音声研究
Online ISSN : 2189-5961
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14 巻, 1 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
表紙
新会長および新委員長の就任挨拶
特集「最適性理論の実験検証と実験音声学の理論整備」
  • 田中 伸一
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 5-6
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
  • ヴァンデウェイヤー イェルーン
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    この論文では,音声学(調音の容易性)に基づく有標性制約の基盤付けと,心理言語学(語認識の効率)に基づく忠実性制約の基盤付けについて,その方法論に関する一案を論ずる。制約そのものは全て普遍的であり,個別言語ごとのバリエーションは制約階層(=文法)のみにあるというのが最適性理論の基本方針であるが,制約の基盤付けに基づくアプローチこそがこの基本方針を(単に仮定するのではなく実質的に)導き出すのである。更に,個別的な制約階層における制約の順序の付け方に関しては,音声学や心理言語学による基盤付けのほかに,類型論的な予測による基盤付けにも左右される。そこで,こうした基盤付けに基づくアプローチを実験的にどのように展開してゆくかに注目しつつ,文法理論全体に与える意味合いについても検討する。
  • クッツェー アンドリーズ・W.
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 13-23
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    この論文で論じるのは,言語運用に関わる音韻データは,言語能力を検証するのに役立つ情報を提供し得るという点にある。そのためには,言語能力を捉える妥当なモデルが,言語運用上の音韻データに観察される有意義なパターンを,うまく説明できるものでなければならない。そこで,ここでは「語らしさ」に関する2つの実験に基づいて,まず音韻運用データに観察される典型的な諸特性(段階的な適格性判断)について論じ,そのパターンが調和文法(Harmonic Grammar)のモデルによりうまく説明できることを示す。
  • カーガー ルネ
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 24-34
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    話者が音声の流れをどのように区切って意味理解を果たすかという「音声分節化の問題」は,従来から心理言語学において,特に言語処理や言語獲得の観点から取り扱われてきた。本稿では,この問題が音韻論にいかなる示唆を与えるかという点について考察を加える。そして,「音声分節化の問題」が,1)音素配列制約の心理的実在性に関する検証に役立つこと,2)音韻文法のモデルとしての最適性理論の証拠付けになること,3)言語獲得の観点からモデルの是非(習得可能か否か)を検証できること,などを主張する。検証に用いる言語は人工言語であり,モデルはSTAGE (Adriaans and Kager 2010)である。
  • 米山 聖子, マンソン ベンジャミン
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 35-47
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    本論文は英語を学習している日本人成人の音声語彙認識における語彙頻度,語彙親密度そして音韻的近傍密度の影響の研究に関する最初の報告である。研究には,英語力が低い東京または埼玉在住者,英語力が高い米国ミネアポリス在住者,そして米国ミネアポリスに在住の英語母国語話者の3つのグループの聴取者が研究に参加した。Imai,Walley,and Flege(2005)に従い,英語母国語話者もしくは日本語母国語話者で日本語アクセントのある英語を話す話者が発した音韻的近傍密度と語彙頻度を直行に変化させた80語を聴取者に提示した。音韻的近傍密度と話者の母語言語の強い影響がすべてのグループで見られた。その上,英語力が高い日本人聴取者は他の2つのグループよりも,アクセントを持つ話者が発した語を聴取する場合の知覚の減少が少なかった。しかしながら,刺激語を厳密に分析してみると,母音と子音は条件にランダムに分布しているわけではなく,非英語母国語話者が犯した特定のエラーは近傍密度の高い語に偏って現われている母音に起こることが明らかになった。今後の研究への提案も行う。
  • マンソン ベンジャミン, コイン アレキサンダー
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 48-59
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    /s/から/∫/の連続体が聴取者に提示される場合,摩擦音は女性が発した母音と組み合わせた場合のほうが男性の発した母音と組み合わせた場合よりもより/∫/と同定されることが先行研究から明らかになっている。また,その効果が最も顕著に現れるのは,話者が非典型的な女性や男性と判断される場合よりも典型的な女性や男性の声と判断される場合であるとされている(Strand and Johnson 1996,Munson et al.2006)。本研究では/sigh-shy/と/sigh thigh/の連続体の聴取者の判断を測定することによってこの現象について更に検討した。刺激語は男性と女性が自然に発話した/<aI>/に/s/-/∫/と/s/-/θ/の連続体を結合し,基本周波数やフォルマント周波数を上下にデジタル修正して作成した。実験は話者情報を何も知らないグループ(/unbiased/),刺激語は全体的な声の高さが変化していると告げられたグループ(/height biased/),そして刺激語は話者のさまざま年齢が違うと告げられたグループ(/age biased/)という3つのグループで行われた。その結果,二種類の摩擦音の連続体は男性と女性の/<aI>/と組み合わされた場合に異なる知覚がなされることが明らかになった。フォルマント周波数と基本周波数の変化度合いは両方の刺激語の連続体の知覚に影響を及ぼしたが,/s/-/∫/のほうが/s/-/θ/よりもその影響が強かった。また,年齢にバイアスがあるグループは声の高さにバイアスがあるグループよりもバイアスがないグループと反応パターンに類似していた。このことから,フォルマント周波数と基本周波数の変化は声の高さの違いよりも年齢の違いにあらわれていると解釈することができる。
  • ブルーズマ ミリアム, 青柳 真紀子, ウェバー アンドレア
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 60-75
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    日本語話者とオランダ語話者が英単語を発話する際に見られる各言語特有の訛り(例:actをそれぞれ/'akto/と/εkt/,moveを/'mu:bu/and/mu:f/と発音)について,まず,それぞれの話者が両言語訛りで読み上げた音声の音響的比較を行った。その結果,両言語話者間に,母語訛りの音声だけでなく非母語訛りの音声にも,母語のリズム特性に起因すると思われる時間制御の違いが見られた。次に,それらの音声特徴と,日本語・オランダ語話者について行った英語語彙認識の聴覚プライム視覚語彙認識実験(Weber,Broersma and Aoyagi,投稿中)の結果との関係を分析した。その結果,オランダ語話者にとっては/εkt/のように/æ>ε/の訛りが強いほどactの語彙認識が容易になるという例を除いては,両言語話者とも,母語訛りと非母語訛りの音声のいずれを聴いた場合でも,音響的に英語音声に近づくほど語彙認識が容易になることが分かった。
  • 大竹 孝司
    原稿種別: 本文
    2010 年14 巻1 号 p. 76-85
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,心理言語学の領域における音声言語の語彙認識の研究で提案されている語彙候補活性化モデルの観点から,話し言葉としての日本語の駄洒落のメカニズムについて考察を試みたものである。このモデルでは,聞き手は話し言葉の個々の単語を直接認識するのではなく,類似した音構造を持つ複数の活性化された単語の中から競合を経て目標の単語を選択するとしている。その際,候補となるのは話者が意図した単語のみならず,単語内や単語間に潜む「埋め込み語」が含まれる。本研究では,即時性を伴う言葉遊びと「埋め込み語」の関係を明らかにするために日本語の駄洒落のデータベースの分析を行った。その結果,駄洒落には同音異義語と類音異議語に加えて単語に内包された単語や外延的な関係にある単語も利用されていることが明らかになった。この結果は,駄洒落では活性化された候補群から最適のものが選択されていると解釈される。このことは駄洒落では候補が英語のpunなどよりも広範囲から選択されるためより自由度の高い言葉遊びであることを示唆している。
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