林齢26年の実生由来のスギ林を対象として, 同一林分の斜面を下部, 中部, 上部に区分し, 初回間伐された小中径木の樹幹含水率および木質バイオマスについて比較検討を行った。間伐木は, 平均の材密度が0.31ton/m
3, 樹幹含水率が66.2%を示し, 分散分析の結果, 両形質ともにプロット間に有意差が認められなかった。樹幹含水率は, 胸高直径との間に相関が見られなかったが, 一方, 木質バイオマスは, 胸高直径との間に高い正の相関が示された。木質バイオマスは, 上部, 中部, 下部の順に大きくなり, 平均が31.30ton/ha, その範囲は26.60~36.69ton/haであった。これらのことから, 樹幹含水率は, 胸高直径および斜面位置とは独立した形質であると示唆された。また, 木質バイオマスは, 斜面位置に関係なく, 直径成長から推定されることが示された。
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