一般廃棄物の焼却炉から排出される飛灰中には, 発癌性, 催奇形性, 変異原性などの遺伝子毒性を示す物質も含まれていることが考えられる。本研究では, 飛灰の遺伝子毒性的観点からの安全性評価の一つとしてエームス変異原性試験を行うための溶媒抽出法を検討した。溶媒には極性の異なる6種類の有機溶媒, すなわち, ヘキサン, 酢酸エチル, アセトン, エタノール, ジメチルスルホキシド (DMSO) , メタノール及び水を用いて比較した。
エームス変異原性試験のための抽出溶媒には, 簡便性と抽出率とからDMSOが最適であり, 代謝活性化剤
S9mixを加えた場合に強い変異原性を示す傾向が認められた。また, 抽出DMSO量や抽出時間, 抽出回数について検討したところ, DMSOを6ml/g用いて, 200spmで10分間往復振とうした後, 3, 000rpmで10分間遠心分離し, DMSO層を採取する操作を2回繰り返すことによってほぼ完全に変異原性物質を抽出できることが明らかになった。
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