廃棄物学会論文誌
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15 巻, 1 号
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論文
  • 田崎 智宏, 松井 康弘, 川畑 隆常, 大迫 政浩, 高岸 且, 盛田 彰宏
    2004 年15 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    不法投棄の効率的な監視を支援することを目的として, GIS情報を用いて不法投棄が発生しやすい地理属性とその発生確率を解析した。まず, 不法投棄データとして, 市区町村を単位とする608市区町村の圏域データならびに25mメッシュを単位とする421件の現場データを整備した。そのうえで, 事前調査等により不法投棄の要因候補と考えられた31の地理属性について不法投棄の相対発生確率を求め, 不法投棄が発生しやすい地域の地理的特徴を定量的に明らかにした。最後に, 地理属性の相関分析, 因子分析, 不法投棄要因としての説明性の考察などを行って地理属性を絞り込み, 不法投棄に関係する主要な地理属性を選定した。選定された地理属性は, 人口密度, 一人あたりの所得, 失業率, 地形分類, 道路からの距離, 主要道路からの距離, 森林縁深さの7つであった。
  • ―廃棄物層における浸透水の流動と性状に関するケーススタディ―
    香村 一夫, 山崎 康廣
    2004 年15 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物最終処分場の一部を実験サイトとし, 廃棄物層内における浸透水の挙動および性状について検討した。検討方法は, 廃棄物層内に設置したストレーナ深度の異なる3本の観測井における浸透水の水位と水質の時系列的追跡, および比抵抗探査を用いた浸透水の賦存形態の把握による。その結果, この実験サイトの廃棄物層には宙水 (通気帯中に分離された局所的な地下水体) が存在すること, この宙水ゾーンとその下位に賦存する浸透水ゾーンの水質に若干相異が認められること, などが判明した。この結果は, 浸出水集排水管から排出される浸出水質の変化を調べて廃棄物層の安定化を検討する手法に対して, 層内における浸透水の挙動とその性状を考慮にいれる必要性を示唆している。
  • 佐々木 健作, 小島 義弘, 松田 仁樹, 寺田 好晴, 加納 勝博
    2004 年15 巻1 号 p. 19-27
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    砥材とその結合材であるフェノール樹脂 (PR) から構成される工業用砥石廃材から砥材を回収することを目的として, 砥石廃材 (砥石A: Al2O3/SiC/PRおよび砥石B: Al2O3/PR/FeS2/K2SO4/KCI/CaO/ガラス繊維) の酸素加熱処理ならびに水蒸気加熱処理を反応温度800℃にて回分式反応器を用いて行った。
    砥石の酸素加熱処理により, PRの炭素分はほとんどすべてが反応時間5-20min以内にCO2に変換され, Al2O3砥材の回収の可能性が明らかとなった。CO2以外に, 砥石Aでは, CO, 低級炭化水素, NOx, さらに砥石Bでは, CO2, H2O以外にCO, SO2, HClの生成が確認された。
    砥石Bの水蒸気加熱処理の結果より, PRの炭素分のほとんどはCO2に変換され, CO2以外にCO, 低級炭化水素, CS2, H2Sの発生が確認されたが, Al2O3砥材への影響は認められなかった。
  • 岡元 満美, 池田 顕, 牛久保 明邦
    2004 年15 巻1 号 p. 28-36
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    有機性廃棄物の処理方法として, コンポスト化による農業資材利用が一般的である。コンポストの原材料が多様化した今日では, 普遍的に用いることができる評価法がないことから, 粗悪品が流通し利用者が実害を受ける等の問題が発生している。これは, 有機性廃棄物のリサイクルが伸び悩む原因の一つと考えられる。
    これらの問題解決のために新たな品質評価の方法として, ヒラタケ菌糸生長試験による評価法の開発を試みた。これは, 発酵日数の異なる各種のコンポスト試料を含む培地上の中央にヒラタケ菌糸体を接種し, 室温保存しながら経時的に菌糸体の生長速度を測定し, その生長速度の差によってコンポストの品質を判定する方法である。その際, ヒラタケ菌糸生長試験と同時にコンポスト試料およびコンポスト, 水抽出液の化学成分分析ならびに従来の品質評価法としてコマッナによる発芽試験も併せて実施し、総合的に判断しヒラタケ菌糸生長試験法の有効性を確認した。
  • 川口 正人, 浅田 素之, 堀内 澄夫, 堀尾 正靱
    2004 年15 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    セメントおよびセメント系固化材には六価クロムが含まれており, 地盤改良工事などに固化材を使用した場合, 条件によっては改良土から土壌環境基準を超える濃度で溶出するおそれがあり, 国土交通省では使用に際しての措置について関係機関に通知している。ついては室内配合し事前に安全性を確認した上で実施工に着手しているが, 溶出を抑えるため固化材の配合等に関する検討事例は少ない。そこで著者らは地盤改良工事に際して求あられる溶出試験について, 前処理における乾燥方法の違い, 土質・材料の変化等の影響に関して室内実験により検討した。その結果次の事項を得た。発現強度と溶出低減効果は相関性が低い。ロームに比べシルトは六価クロムの保持能力が高く, 低い溶出性を示す。改良地盤の乾燥や酸化を防ぐことにより溶出性を抑えることができる。還元性を高めた固化材は溶出を抑える効果がある。風乾と40℃乾燥の溶出試験結果には良い相関性があり, 試験配合検討時間を短縮でき, 風乾法を補完する方法として利用が可能と考えられる。
  • 前田 敏克, 馬場 恒孝, 水野 大
    2004 年15 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    SiO2, CaOおよびA12O3を主成分とする塩基度の異なるスラグ試料について, 40℃の酸性からアルカリ性の水溶液中における静的浸出試験を行い, スラグの溶解速度を調べた。なお, 溶解速度は, 接触する溶液に含まれる元素濃度やpHなどの変化による影響の少ない1日あたりの規格化元素溶解量 (初期溶解速度) を用いて比較・検討した。スラグの初期溶解速度はいずれも中性および弱アルカリ性溶液中でもっとも低く, 溶液の酸性もしくはアルカリ性が強くなるほど初期溶解速度が増大する傾向が認められた。また, アルカリ性溶液中におけるスラグの初期溶解速度は, 塩基度による影響が認められないのに対し, 酸性溶液中では明らかにスラグの塩基度が高くなるほど初期溶解速度が増大することがわかった。こうした傾向はスラグを構成する網目構造の溶解特性によって決まることが推察された。
  • 宮永 俊明
    2004 年15 巻1 号 p. 52-58
    発行日: 2004/01/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    家電リサイクル工場において回収処理されたプラスチックのマテリアルリサイクルの実現を目標として, 現在の家電リサイクル工場において従来工程の中で簡易に手選別回収可能であるにもかかわらず, その多くが埋め立て等の処理処分されているテレビのバックカバーに着目し, 回収樹脂の性状および品質安定性について調査を通じてそのマテリアルリサイクル性に関する評価考察を行った。
    家電リサイクル工場から現在選別回収されるテレビバックカバーのプラスチックの種類は約7割がポリスチレン樹脂であり, かっその中の約70%程度が難燃性ポリスチレン樹脂である。これらの樹脂の各種物性は, IZOD値は比較的安定であるものの, 比重とMFR値は回収時期によって変動することが確認された。しかしながら, 比重およびMFR値の調整は樹脂の再生コンパウンド時の材料配合調整操作で可能であることから, 今後家電リサイクル工場において適切なPS選別回収が実施されれば, 廃棄されたテレビ部材から再び新規テレビ部材への高品位なプラスチックのマテリアルリサイクルが可能であることが確認された。
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