廃棄物学会論文誌
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18 巻, 2 号
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論文
  • 石川 精一, 大庭 俊一, 野村 義夫, 一田 謙一, 坂嵜 代志夫, 小嶋 勉, 福本 真紀, 鈴木 學, 柳瀬 龍二, 立藤 綾子, 松 ...
    2007 年 18 巻 2 号 p. 107-117
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物の陸上埋立処分で有効な浸出水循環式の準好気性埋立システムを, 産業廃棄物の海面埋立処分に応用するため, モデルプラントを用いた実証実験を行った。浸出水を循環させ準好気―嫌気構造を作ることで, 流出水量を8.5~22.4%削減できるばかりでなく, CODや全有機炭素, 全窒素の濃度をそれぞれ83.4~85.4%, 61.7~67.7%, 71.7~75.2%減少させ, 流出量を71.8~80.2%, 52.2~91.7%, 74.4~76.5%削減でき, 浸出水処理を行う場合に望ましくない処理原水の急激な水質の変化をも防止することができた。また, 本システムは, アンモニウム化合物や硫化物等の悪臭原因物質, および重金属類や全有機ハロゲン化合物等の有害物質に対しても削減効果が認められた。
  • 市成 剛, 高橋 宏司, 長谷川 宏治, 手塚 圭治, 木曽 祥秋
    2007 年 18 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    小規模生活排水処理対策として恒久的な施設と位置付けられている浄化槽において, 既設単独処理浄化槽の合併処理化や汚泥発生量の低減は重要な課題となっている。本研究では, 小規模浄化槽へ適用可能な汚泥削減技術として好気性消化法に着目し, 浄化槽汚泥の消化特性について回分実験を行った。その結果, SS減少率 (反応時間=30日, 20℃) は, 夾雑物除去槽堆積汚泥で55.7%, 嫌気ろ床槽堆積汚泥で25.9%となり, 前者は後者に比べ約2倍分解速度が大きかった。
    さらに分解速度の小さい嫌気ろ床槽堆積汚泥を対象とし, ろ過機能を組み込んだ2種類の好気性消化単位装置を用いて連続実験を行った結果, 両装置ともに平均SS除去率は85%以上となり, 消化槽のMLSSを約10,000mg・L-1まで高めることができた。そして, 約100日間における汚泥削減率として30~40%が得られた。
  • 松藤 敏彦, 中嶋 尚平, 東條 安匡, 角田 芳忠, 松尾 孝之
    2007 年 18 巻 2 号 p. 126-136
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    廃自動車, 廃家電, その他の処理物のシュレッダーダストを, 処理プロセスの異なる複数の処理施設から採取し, 資源化, 適正処理のための重要な情報となる物理組成, 発熱量, 金属含有量などの物理化学特性を明らかにすることを目的とした。
    シュレッダーダストの物理組成は, 可燃物の種類にそれぞれ特徴がある。廃家電シュレッダーダストは硬質プラスチックが多いのに対し, 廃自動車シュレッダーダストはさまざまな素材の混合物のためマテリアルリサイクルは難しく, 処理物によって特性が異なるため, 異なる廃製品の混合処理はリサイクルの困難さを増す。ふるい分けは粒径による組成の差が小さいため素材分離には有効ではないが, 灰分除去には, 特に小粒径群の灰分が高い廃自動車シュレッダーダストに対して効果がある。また, シュレッダーダストは対象物によらず金属のうち銅の含有量が高く, 資源としての価値は高い。
  • 小島 康夫, 小原 裕美子
    2007 年 18 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    廃棄物として処理されているソバ殻を有効に活用するために, 蒸煮―炭化の2段処理法を提案した。蒸煮はソバ殻から有用成分を熱水抽出するために行うもので, ルチンが約600mg/kgの収量で得られた。蒸煮処理後の湿潤ソバ殻は乾燥することなくそのまま炭化を行うことが可能であり, 良質なソバ殻炭とソバ殻酢液を得ることができた。
    ソバ殻炭は家屋調湿材や農地の土壌改良用として利用が可能であり, 酢液は農業資材として木酢液と同等の性質を示した。この2段処理により, 付加価値の高いルチンを得るとともに, 2次廃棄物を産出することなく, 残渣をすべて炭・酢液に変えることができることが示された。
  • 坪田 潤, 局 俊明, 津野 洋
    2007 年 18 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    温泉汚泥を80℃で馴化することにより得た超高温嫌気性汚泥を用いて, 超高温嫌気性可溶化槽と高温メタン発酵槽の二槽からなるメタン発酵装置を作製し, 人口生ごみを原料として連続評価試験を行った。超高温嫌気性可溶化槽を用いた場合, 高温メタン発酵槽単独での試験結果よりもメタン転換率が4.3%向上し, さらに本条件下ではメタン発酵の阻害物質であるアンモニアを容易に回収できることが示された。超高温嫌気可溶化槽および高温メタン発酵槽の可溶化酵素粗抽出液を用いて生ごみ可溶化能力を比較したところ, 超高温嫌気可溶化槽の方が生ごみの可溶化能力は高かった。両槽の菌相をPCR-DGGE法で比較したところ, 超高温嫌気可溶化槽からは通常の高温メタン発酵では見られない細菌の存在が確認された。
研究ノート
  • ―溶融条件の検討―
    水上 正善, 野田 明宏, 武井 宏幸, 片岡 義雄, 坂後 充宏
    2007 年 18 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    廃アスベストの処理はこれまで埋立処分を中心に行われてきたが, 最終処分場等の寿命は全国的に残り2.5~4.5年と短く, 現在埋め立てに代わる新しい処分方法が求められている。筆者らはこのたび, 産業廃棄物の処理に伴って発生する主灰と飛灰を使用して1,500℃以下の低温で廃アスベストおよびアスベスト含有廃棄物の溶融処理を検討するラボ実験を行ったので報告する。
    今回の実験の結果クリソタイルを1,300℃, 30分の温度条件 (雰囲気温度) で溶融処理する場合, クリソタイルと飛灰, 主灰の混合比が大きく影響していることがわかった。実験に使用した灰については, 主灰にFe2O3が多く, また飛灰にはCaOが多い。SiO2は主に主灰の方に存在するが, その量は廃棄物の種類と投入量に左右されている。クリソタイルはSiを多く含んでおり, 全体でのSiO2, Fe2O3, CaOの比率が適したときにクリソタイルの溶融が可能になったのではないかと考えられた。この主灰と飛灰を使用することで, 純クリソタイルの比率40%まで溶融することができた。
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