廃棄物学会論文誌
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4 巻, 2 号
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論文
  • 金子 栄廣, 〓 英眞, 藤田 賢二
    1993 年4 巻2 号 p. 35-41
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    堆肥化反応の主体である微生物がどのように反応に関わっているかについて十分に理解することは適正な堆肥化処理のあり方を考える上で重要である。
    本研究では, まず, 堆肥化実験を行い, その過程での各種微生物数の変化を追跡した。その結果, 細菌および放線菌が反応の中心となっていることが明らかとなった。しかし, それらの数は反応効率と無関係であることが示され, 微生物の活性の指標の必要性が指摘された。そこで, 新たに増殖活性度という指標を導入し, これと堆肥化反応の重要な環境因子の一つであるpHとの関係ならびに反応物の安定度との関係について調べた。その結果, 増殖活性度は堆肥化反応の効率および安定度の指標となり得ることが示された。
  • 清水 浩, カルカソナ E., ウパリボン S., パイリントラ R., 木谷 収, 種田 健造, 太田 義信
    1993 年4 巻2 号 p. 42-52
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上向流式熱分解炉の小型実験装置を試作して実験研究した。同装置は構造可変に製作し, 各種条件変化で実験して, 比較した結果から装置の具備すべき最適条件を究明した。また, 装置には下記の主なる新機能を持たせた。排出ガスを水沸点の近接温度に自動制御した。燃焼層下に冷却層を構成した。冷却層で得た水蒸気を還元層へ送って水性ガスを得た。排出ガスの冷却過程でタールを用途別に3区分して取得し, タールを十分に除去する処置を採ってからエンジンへ送った。炉周壁を比較的薄い耐火〓瓦材で構成し, さらに耐熱ウール材で被覆した, などである。これらの結果, 熱分解炉内には低温の原料層が無くなり, 還元層が広く形成され, 取得ガスの発熱量を強化できた。クリンカーの発生も回避し, 安定作動した。また, この実験結果から, 反応炉の物質収支と熱収支を究明し, 熱分解炉の特性を把握した。
  • 李 南勲, 楠田 哲也, 島岡 隆行, 松藤 康司, 花嶋 正孝
    1993 年4 巻2 号 p. 53-63
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    埋立廃棄物層に含まれている汚濁物質を分解させ埋立地の安定化を促進させるために, 廃棄物層が持つ浄化能力を活用することは有意義である。廃棄物層の物理化学的および生物学的浄化能力は廃棄物の性状や埋立工法によって大きく異なり, 特に, 廃棄物層の厚さは浄化能力に大きく影響を与えるものと考えられる。
    本報では, 廃棄物層厚が2.0m, 4.0m, 6.0m, 8.0mの準好気性埋立模型槽を用い, 廃棄物層厚が汚濁物質の分解に及ぼす影響並びに, 廃棄物層内での汚濁物質の浄化現象を明らかにするために焼却灰を主な充填物とした廃棄物槽を用いて実験を行った。その結果, 廃棄物層厚が大きいほど単位廃棄物質量当たりのTOCの浸出水への流出量が小さく, 層内部で良く除去されているものと推測された。一方, T-Nは6.0mの層厚までは, 廃棄物層厚が大きいほど流出量が小さくなるが, それ以上層厚が大きくなると廃棄物層内での除去は層厚ほど期待できない結果が得られた。また, 廃棄物層内浸透水のTOCおよびT-Nの鉛直方向濃度分布は, 温度とpHに起因する特異的なTOCおよびT-N濃度分布が形成されていると推測された。
  • 吉野 秀吉, 浦野 紘平
    1993 年4 巻2 号 p. 64-71
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物の焼却炉から排出される飛灰中には, 発癌性, 催奇形性, 変異原性などの遺伝子毒性を示す物質も含まれていることが考えられる。本研究では, 飛灰の遺伝子毒性的観点からの安全性評価の一つとしてエームス変異原性試験を行うための溶媒抽出法を検討した。溶媒には極性の異なる6種類の有機溶媒, すなわち, ヘキサン, 酢酸エチル, アセトン, エタノール, ジメチルスルホキシド (DMSO) , メタノール及び水を用いて比較した。
    エームス変異原性試験のための抽出溶媒には, 簡便性と抽出率とからDMSOが最適であり, 代謝活性化剤S9mixを加えた場合に強い変異原性を示す傾向が認められた。また, 抽出DMSO量や抽出時間, 抽出回数について検討したところ, DMSOを6ml/g用いて, 200spmで10分間往復振とうした後, 3, 000rpmで10分間遠心分離し, DMSO層を採取する操作を2回繰り返すことによってほぼ完全に変異原性物質を抽出できることが明らかになった。
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