産業連関
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14 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
【学術論文】
  • 河上 哲
    2006 年14 巻3 号 p. 3-19
    発行日: 2006/10/30
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,地域社会会計行列(地域SAM)の作成方法と手順を,三重県をひとつの対象地域として示しながら紹介する.地域SAMの作成により,付加価値部門から最終需要主体への所得分配構造,各最終需要主体の貯蓄・投資構造,最終需要主体間の経常移転等,地域産業連関表や都道府県民経済計算では明らかにされない循環構造の把握が可能となる.また地域SAM は,構造的な経済政策の評価・分析に有力である計算可能一般均衡(CGE)分析のベンチマーク・データとして活用することができることから,地域SAM の構築とその一般化を通して,地域を分析対象とするCGEモデルの発展が期待できる.本稿ではさらに,作成した平成12年度三重県地域SAMを利用した応用分析として,外生的需要等による生産構造や所得分配構造への影響に着目した乗数分析を行う.
【啓蒙論文】
  • 尹 清洙
    2006 年14 巻3 号 p. 20-32
    発行日: 2006/10/30
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    「アジア国際産業連関表」プロジェクトは日本貿易振興会アジア経済研究所により発案・企画され,アジアの関連諸国の研究機関とともに共同研究として進められている.すでに,1975年,1985年,1990年,1995年表が公表されている.最近には,2000年表も公表されたばかりである.しかし,これらを用いた国際連結CGE モデルは開発されていない.本稿は「アジア国際産業連関表1995年」を用いて,「北東アジア国際連結CGE モデル」を構築し,北東アジア地域の自由貿易協定(FTA)の経済効果を予測するのを目的としている.本稿では静態的効果としての「貿易創出効果」1)と「貿易転換効果」が検討される.また,FTA の実証分析によく使われているGTAP2)(Global Trade Analysis Project)モデルとのシミュレーション結果の比較も行われる.
  • スカイライングラフによる分析を中心として
    武田 晋一
    2006 年14 巻3 号 p. 33-49
    発行日: 2006/10/30
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    本稿は1975,1985,1990,1995,2000年のアジア国際産業連関表を用いて,「スカイライングラフ」と「影響力・感応度係数マップ」という新しい分析ツールを提案し,タイと韓国を中心とした国内産業構造の変化と域内分業化の推移について分析したものである.ツールは従来数値を中心になされてきた多時点間の比較を,図によって視覚的にとらえようとするものである. 結果,産業分類の選択や多国間の結合などに試行錯誤的に使うことによって,産業構造の変化が域内の相互依存関係の進行と関連があることが,いくつかの産業で確認された.また産業分類を細分化することで,相互依存関係に内包される複数のトレンドの可能性を示唆した.
  • 伊藤 由樹子
    2006 年14 巻3 号 p. 50-57
    発行日: 2006/10/30
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    資本収益率の向上は,経済成長にとって重要な課題である.グローバル化が進んだ世界では,国際競争力の強化を目指すためにも不可欠だ.「失われた10年」と呼ばれる時期,日本産業の収益率は低迷した.80年代と比べて90年代に低下した理由は何か.収益率変動の度合いは産業ごとに異なるが,それは,価格,賃金,労働生産性,中間投入の効率などいずれの要因によるのか.ここでは,産業連関表の均衡価格モデルを応用して,その要因を追究する.
  • 芦谷 恒憲, 有吉 範敏, 宮近 秀人
    2006 年14 巻3 号 p. 58-70
    発行日: 2006/10/30
    公開日: 2015/03/24
    ジャーナル フリー
    地域における環境と経済の相互関係を体系的に把握するため,2005年12月に内閣府は「地域における環境経済統合勘定の推計作業に関する研究会」を設置し,パイロット・スタディとして兵庫県を対象に「地域版ハイブリッド型統合勘定」の開発と試算を行った.この勘定は,基本的には経済活動を貨幣表示し環境負荷を物量表示する日本版ハイブリッド型統合勘定に準拠したものであるが,廃棄物処理活動などの地域が共有する諸問題を明示できるよう設計されている点に特徴がある.本稿では,兵庫県版ハイブリッド型統合勘定の概要を紹介するとともに,今後の利活用の可能性について言及することとしたい.
【紹介記事】
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