水資源・環境研究
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1997 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 政良
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 1-8
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    新規ダムの建設が困難になっている状況の下では、農業用水の都市用水への転用がますます強く望まれることになる。本稿では、転用の推進には経済的な動機付けを含めた方策が必要であるといわれていることをふまえ、都市化による受益面積の減少が起こったときの農業用水の対応を、水利用の技術的な側面を中心に記述し、転用の実現には外部からの働きかけが不可欠であることを示した。
    また、都市化に伴う水質汚濁の進行によって農業用水の反復利用が放棄されてきたことが、本来余剰化するはずの水資源を余剰化させない根本的な原因であると指摘して、水資源の再開発を目標にした水質改善と反復利用の再興、強化を提案した。さらに渇水に際して、伝統的な農業用水が生活用水を優先し、高率の節水に応じるために支出する費用、労力等に対しては、生活用水側が補償する制度を作って、渇水時の調整を図るべきことを主張した。
  • 宮野 雄一
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 9-23
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 由比濱 省吾
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 24-33
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    干拓地の農業水利安定を主目的として児島湾奥を締め切って造成された児島湖は、浅海から淡水湖への変化と流域での産業・人口の集中に伴う汚染負荷の増大のために、環境に顕著な変化を生じ、「瀕死」状態といわれるほどになった。長期にわたる管理者不在、下水道整備の遅延、迫力を欠く環境対策などのため、水質は全国最悪クラスになった。
    湖沼法の地域指定を受けて環境保全計画がたてられたが、水質改善は容易に進んでいない。この現実に対して住民運動団体が結成され、学習や調査を重ねて政策能力をつけ、児島湖地域の環境改善のための提言や児島湖条例案を提出した。世論の高まりの中で児島湖条例が制定されたが、その実質的前進のためには縦割り行政の改善や活発な住民運動が必要である。
  • Bathini Munirathnam, Tokusou Saito, Atsushi Matsuoka
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 34-44
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    India has invested millions of rupees in water resources development since independence. But the returns are very low. It is assumed that institutional and managerial problems are inhibiting for efficient use of water. In India bureaucracy is responsible for planning, designing, construction, operation, maintenance and management of large irrigation projects. Inefficient bureaucracy has been responsible for chaos and lawlessness in the water management and water distribution. Largely, the officials are docile, inactive and corrupted. Besides, they are too proudy, refuse to learn and inadequately trained to carry integrated management of agricultural water. Moreover, the conditions like lack of proper facilities, external interference, financial stringency are not congenial to work environment. Now it is high time for the government to bring alternative institutions by creating efficient and committed bureaucracy on the one hand and reducing the burden on the state by transferring management partially to beneficiaries on the other.
  • 足立 敏之
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 45-51
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    建設省では、1997年6月河川法を改正し、その目的として従来の治水・利水に加えて「環境の整備・保全」を位置づけた。これにより、河川の持つ自然や親しみのある水辺空間としての役割に対して高まっているニーズに応え、今後、河川における良好な自然の保全や多自然型川づくり等、河川環境の整備と保全を本格的に推進する枠組みが整備された。これに伴い、河川生態学術研究や自然共生センターにおける各種調査研究を一層推進するとともに、自然を活かした川に向けて河川環境の整備・保全を積極的に推進することとした。
    また、あわせて、河川の整備の基本を定めた工事実施本計画を、長期計画である河川整備基本方針と当面の計画である河川整備計画に分割することとし、河川整備計画の策定プロセスの中に市民参加による意思決定システムを導入した。
  • 野村 克己
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 52-59
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    市民の生活環境の改善と公共用水域の水質保全を目的として、下水道事業は実施されてきたが、重要な建設財源である国庫補助金の交付は今後数年間非常に厳しい査定となりそうである。特に大都市は高普及率を達成したことから、補助金不要論の声も大きい。しかし、下水道事業は単に管渠整備に終わるのではなく、環境の水循環構造の重要な一角を占めている。また、下水道の質的な向上を図ることにより、その力を発揮しなければならない時である。
    一方、維持管理財源さえ使用料で十分賄うこともできない。そこで、税の流れを変えるなど財源構造を変える必要があろう。また、企業による環境監査の導入が次第に増えているが、自治体の実施する事菜についても検討する必要がある。今後の地方分権の動きやローカルァジェンダの取り組みとあわせて体制づくりが今後必要となるであろう。
  • 木村 一夫
    1997 年 1997 巻 10 号 p. 60-66
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    1957年12月10日、揖斐川源流が電源開発株式会社の調査区域に指定された。調査対象となった岐阜県揖斐郡藤橋村および徳山村の両住民とも相ついで「区集会」、「村議会」などで「ダム反対」の決議をした。これに対し建設省は、水資源開発公団に移管し、発電計画だけでなく、洪水調節など公共の福祉につながる「多目的ダム」とした。1964年「徳山ダム」予定地より16km下流の藤橋村に「横山ダム」が完成した。
    紆余曲折を辿って1987年3月、徳山村は閉村し、隣村の藤橋村に編入合併された。廃村と前後して徳山村住民の移転が始まった。ダム問題に翻弄された30年間の追跡調査を「多目的ダム開発と"揖斐谷"住民の変転」にまとめ、『水資源・環境研究、第4号』に発表した。
    新しく、この小論は、廃村前後から12年間、かつて徳山村に住んでいた人々が離村して辿った変転を追跡調査したまとめである。
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