都市ごみ焼却排ガス中に含まれる水銀を湿式洗煙法によって水中に移行させた後に, クローズドシステムとして焼却施設内で回収するための方法を, 基礎実験およびパイロットプラント実験を通して確立し, 回収効果を実証した。回収には, 水中の水銀を還元して加温することによって気化させ, 次にこれを冷却することによって凝縮させ, 水と分離する方法を適用した。
還元剤には塩化第一スズが最適であること, 還元反応時のpHはアルカリ側が適切であることを示した。システム内循環空気中の残留水銀が流入水に再溶解することが問題となったので, これを防ぐために, 水の滞留時間を短縮して, 排水と空気の接触時間を適正化することが必要であった。
実施設に水銀回収プロセスを組み込み, 上記方法で運転することによって, 洗煙排水に移行した水銀量の98.5%以上が施設内で回収されることを実証した。
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