廃棄物学会論文誌
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9 巻, 7 号
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論文
  • 野馬 幸生, 貴田 晶子
    1998 年9 巻7 号 p. 287-295
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    カルシウムスケール生成におよぼす焼却残渣の影響を知るため, 15カ所の最終処分場におけるスケールの生成状況と各処分場に搬入されている焼却残渣 (焼却灰, 飛灰および処理飛灰) 37試料についてカルシウムの溶出特性とアルカリ成分量を調べた。液固比10の溶出試験では水酸化カルシウムおよび硫酸カルシウム等の溶解度の影響を受けるため, 溶出可能なカルシウムの全量を求めるには液固比200以上による溶出試験が必要であることがわかった。カルシウムの含有量と溶出量, および酸の中和滴定量から求めたアルカリ成分量の結果から, 水酸化カルシウムを噴霧した飛灰のカルシウム溶出量とアルカリ成分量はともに非常に多いことがわかった。この種の飛灰はスケールの生成に最も関与する焼却残渣であり, スケールが生成している5カ所の処分場のうち3カ所までは排ガス処理として水酸化カルシウムを噴霧した飛灰が処分されていた。また, 未燃分の少ない焼却灰もカルシウム溶出量とアルカリ成分量が多く, スケールが生成していた2カ所の処分場では焼却灰がスケール生成の主要因と考えられた。
  • 林 彬勒, 細見 正明
    1998 年9 巻7 号 p. 296-301
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    硫黄酸化細菌 (SOB) と粒状活性炭 (GAC) とを併用した処理方法が写真廃液の陸上処理プロセスとして提案されている。本研究ではSOB/GACを用いた写真廃液の連続処理におけるGACの破過挙動について検討し, GACは生物活性炭として廃液中の阻害物質を吸着することにより, SOBの酸化活性を促準するという仮説を実証した。400日間にわたる写真廃液の連続処理実験において, 負荷量を0.8~3.7kg-S2O32-/1/d, 滞留時間 (HRT) を7.7~1.9日で検討した場合, 約3ヶ月~4ヶ月のサイクルでpHが上昇し, 流出水中のDOC, S2O32-が徐々に高くなり, 生成するSO42--Sが除去されたS2O32--S量の半分になり, 処理効率が悪化した。このような現象が400日間の連続処理において3回観察され, いずれも槽中のGACを更新することにより, 処理効率は直ちに回復することが確認された。これは廃液中のGACは連続処理の進行に伴い吸着と生物再生を並行しながら飽和状態に達し, GACが生物による再生が不可能な破過状態となったためと考えられた。そこで, 連続槽中から取り出したGACの吸着能力および新しいGACとの比較実験を行った。その結果, 連続槽から取り出したGACは新たな吸着能力がなく, 破過状態であることが明らかにされた。
  • 難波 邦彦, 木本 恭司, 藤田 永治, 中島 健
    1998 年9 巻7 号 p. 302-309
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    地球の環境保全や資源保護の観点より, 家庭, 工場等から排出される一般ごみや産業廃棄物の再利用が推進されている。その一つに一般ごみから燃料化されたRDFを微粉砕し, 粉体バーナで炉内噴射して燃焼させようとする試みがある。本研究では, バーナ開発に有用な知見を得るために, 粉体RDFの熱分解, 燃焼過程で生成されるガスの基礎的な特性を調べるための実験装置を設計製作した。各過程でのガスを分析し, 生成されるガス成分や生成量の傾向についての基礎データを得た。気流ガスの温度が高い場合, 熱分解が活発で, 酸素濃度が高いほど燃焼反応が活発になる。炭化水素系熱分解ガスではCH4が最も多く, 熱分解時には燃料中に多く含有される酸素分がCO, NOなどの化合物の形で発生する。比較的低温の気流中でもこれらのガスが計測されることから粉体RDFは揮発性が良いが, 熱分解時にNOxも生成されやすく, 燃料の実用化にあたっての課題になる。
  • 金 錫九, 松井 三郎, Sandeep Pareek, 清水 芳久
    1998 年9 巻7 号 p. 310-317
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    難分解性廃棄物の分解特性を究明するため, 廃棄物埋立地を模した硫酸塩還元およびメタン生成の埋立模型反応槽を用いて難分解性廃棄物の分解実験を700日間行った。その結果, 硫酸塩還元菌を中心とする微生物によるメタンおよび二酸化炭素の発生抑制率, リグノセルロースの分解特性や傾向等に関する結果を得たが, セルロースの分解効率等に関する定量的な実験データを充分に得ることはできなかった。
    そこで, 本稿では連続運転してきた複合型メタン発酵槽と飽和型硫酸塩還元槽の浸出水を植種として用いたバイアル回分実験を行って, 硫酸塩還元およびメタン生成経路によるセルロースの分解特性を量的に考察した結果を報告する。
    バイアル回分実験の結果, メタン生成菌を中心とする反応より硫酸塩還元菌を中心とする反応によってセルロース分解率が高いことがわかった。飽和型硫酸塩還元槽の浸出水 (硫酸塩還元反応を中心とする反応) を用いた回分実験において, 硫酸塩還元反応は酢酸を蓄積する反応であった。特に飽和型硫酸塩還元槽の浸出水を用いたバイアル回分実験においては, 硫酸塩還元反応が電子伝達の86%以上を占め, メタン発生抑制が効果的に行っていることがわかった。したがって, 硫酸塩還元経路がセルロースの嫌気性分解過程に関与していることが明らかになった。
  • 吉田 宣幸, 早瀬 光司
    1998 年9 巻7 号 p. 318-325
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    広島大学において初めて卒業生と新入生を対象にしたリサイクル市を行った。本研究では大学におけるリサイクル市の実践例として「広島大学1997年リサイクル市」を立ち上げ, その際の法・経済的・人的労力的・環境負荷的諸問題を具体的に明示し, それらを乗り越える方法を探ることを目的とした。リサイクル市は1997年2~4月に行われ, 上記問題点を明らかにし, クリアーできた。また, 広島大学でのリサイクル市立ち上げのデータを公表し、論文として発表することにより, 日本各地の大学での参考となり, リサイクル市を立ち上げ, 継続していく動きが起きることをも目標としている。
研究ノート
  • 美濃輪 智朗, 澤山 茂樹, 小木 知子
    1998 年9 巻7 号 p. 326-329
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    焼酎廃液 (含水率92.7wt%, SS2.45wt%, TOC37, 186mg/l, pH3.1) を金属ニッケル触媒存在下, 高温高圧 (350℃, 19.3MPa) で処理することにより, 無色透明な処理水 (TOC337mg/l, pH7.1) に処理することができた。TOC除去率で99%以上を達成でき, 廃液中の有機物はメタンと水素を主成分とする気体燃料に変換された。廃液中の窒素分は, ほとんどがアンモニア態窒素として処理水に溶解していた。一方, この反応条件下での化学平衡はアンモニアでなく窒素ガスになることから, 有効な触媒があれば, 窒素も同時に処理できることが示唆された。
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