現在, 日本の家電メーカの多くがテレビキャビネット用難燃樹脂の難燃剤としてノンデカブロ系難燃剤あるいはノンハロゲン系難燃剤を選択している。一方, 現在家電リサイクル工場から発生するテレビキャビネット由来の樹脂のほとんどはデカブロ系難燃剤含有樹脂であるため, 日本国内では, 再び家電製品向け材料として活用するリサイクル利用が難しい。したがって, 再生利用用途の制限と資材コスト的な面から, デカブロ系難燃剤含有樹脂の多くが黒物樹脂として中国輸出等に回されており, そのリサイクル流通状況が不透明になりつつある。一部のリサイクル業者によれば, いったん海外に輸出されたデカブロ系難燃剤含有樹脂の一部は, 汎用の黒色樹脂に混合されて, 再びビデオテープ用途等の黒色樹脂の原材料として再生されて再び日本に戻ってきているという情報もある。
そこで今回, これらの樹脂のリサイクル流通状況を検証すべく, 日本国内の普通の量販店でさまざまな一般雑貨を購入し, その樹脂の成分分析を実施することによって, 本問題の実態を検証した。
調査の結果, 日本の大手家電メーカ製が明示されているにも関わらず, 安価な中国製ビデオテープからは, 臭素のみならず, アンチモンも検出され, また一般雑貨の一部からも臭素が確認された。今回の調査結果より, 廃プラスチックの再生流通の問題点が明らかになった。
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