廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
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ISSN-L : 1883-1648
2 巻, 3 号
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論文
  • 植田 和弘
    1991 年2 巻3 号 p. 47-53
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    リサイクルの目的は実施する主体によって多様であるが, リサイクル事業の継続性はその経済性が確保されなければ保証されない。資源としての都市廃棄物の潜在的大きさと現実のリサイクル量との乖離は大きい。本文では, 廃棄物が市場でリサイクルされる条件を明らかにしたうえで, 公共部門がリサイクル事業を実施するという意思決定の経済的背景を社会的費用便益分析の枠組みで解説する。リサイクル事業の経済性は, 埋立処分場による自然破壊等環境損失を費用としてどの程度内部化しているか, またリサイクルの社会的便益として何をどの程度計上しているかに大きく依存している。公共部門のリサイクルが経済性を獲得できないもう1つの原因は, リサイクルが廃棄物処理の代替手段としての側面と, 処女資源との市場での競争に規定されるという側面との二面的性格をもっていることにある。最後に市民主体によるリサイクル運動の直接的効果と循環型社会システム形成に果たす役割に言及する。
  • 藤本 忠生, 西原 充幸, 川本 克也, 平岡 正勝
    1991 年2 巻3 号 p. 54-59
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却排ガス中に含まれる水銀を湿式洗煙法によって水中に移行させた後に, クローズドシステムとして焼却施設内で回収するための方法を, 基礎実験およびパイロットプラント実験を通して確立し, 回収効果を実証した。回収には, 水中の水銀を還元して加温することによって気化させ, 次にこれを冷却することによって凝縮させ, 水と分離する方法を適用した。
    還元剤には塩化第一スズが最適であること, 還元反応時のpHはアルカリ側が適切であることを示した。システム内循環空気中の残留水銀が流入水に再溶解することが問題となったので, これを防ぐために, 水の滞留時間を短縮して, 排水と空気の接触時間を適正化することが必要であった。
    実施設に水銀回収プロセスを組み込み, 上記方法で運転することによって, 洗煙排水に移行した水銀量の98.5%以上が施設内で回収されることを実証した。
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