水資源・環境研究
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2003 巻, 16 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 「近い水」対「遠い水」
    森滝 健一郎
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 1-8
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
  • 滋賀県守山市を事例として
    山添 史郎, 霜浦 森平, 塚本 利幸, 野田 浩資
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 9-20
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    住民が身近な水環境を保全する取り組みが日本各地で行われている。そのような取り組みにおいて課題となっているのが、それぞれの地域に適合的な水環境を保全するための「担いのしくみ」の形成である。本稿では、琵琶湖の東岸に位置する滋賀県守山市を事例として、自泊会レベルの地域社会における水環境保全活動を取り上げる。地域住民組織を「自治会型組織」と「テーマ型組織」に分類し、両者の関係性の違いに基づき、自治会型組織によるテーマ型組織の「包摂型」、自治会型組織とテーマ型組織の「交叉型」、自治会型組織とテーマ型組織の「並立型」という三類型を設定し、それぞれに適合的な事例を取り上げて検討を行う。それぞれの「担いのしくみ」の差異と課題を示すとともに、その差異が混住化のタイプという地域特性の違いに基づくものであることを明らかにする。取り上げた三つの自治会は、それぞれの地域特性である「内からの混住化」、「複合的混住化」、「外からの混住化」に適合的な「担いのしくみ」を形成しているといえよう。
  • 滋賀県大津市仰木地区の事例より
    山本 早苗
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 21-32
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    本稿は、これまで水利研究で十分に考察が加えられてこなかった棚田水利を対象として、棚田水利の構成原理とそれが果たす役割を明らかにすることを目的とする。そのために、棚田において雰常に級密な水利用・管理をおこなっている人びとの背後にはたらいている論理と方法を具体的に記述することに重点をおいている。
    本研究の調査対象地である滋賀県大津市仰木地区では、「井堰親制度」という独自の水利慣行が残っている。ここでは、「下流」の末端部に位置する水田所有者を「井堰親」とよび、水利管理責任者としていた。このような末端水利固有の管理により、下流まで平等な水の分配を可能にしていた。本稿では、井堰組織の成員間の関係をオヤコ関係として捉えなおし、(1)オヤの固定性、(2)下流の地位の再定置、(3)オヤコの労働関係における特徴をそれぞれ示した。そして仰木地区では、このオヤコ関係を維持することが、結果的に領域としての棚田保全へとつながっていることがわかった。
  • ルアンパバン県ナムバック郡7か村のヒヤリング調査より
    千頭 聡, 上杉 圭子
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 33-40
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    この研究は、ラオス北部の焼畑地帯における村落の社会経済状況や森林資源の利用について実態調査を行い、持続可能な資源利用と地域開発の方向性を探るものである。
    この研究で得た結果を以下に列挙する。
    (1)米不足を補う収入手段として、特用林産物は、一役を担っていると言える。よって、林産物資源の減少や枯渇を防ぐために、採取量のコントロールや保全の方策を同時に検討する必要がある。
    (2)換金作物の導入は、収奪型の焼畑から脱却する良い方策であるが、流通システム等の確立も同時に必要となっている。
    (3)森林および焼畑跡地の各段階の名称は、細かく付けられている。これは、慣習的に森林の植生や再生段階を細かく観察していることを示している。
    (4)ラオス政府による森林区分は、森林の機能により設定されているが、村人が慣習的に認識してきた森林の区分は、焼畑や信仰など生活に密接に結びついてきたものである。
  • 後藤 理絵, 粕谷 志郎
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 41-48
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    長良川河口堰の運用によって失われた環境の経済的価値をCVMによって評価した。税金による支払意志額を住民投票方式でたずねたところ、長良川流域で年間28億円、全国で年間2,627億円の評価を得た。運用開始から5年以上経過してからの調査であったが、河口堰の役割を「無用」とした回答と「有用」とした回答が拮抗した。環境に最も低い評価を下したのは、河口堰の役割を「利水」と認識したグループであった。また、長良川から距離的に離れるにつれ、また認識が低くなるにつれ、その評価額も低くなる傾向が見られた。
  • 「持続可能性のための教育」の視点から
    花田 眞理子
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 49-58
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    20世紀を通じて大量生産大量消費大量廃棄型の経済発展を続けた結果、地球環境問題は、人類の存続を危ぶまれるほど深刻な状況に陥っている。そこで、"将来の世代が自らの欲求を充足する能力を損なうことなく、今日の世代の欲求を満たす"ような「持続可能性(Sustainability)」の観点から、現在の社会・経済システムを見直す必要が指摘されるようになった。そもそも「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念は、南北問題と環境問題の解決を図るなかで出てきたものである。しかしそのためには、とくに先進国の人々の意識改革を通じて社会・経済システムの変換をめざす教育的手法が不可欠との認識が広がっている。
    1990年代以降、日本においても環境教育の目的として、持続可能性の観点が強調されるようになった。その結果、環境教育と、開発教育や平和教育など他の教育分野との境界が希薄になり、グローバルな観点から広義に学際的に捉えられるようになってきた。同時に、各地域の環境資源の特性に応じたローカルな持続可能な地域づくりの重要性も認識されるようになっている。
  • 流域経営の視点から
    松下 潤
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 59-64
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    資源の循環利用システムは、もっぱら都市部のごみや水を対象に議論されてきた。本稿では、都市部と森林域間の広域的、組織横断的な森林資源循環と流域管理の問題を扱う。戦後広域的な植林が行われた日本の森林の多くは、輸入材に市場を奪われ間伐されず放置されたままの状況にある。ここでは、森林域の果たす国土管理面からの機能に対して、下流の都市部から応分の負担を行う仕組み(流域経営と呼ぶ)の可能性と今後の課題ついて、首都圏の荒川流域の現状の問題も取り上げながら考察する。
  • 天竜川漁協の活動を中心に
    田渕 直樹
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 65-74
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    遠州には天竜川の堆砂問題と国交省のダム再編事業、大井川の河原砂漠、日本一汚濁された佐鳴湖、中田島砂丘を初めとする遠州灘沿いの海岸浸食、海亀の保護など緊急の課題がある。つまり河川や湖沼、海浜に関わる水環境問題の殆どが噴出しているのである。これに対する遠州市民の取り組みは、「サンクチュアリ・ジャパン」による海亀の保護や天竜川流域における産廃の調査、天竜川漁協による河川環境調査や啓発への取り組み、「浜松環境ネット・ワーク」による市民への啓発活動等、全国レヴェルにおいても貴重な業績が存在する。
  • 平井 拓也
    2003 年 2003 巻 16 号 p. 75-79
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/04/22
    ジャーナル フリー
    近年、速やかな排除に重点を置いた従来の雨水対策に加え、敷地内に降った雨水を積極的に貯留し、雑用水として活用したり、災害時の緊急用水として蓄えておく雨水利用の取り組みが増えている。
    この10年間、列島渇水、阪神・淡路大震災、東海豪雨など雨水利用の必要性を痛感させる現象が起こり、自治体も本格的な下水道事業の一つとして位置づけている。具体的には、個人宅や事務所などの各戸単位を対象とした雨水利用施設設置に関する助成制度の適用が主なものであるが、住民の賛同を得るにはいくつかの越えなければならないハードルが存在している。
    そんな中、京都府K町において、2002(平成14)年9月から「雨水利用検討調査」が行われ、雨水利用施設の普及促進の基本的な考え方、具体的な取り組みについて検討を行った。本稿ではその結果を踏まえ、大規模施設への雨水利用施設の設置も念頭に入れ、今後の普及促進についての考察を行った。
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