産業連関
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10 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 木地 孝之
    2002 年10 巻4 号 p. 4-15
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
     気候温暖化は,生産活動と密接に結びついた問題である。産業連関表はその有力な分析ツールの1つであり,これまで,経済産業省,慶應義塾大学およびアジア経済研究所等を中心に東アジアを対象とした「環境分析用国際産業連関表」作成の努力が行われてきた。本稿は,その集大成として慶應義塾大学が作成したEDEN(Economic Development and Environment Navigation)の紹介およびそれを利用した東アジアのエネルギー・環境問題の分析事例である。
  • ―経済波及効果を決定する要因―
    安田 秀穂
    2002 年10 巻4 号 p. 16-23
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    「千と千尋の神隠し」の興行収入が過去の記録を更新するなど,映画館は活況である。映画館の経済波及効果はきわめて大きく,生産誘発係数は2.09である。しかし,映画館の現場にたずさわる人々からは依然として厳しい経営状況が続いており,景気はよくないとの声が聞こえる。映画産業の活況と現場の声とのギャップは何なのか。一般に経済波及効果はその産業の裾野にあたる産業が広いと大きくなると言いならわされているが,果たしてそのとおりなのであろうか。本論は経済波及効果の大小を決定する要因を明らかにし,次々と連鎖する裾野への展開によるよりも,最終需要が生じた産業それ自体の投入係数の性質によるところが圧倒的に大であることを実証的に確認し,映画産業の現場に生じたギャップのメカニズムを解明する。
  • ―資金循環・産業連関分析からの提案―
    辻村 和佑, 溝下 雅子
    2002 年10 巻4 号 p. 24-34
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    バブル崩壊後,小さな政府を標榜することで国は財政投融資計画を変貌させ,特殊法人改革を推し進めようとしている。しかしながらこれは,公的金融部門から民間への還流経路を絶つことで,資金の政府への一極集中を招き,わが国の資金循環構造に負のスパイラル(資産デフレ・スパイラル)を構築している。一方で住宅金融公庫廃止にともない,民間による長期固定かつ低金利の住宅ローン供給の必要性は論を待たない。しかしながら財務格付等を考慮すれば,民間金融機関にすぐにこれを期待することは困難であろう。本稿では当面の解決策として,民間金融機関が既存の一般勘定とは独立に住宅ローン専用の特別勘定を設定し,この勘定が発行する住宅ローン債券に政府保証を付与することを提案している。資金循環表と産業連関表を併用した今般の波及分析の結果は,クラウディングアウト効果が払拭されることもあり,新しいスキームのもとでの民間主導の住宅投資の生産誘発効果が,従前の公共投資のそれをはるかに凌駕することを示唆している。
  • 藤川 清史
    2002 年10 巻4 号 p. 35-42
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
     日本は1997 年の地球温暖化防止会議(COP3)の議長国になるなど,地球温暖化問題の解決に積極的に関与してきた。その際交わされた「京都議定書」では,日本は温暖化ガス排出の6%削減を公約した。議定書はその実際の運営方法に関して紛糾したが,昨年秋のマラケシュでようやく最終合意をみた。本年6月に議定書は日本でも批准され,われわれも本格的に温暖化防止対策に取り組まなくてはならない。マラケシュ合意では,二酸化炭素の森林吸収分を多く認めてもらったとはいえ,産業界が推進している「自主行動計画」のみでの公約達成は困難であろうといわれる。このような状況で「炭素税導入やむなし」との空気が醸成されつつあるのだが,問題になるのは新税導入の国民受容性である。炭素税の負担については,国民の属する所得階層や居住する地域によって不公平が生じる可能性があるからである。本稿では,産業連関表と家計調査を用いて,どの程度の負担格差が生じるのかを試算してみた。確かに所得階層別・地域別での炭素税負担の格差は大きく,格差緩和のための何らかの租税政策が採用されるべきであることが示唆される。
  • 宇多 賢治郎
    2002 年10 巻4 号 p. 43-50
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
     容器包装には材質,重量,体積やリサイクルのしやすさなどの性質が異なるものが複数存在しており,これらは代替関係にある。そのため環境負荷を抑制するには,容器のリサイクル率だけではなく,容積で測った容器のシェアの変化にも注目する必要がある。そこで筆者は飲料容器に対象を絞り,リサイクル率と容器の代替性を考慮し,リサイクルの効果を総合的に検討することが可能な産業連関分析モデルを作成した。またこのモデルを用いたシミュレーション分析を行い,リサイクル率の高い容器の利用が環境負荷を下げるとは限らないこと,また環境負荷の低い容器が他の容器よりも環境負荷を高める産業連関効果を生じさせることがあることを示した。
  • 野村 浩二
    2002 年10 巻4 号 p. 51-60
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
     わが国では現在,循環型経済システムの構築が喫緊の課題とされている。現行の産業連関表ではそれを描写し,政策と経済統計の分析的整合をはかることは難しい。本稿では屑・副産物,リサイクル,リユース,逆有償,中古品取引などに関する産業連関表における計上問題を,現行の問題点の指摘とともに数値例によって考察し,その克服のための一試案を提供する。屑・副産物の計上問題は,産業連関表の取引基本表自体の整合性保持,GDP 統計におけるバイアスの除去など,経済統計にとって克服されなければならない課題である。
  • ―日中比較の視点による考察―
    王 在喆
    2002 年10 巻4 号 p. 61-74
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
     経済システムの転換に伴い,中国の経済統計制度もMPS 型からSNA 型に移行している。1987年以後の中国産業連関表はこのような移行期に作成されたものである。これらの産業連関表を日中比較の視点からみた場合,一部の項目内容や推計方法は必ずしも日本表と一致していない。そこで本稿では,表の形式と産業部門の定義,作成作業の流れ,価格評価の特徴,国内生産額と中間投入構造の推計アプローチなどの面から,最新年次の「1997年中国産業連関表」と「1997年上海産業連関表」を紹介する。とくに「1995年日本産業連関表」と比較しながら,SNA型とMPS型の中間にある「中国式投入産出表」の特徴を明らかにしたいと考えている。
  • 2002 年10 巻4 号 p. 75-76
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
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