水資源・環境研究
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27 巻, 2 号
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論説
  • 滋賀県野洲川土地改良区の冬期通水を事例として
    松 優男, 秋山 道雄
    2014 年 27 巻 2 号 p. 26-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    これまでに利用されてきた環境用水を機能の面からみると、大きく①水質保全、②アメニティの保全と再生、③生物多様性保全、という3類型に分けられる。こうした環境用水の導入に対する潜在的なニーズは高いが、それを成立させるためには一定の条件を満たす必要がある。都市化が進行している地域では、都市住民による環境用水導入のニーズが高い一方、従来、農業用水を管理してきた土地改良区は、都市化に対応し得る水管理体制の再編を迫られている。したがってこうした地域では、関係者・関係機関の合意形成を図りつつ、環境用水を成立させるための条件をいかに備えていくかという点を解明することが課題となっている。本研究では、地域用水機能増進事業を通じてこの課題に取り組み、環境用水の導入を成立させた滋賀県野洲川土地改良区を対象として、その過程と要因を分析した。
  • 母親水がめプロジェクトを事例に
    山本 早苗
    2014 年 27 巻 2 号 p. 36-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    本論文は、グローバル企業の開発援助を受けて展開している母親水がめプロジェクトを事例に、中国西部のローカルな水利用のしくみが再編されてゆく過程を明らかにすることを目的とする。母親水がめは、ローカルな技法を生かしながら近代的技術と結合することにより、衛生的で比較的安定した水量を確保することを可能にした。また開発の過程を通じて、これまで発言力を持てなかった女性が、開発の新たな担い手として立ち現れてきた。しかし、天水に依存した水利用のしくみに変化はなく、経費が増大したり個人で管理することが困難になったりするという矛盾がもたらされた。地域社会は、開発を通じて国内の政治化の過程に組み込まれるとともに、グローバル企業の政治化の過程に組み込まれるようになってしまった。ローカルな水が政治化されていく過程で、天水が新たな資源として囲い込まれるようになり、地域にとって持続的ではない利用のしくみが生み出されてしまったのである。
研究ノート
  • NPO法人「びわこ豊穣の郷」を事例として
    山添 史郎, 霜浦 森平, 塚本 利幸, 野田 浩資
    2014 年 27 巻 2 号 p. 44-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    本稿では、滋賀県守山市において水環境保全に取り組むNPO法人「びわこ豊穣の郷」を事例として、地域環境NPOの会員層を明らかにする。「びわこ豊穣の郷」の会員へのアンケート調査のデータをもとに、クラスター分析を行った結果、第1に、地域環境NPOの会員については、活動への関わり方の相違により、「コア活動層」、「自治会活動層」、「共感支持層」という三つの会員層に区分できること、第2に、三つの会員層では、基本属性や「活動の志向性」等において異なる傾向を有することが明らかとなった。三つの会員層のうち「自治会活動層」は、身近な地域を単位とした活動の担い手でもあり、地域環境NPOの会員層を特徴付けていると考えられる。
水環境フォーラム
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