灰中には,不溶性塩素であるフリーデル氏塩 (Friedel’s salt, 3CaO・Al
2O
3・CaCl
2・10H
2O) が多く含まれている。Friedel’s saltの生成は,3CaO・Al
2O
3(C
3A) を介することが知られているが,生成メカニズムには依然として不明な点も多い。本研究では,C
3Aを介さない不溶性塩素の生成経路,不溶性塩素のエトリンガイト (ettringite, 3CaO・Al
2O
3・3CaSO
4・32H
2O) への変化を実験により検討した。その結果,焼却灰中には,C
3Aを介して生成されるFriedel’s saltとC
3Aを介さず生成されるhydrocalumiteの生成経路が異なる2種類の不溶性塩素が含まれていることが認められた。また,焼却灰中のFriedel’s saltは,高いSO
42−濃度下においてettringiteに変化することも認められた。
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