環境税による汚染排出削減の議論において、政府等公的機関による汚染処理は、所与の税収から汚染処理費用を捻出するという議論の組立であった。しかしながら、地球温暖化問題は環境税による社会的費用の最小化問題に新たな側面をもたらしている。つまり、CO
2排出に対し、公的機関は環境税によって社会的費用の最小化を図るとともに、さらに公的機関自らが植林等によってCO
2の固定を行なおうとしているからである。このことは、環境税と汚染の公的処理との統一的な分析視点を要求する。そこで、小論では環境税と公的処理活動の同時決定の効果を明確にするために、政府等公的機関が環境税のみにより汚染物質を削減する場合と比較して、環境税プラス公的処理活動を最適に実行した場合の社会的厚生の変化を明らかにする。
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