水資源・環境研究
Online ISSN : 1883-9398
Print ISSN : 0913-8277
ISSN-L : 0913-8277
35 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集
  • 伊藤 達也
    2023 年 35 巻 2 号 p. 59
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー
  • 三川合流部の水理
    中川 晃成
    2023 年 35 巻 2 号 p. 60-72
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー
    現在の淀川水系の治水構想が水理についての合理的でない認識のもとに構築されており、その認識の起源が近代治水の本格創始した明治中期にも遡ることを指摘した。淀川改良工事の立案の際、淀川水系における宇治川・桂川・木津川の三大支流の合流部についての当時の水理の理解にもとづいて、流量主義や河道内治水原理が導入され、三川合流部に本来的に存在すべき遊水機能の排除が構想され、それは後に巨椋池干拓へと結びついた。その帰結としていかなる状況がもたらされたかは、宇治川左岸の破堤で巨椋池干拓地を全面浸水させた1953年台風13号豪雨や、天ヶ瀬ダム緊急放流や桂川右岸堤防越水に至った2013年台風18号豪雨の際の実測データから実証的に確認できる。過去から現在に至るまで、こうした認識にもとづいた不適合な事業が治水の名の下に計画あるいは実施され続けており、結果、予見し得る氾濫の危険性が放置されたままとなっている。
  • その概要と問題点
    梶原 健嗣
    2023 年 35 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー
    令和元年東日本台風後の2020年7月、社会資本整備審議会が示した答申により、それまで萌芽的に見えていた流域治水への転換が決定的なものとなった。そうして2021年、特定都市河川浸水被害対策法ほか37法を改正する形で流域治水関連法が成立した。 流域治水関連法は全体として、予期される水害の激化に対し、「事前」にどう対応するかという色彩が濃い法律である。だが被害軽減のためには、事後の対応も重要であって、事前・事後の対応が「両輪」として機能することが求められる。荒川水系に代表されるように、治水計画の現状と水防法上の想定豪雨の乖離はかなり構造的なものと言える。そうであれば様々な政策を総動員してもなお溢れる洪水とその被害に対し、事後的な補償をどうするかは極めて重要な課題となるはずである。しかしその点に関する制度設計は、今回の流域治水関連法ではカバーされていない。この点が、今後の治水のあり方を考えた時に、同法に最も欠けている部分と思われる。
論説
  • 長崎県対馬市を事例に
    原田 禎夫
    2023 年 35 巻 2 号 p. 79-88
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー
    急速に深刻化する海洋プラスチック汚染は、生態系にも大きな影響を及ぼしており、対策が急務となっている。日本では2009年に「海岸漂着物処理推進法」が制定され、地方自治体は国庫補助も受けて回収・処理事業を進めている。しかし、海洋ごみの主要な流出源である河川ごみの回収やその発生抑制の取り組みは、海岸漂着ごみの回収・処理と比べてそれほど進んでいない。 本研究では、長崎県対馬市で実施したアンケート調査をもとに、住民の協力度や子供への自然環境の継承など従来の研究では見落としてきた視点を取り入れて、地域の河川や水路の清掃活動や、使い捨てプラスチックの削減に向けた人びとの実践行動がどのような要因によって成り立っているのか、その意識構造を明らかにする。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大が地域の活動にどのような影響を及ぼしたのか、聞き取り調査をもとに分析し、地域における海洋ごみ対策のあり方について考察する。
書評
feedback
Top