農村の環境は人間の環境との影響関係のもとになりたつ文化景域であり、水環境についても集落の生活の中でさまざまな水とのかかわりがあって維持されていたものである。岡山県津山市において市民のまちづくり活動の一環として行われた、高年齢の市民が昭和初期までの子供時代に体験した暮らしと環境の関係の記憶を集成した調査に着目した。
水の入手先、洗濯、風呂、台所などでの利用、再利用、捨て方が現代よりも複雑で排水が直接川や水路に流れこまない等、水環境と暮らしの多様な関係がみられる。大きな河川や井堰などは地形図で確認できるので、地形図上で昔の暮らしの記憶がより具体的に理解できる。このような関係は高齢者の話をていねいに聞くことでかなり集められる。それを活かして、実際に水環境の保全につなげるには、昔からの環境と人のかかわりを必要なところは現代的に新しいあり方で構築する必要があり、その事例として都市住民参加で水車の修繕保存を行った例をとりあげた。
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