産業連関
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18 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
【特集スラッファ経済学特集】
  • 木下 宗七
    2010 年 18 巻 3 号 p. 3-4
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
  • D.クルツ ハインツ
    2010 年 18 巻 3 号 p. 5-16
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    ウィリアム・ペティおよびフランソワ・ケネーは,17世紀そして18世紀に,物的投入産出構造を,基本的に他のすべての重要な経済現象にとって鍵となるものの一つを含んでいる経済体系の中核であると考えた.生産の体系とし て考えられる投入産出構造に表現されたものの可能性が,これまでどのような方法で利用されてきたか,また利用されてこなかったかは,現代の産業連関分析の 問題点と方向性の双方を決めることになる.価値と分配の問題と技術変化の問題という 2 つの側面をより詳しく検討する.
  • シェフォールト ベルトラム
    2010 年 18 巻 3 号 p. 17-32
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    発展した資本主義的諸関係のもとで生産された諸商品の価格は,長期的平均では,これらの商品のうちに技術的生産物として体化した労働時間,つまりそれらの 商品の労働価値に比例するという仮説を,労働価値説と理解するならば,偉大な巨匠であるスミス,リカードウ,マルクスのいずれもが,労働価値説を真とは考 えなかったことになる.その一方,ある商品の長期的平均価格を,その商品のうちに体化した労働時間と数学的に関連づけようとする試みとして,労働価値説を 理解するならば,新古典派の創設者であるマーシャルでさえも,労働価値説の信奉者ということになる.混乱を避けるために,以下で労働価値説という場合に は,たえずマルクスの価値論が念頭に置かれる.そこでは,いわゆる転形問題が関わってくる「量的側面」は,いくつかある側面の1つに過ぎない.本稿では,生産価格と労働価値との関係が,ピエロ・スラッファにならって展開される.(原著「マルクス経済学とネオ・ケインジアンの蓄積論 における価値と価格」*)の序文)
  • シェフォールト ベルトラム
    2010 年 18 巻 3 号 p. 33-50
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    本稿では,生産価格と労働価値との関係がいかにケンブリッジ(カルドア,パシネッティ,ロビンソン)の蓄積論および分配論の基礎となっているかということ が示される.最後に,私見ではあるが,どの点で,ケンブリッジの理論がマルクス経済学の理論をさらに発展させることができ,逆に,どの点でマルクス経済学 の理論が,ケンブリッジの理論を前進させることができるのかが,示唆される.(原著「マルクス経済学とネオ・ケインジアンの蓄積論における価値と価格」*)の序文より)
  • 八木 尚志
    2010 年 18 巻 3 号 p. 51-59
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    スラッファの体系では,労働量で測定された価格というものを考えることができる.それに対して,産業連関表は金額表であり,その価格は貨幣の単位で測定さ れている.本稿では,第1にスラッファ体系の特徴を不変の価値尺度としての特徴に着目し労働量を単位として測定される価格として説明する.第2に,労働量 での数量把握を行うスラッファ体系と貨幣評価の産業連関表(I-O 表)の関係を説明する.そして最後に,スラッファ体系を用いた労働生産性の測定方法と I-O 表への拡張について説明する.
  • 黒瀬 一弘
    2010 年 18 巻 3 号 p. 60-74
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    ルイジ・パシネッティの構造変化モデルは,スラッファとレオンチェフの静学的モデルを基礎にしている.この2つの静学的モデルが「垂直的統合」を可能にし,新古典派に対する代替的なモデルとしてのパシネッティを基礎づけている.本稿の第1の目的は,パシネッティ による垂直的統合の概念を振り返り,構造変化モデルの概観を示すことにある.第2の目的はパシネッティ・モデルを応用した理論的及び実証的研究例を紹介することにある.それらの応用研究の多くが新古典派的モデルから導出し得ない結果を 導いている.これはパシネッティ・モデルの代替的なモデルとしての可能性を示唆している.
【投稿論文】
  • 水利用地域間産業連関表を利用して
    福石 幸生
    2010 年 18 巻 3 号 p. 75-95
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2015/04/04
    ジャーナル フリー
    近年の環境問題の深刻化による水資源の減少への懸念に合わせて,2020年代には上水道の更新需要は投資額を上回ると推計されている.加えて,上下水道事業の負債は増加の傾向であり,将来の水資源の減少だけでなく,供給システムの点からも,日本は深刻な問題を抱えている.本研究では,水利用地域間産 業連関表を作成し分析することで,日本の地域間の商品を通じた仮想的な水移動の特徴を明らかにし,日本国内で,輸入される全ての商品・サービスの需要を満 たすシナリオのもとで,各地域がどれだけの水需要を移入,そして輸入によって節約していたかを推計することで,各地域の移入と輸入を考慮した潜在的な水資 源需要を明らかにする.世界的に起こっている食料生産のための資源の減少により,近い将来,海外からの食料のみならず工業製品の輸入が困難になる可能性があるなかで,本研究の結果は,将来の水資源問題を解決するための政策決定の一助となると考えられる.
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