産業連関
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19 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
【特集地域産業連関表】
  • 新井 園枝, 佐藤 満
    2011 年 19 巻 1 号 p. 3-21
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    平成17年地域間産業連関表は,公式には平成7年表以来,約10年ぶりの公表となった(平成12年表は試算地域間表として個人作成).地 域産業連関表は地域振興・活性化の定量分析を行う上で欠かせないツールであり,平成17年表についても全都道府県で作成されているが,ここでは経済産業局管区の9地域区分による地域間産業連関表の作成方法と分析事例(ケーススタディ)を紹介 し,より一層の理解と啓蒙の一役を担えれば幸いである.
  • 田志 招則
    2011 年 19 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    平成 17 年の九州の総生産額は79兆3,220億円,うち生産のために必要な中間投入は36兆6,759億円,生産活動によって付け加えられた粗付加価値は42兆6,138億円で,平成12年と比較すると中間投入の構成比は2.7ポイント上昇し,粗付加価値の構成比は▲2.8ポイントの低下となった.一方,貿易構造についてみると,製造業の生産額に占める輸出割合は26.5%と平成12年に比べ上昇し,全国の中で最も高い.九州地域の自動車産業は,1975年に日産の九州進出を契機として自動車メーカーの立地が相次ぎ,生産能力は年間154万台で中部・関東・中国地域に次ぐ国内4番目の生産拠点となった.また,最新鋭の生産効率を有した生産拠点機能に加えて,車両開発機能の付加など,更なる高付加価値機能拠点としての発展段階にさ しかかっている.この九州地域で年間154万台が生産され,併せて70%の域内調達率を達成すれば,約5兆3千円の経済効果が生じる.
  • 楢山 孝明
    2011 年 19 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    すべての都道府県で,地域産業連関表が作表・公表されたのは,平成2年(1990年)表であり,この平成17年(2005年)表で4回目を数えることとなる.ただ,これだけの回数を重ねながらも,産業連関表に対する一般的な認識は低く,その概要までは知られていない.実際の作表作業を 行う行政の実務担当者にとっても,その内容に習熟しないままに人事異動により担当を離れ,作表技術の伝承も容易なことではない.一部の熱心な学究により, その精度が研究の対象となりながらも,行政側による精度の検証が行なわれないことは大きな問題ではあるが,作表現場をとりまく環境にも厳しい状況が押し寄 せている.ここでは,作表現場の内側からみたその現状を,少しでもご紹介できれば幸いである.
  • 野田 幸一
    2011 年 19 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    佐賀県の産業連関表は,昭和50年表から推計を開始したので,直近の平成17年表で,7回目の推計となる.本稿において,平成21年度に推計,公表した平成17年佐賀県産業連関表推計の現状と,佐賀県における産業連関表の利用状況を報告する.利用方法の一つとして,部門別CO2発生量の推定について紹介する.なお,平成17年佐賀県産業連関表は,佐賀県庁のホームページ(http://www.pref.saga.lg.jp /web/kensei/_1366/toukei/t-syuuki/_15669.html)に公表されている.佐賀県産業連関表の推計担当者は行政 職であり,周期的な人事異動によって,毎回推計担当者が替わることになる.したがって,推計作業は,毎回,試行錯誤の繰り返しとなっているのが現状である.
  • 村川 春
    2011 年 19 巻 1 号 p. 48-56
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    福岡県は,平成17年度から「平成17年福岡県産業連関表」の作成に着手し,足掛け5年かけて推計作業をおこなった.そして,推計結果は平成22年3月に「平成17年福岡県産業連関表」として公表された.本稿は前半で,福岡県産業連関表の実際の推計方法を主な部門別について紹介する.後半では「産業連関表から見た福岡県」を特化係数や各種統計を用いて紹介し,おわりに推計の課題について述べる.
  • 梯 大輔
    2011 年 19 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    本稿は平成17年(2005年)福岡市産業連関表の推計とそれを用いて明らかになった福岡市経済の投入・産出構造を明らかにしたものである.『平成17年(2005年)福岡市産業連関表』は,平成22年11月に公表され,福岡市役所のホームページにおいて,公開されている.紙媒体による『平成17年(2005年)福岡市産業連関表』は,近く公表の予定である.推計,公表されている産業連関表は,13部門表,31部門表および85部門表である.『平成17年(2005年)福岡市産業連関表』によれば,市内生産額10兆9929億円のうち,商業が23.2%,対事業所サービスが12.0%を占めている. また,平成17年表を公表している政令指定都市との比較によれば,政令指定都市の中で,福岡市が第3次産業に特化した都市であることが改めて明確になった.
  • 山田 光男
    2011 年 19 巻 1 号 p. 64-79
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/11/02
    ジャーナル フリー
    2005年都道府県産業連関表が概ね公表され、その比較分析が可能となってきた。ここでは部門別生産額と部門別純輸移出について検討した。生産額は、概念を調整すれば全国の生産額と比べて0.15%の差額となった。また、純輸移出は生産額の規模に対して1.18%の乖離があった。これらは充分小さい。ただ、部門別に乖離率を見ると10数%程度の乖離率をもつ部門もあり、さらに地域別・部門別には第3次産業で乖離が大きい部門がいくつか見られる。都道府県産業連関表の全国表に対する整合性は、経済産業省地域表とまでは行かないものの、かなり高いものである。他方で、都道府県表などの地域表については、解決すべきいくつかの課題もある。
【投稿論文】 啓発論文
  • 猪俣 哲史, 内田 陽子, 孟 渤
    2011 年 19 巻 1 号 p. 80-89
    発行日: 2011/02/28
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    リーマン・ショックを発端とする今回の経済危機の大きな特徴として,需要ショックの伝播が非常に速く,かつ広域に渡ったことがあげられる.過去数十 年間で急速に発達した国際生産ネットワークは,それが取り結ぶ国と国との相互依存関係を著しく深化させ,ある国で起こった変化が瞬時に他の国々へ波及する といった高度な連関構造を生み出した.危機発生以降,生産や貿易が世界規模で急激に落ち込んだのも,まさに,複雑に絡み合った生産システムの負の産物にすぎない.本稿は,アジア経済研究所作成の『アジア国際産業連関表』を用い,経済危機下のショック伝達メカニズムを解明することにより,「危機後」における東アジアの生産システムを展望する.
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