廃棄物学会論文誌
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18 巻, 5 号
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論文
  • 金子 栄廣, 望月 卓, 平山 けい子, 平山 公明
    2007 年18 巻5 号 p. 297-304
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    近年普及しつつある業務用や家庭用の生ごみ処理機器の多くは材料を好気性に保つための攪拌機能を備えている。その多くは間欠的攪拌方式を採用しているが, 過度の攪拌でエネルギーを浪費することなく, 材料が酸素不足になることもない, 適正な攪拌頻度について合理的に決められているとはいえないのが現状である。そこで, 攪拌停止中に静置状態に置かれたコンポスト材料中の酸素濃度の時間変化をシミュレーションによって把握する方法を提案することとした。静置コンポスト中の酸素分布は材料表面からの拡散による酸素供給と材料自身の酸素消費によって決まると考え, シミュレーションプログラムを構築した。カラム実験を行って得たデータとシミュレーション結果を比較することで, シミュレーションの妥当性を検証した。また, この方法を用いて適正な攪拌頻度を検討する方法について例を示した。
  • 布施 正暁, 鹿島 茂
    2007 年18 巻5 号 p. 305-313
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    本稿では, 日本からの使用済み自動車 (End-of-Life Vehicles : ELV) の輸出量を把握するため, ELVの輸出タイプとして業務輸出, 携帯輸出, その他輸出を定義し, 貿易統計を用いて1988年から2005年までを対象に中古車, 中古部品, 資源の輸出タイプ別輸出量の推計を試みた。そして1988年から2005年にかけ, ELVの総輸出量が860千tonから2,635千tonと3倍以上増加していることを明らかにした。また対象期間における全体の輸出量の中で, 中古車は51%から63%, 中古部品は36%から48%, 資源は1%を占めていることと, 携帯輸出やその他輸出といった貿易統計からの把握が困難である輸出量は全体の15%から34%を占め無視できない量であることを把握した。
  • 山本 浩, 横山 隆, 大下 和徹, 高岡 昌輝, 武田 信生
    2007 年18 巻5 号 p. 314-324
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物ストーカ式焼却炉4炉から排出される落じん灰の性状について調査した。焼却灰等と比較して, 落じん灰に含まれるCu, Zn, Pbの含有量は非常に高く, 貴金属類も鉱石と同等の含有量であった。火格子形式と落じん灰のCu, Zn, Pb含有量との間に関連性が認められ, 炉床全面積に対する燃焼用空気噴出口面積の割合を示す火格子気孔率が2~5%の往復動水平式火格子炉では, 火格子気孔率15~18%の並列揺動式火格子炉よりCu, Zn, Pb含有量が高かった。今回調査した火格子気孔率2~5%の往復動水平式火格子炉で, ごみとして投入されたCu, Zn, Pb量の約10~50%が落じん灰に含まれ, 排出されることが認められた。X線吸収微細構造 (XAFS) を用いた化合物形態解析により, 乾燥帯, 燃焼帯下の落じん灰のCu, Zn, Pb, Agは主として金属であると考えられた。以上の結果により, 落じん灰は焼却灰と分別回収することで非鉄精錬原料化することが資源循環・環境負荷低減の観点から望ましいと考えられる。
  • ―その類型化とEC測定の有用性―
    長森 正尚, 小野 雄策, 河村 清史, 山田 正人, 小野 芳朗
    2007 年18 巻5 号 p. 325-334
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    埼玉県内の22箇所の一般廃棄物最終処分場において, 2000年および2005年に化学物質等46項目を対象に浸出水質を調査したところ, 放流水の共同命令基準値を超過した項目はpH, Cd, Pb, BODおよびFeの5項目であった。46項目の相関をみたところ, BOD, COD, TOCおよび揮発性有機酸 (VFA) の有機性項目間, EC, Na, K, CaおよびCl-の無機性項目間で相関が強かった。また, これら9項目の主成分分析により, 第1主成分 (汚濁総量) と第2主成分 (有機または無機成分量) で最終処分場の類型化がある程度可能であった。さらに, 焼却残渣主体の一般廃棄物最終処分場においては, 簡易に計測できるEC値が埋立終了後のBODの挙動をモニタリングでき, 特定の最終処分場における浸出水中のPbのような重金属の高濃度出現を予測できる可能性が示唆された。
  • 堆 洋平, 李 玉友
    2007 年18 巻5 号 p. 335-343
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    8つの異なる植種源を用いた回分実験により様々な基質の水素生成ポテンシャルを検討した。植種源は, 高温酸発酵槽, 中温消化槽, 高温消化槽, 大豆粕, 生ごみ, 活性汚泥, 乳牛糞および土壌から得られた。基質には, でんぷん, ペプトンおよび食用油をそれぞれ炭水化物, たんぱく質および脂質の代表として用いた。でんぷんの水素生成ポテンシャルは17.8-186mL H2/g starchと大きかったのに対して, ペプトンおよび食用油の水素生成ポテンシャルはわずかであった。でんぷんを基質とした実験系に対してPCR-DGGE法により細菌群の解析を行った結果, Clostridium 属細菌やCitrobacter 属細菌などの水素生成細菌が様々な廃棄物系バイオマスに広く分布していることが明らかになった。本研究から, 廃棄物系バイオマスからの非意図的水素生成に対する安全管理の重要性が示唆された。
  • 小藤田 久義, 菅原 康之, 前田 武己
    2007 年18 巻5 号 p. 344-349
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    生分解型の生ごみ処理機は, 処理基材に粉砕木材 (オガ粉) を用いることができるため, 間伐材等の未利用木質資源の活用法の一つとしても期待されている。しかしながら, 頻繁に基材の交換が必要となることや悪臭の発生等の問題があり, 普及するまでには至っていない。これらの問題は, 主にpHの低下によって引き起こされるものと推察されたため, あらかじめpH緩衝剤として炭酸カルシウムを基材に添加し, 効果を調べた。その結果, 炭酸カルシウムの処理基材への添加は, 内容物のpHを4~5ヶ月間にわたって中性付近に安定化させることにより, 基材使用可能期間の長期化および低級脂肪酸発生量の低減に顕著な効果をもたらすことが示された。
研究ノート
  • 飯塚 和也, 石栗 太, 横田 信三, 吉澤 伸夫
    2007 年18 巻5 号 p. 350-355
    発行日: 2007/09/29
    公開日: 2009/01/23
    ジャーナル フリー
    林齢26年の実生由来のスギ林を対象として, 同一林分の斜面を下部, 中部, 上部に区分し, 初回間伐された小中径木の樹幹含水率および木質バイオマスについて比較検討を行った。間伐木は, 平均の材密度が0.31ton/m3, 樹幹含水率が66.2%を示し, 分散分析の結果, 両形質ともにプロット間に有意差が認められなかった。樹幹含水率は, 胸高直径との間に相関が見られなかったが, 一方, 木質バイオマスは, 胸高直径との間に高い正の相関が示された。木質バイオマスは, 上部, 中部, 下部の順に大きくなり, 平均が31.30ton/ha, その範囲は26.60~36.69ton/haであった。これらのことから, 樹幹含水率は, 胸高直径および斜面位置とは独立した形質であると示唆された。また, 木質バイオマスは, 斜面位置に関係なく, 直径成長から推定されることが示された。
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