産業連関
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31 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
投稿論文
  • ―経営母体特掲による産業連関分析―
    長谷川 良二
    原稿種別: 投稿論文
    2024 年 31 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル フリー

     本稿はアマチュアリーグ所属のサッカークラブである,福山シティフットボールクラブを事例として,その地域経済効果を産業連関分析により検証した.分析においてサッカークラブを運営する経営母体を産業部門として捉え,その支出や産出を産業連関表において特掲し事業活動の一部を内生的に取り扱った.経済効果として,直接効果は69.80 百万円,経済波及効果を考慮した総合効果は94.47 百万円であり,直接効果の1.35倍の規模に及ぶという結果を得た.また経営母体を特掲した産業連関分析により,福山シティフットボールクラブがもたらす経済波及効果のメカニズムや連関効果の形成などの検証が可能となり,より詳細な視点で経済効果の実態を明らかにした.

  • 日米中印を中心とした分析
    小野﨑 彩子
    原稿種別: 投稿論文
    2024 年 31 巻 1 号 p. 16-28
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

    本稿では,情報通信関連財・サービスを対象として,国際産業連関表The World Input-Output Database(WIOD)2016年版の2000年と最新の2014年データを用いて,世界の最終需要がもたらす生産,付加価値,雇用の誘発効果を計測し,日米中印等の主要生産国の特徴を分析した.その結果,①世界の最終需要がもたらす生産誘発額と付加価値誘発額について2000年は米国が1位であったが,2014年は中国が生産誘発額では1位となったこと,②生産誘発額,付加価値誘発額でいずれも2000年に2位であった日本は3位となり,その水準は1位2位に大きく水をあけられたこと,③雇用誘発数は2000年以降に日本と米国が減少する中で中国とインドは大幅に増加したことなどが明らかとなった.

  • 雨宮 健一郎
    原稿種別: 投稿論文
    2024 年 31 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/10/28
    ジャーナル フリー

     本稿は,上流度指数(upstreamness)と下流度指数(downstreamness)と呼ばれる指標を用いて産業のサプライチェーンを地域経済レベルで分析した.これらの指標は産業の投入・産出のネットワークの大きさを示すことによって産業のサプライチェーン上の特徴を示すもので,本稿ではこれらを都道府県公表の地域産業連関表に適用し,近年の日本の産業構造の変化を地域経済レベルのサプライチェーンの変化を通じて分析した.その結果,2011年から2015年の間にこれまで拡大傾向であった日本全体のサプライチェーンに縮小がみられたが,この間の地域経済レベルの変化をみると,製造業において複雑な工程をもつ最終財産業への生産のシフトが起こると同時に,個別の産業内では産出ネットワークの複雑化と投入ネットワークの簡素化が起こった地域が多いことがわかった.

  • ―愛知県西尾市を事例として―
    山田 光男
    原稿種別: 投稿論文
    2024 年 31 巻 1 号 p. 42-56
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル フリー

     地域経済の活性化には地元中小企業の活躍が求まれる.そのため,中小企業が地域経済にもたらす経済的貢献度を算定し,可視化することが重要となる.「仮説的抽出法」は,産業連関表の特定部門の経済活動が経済に及ぼす影響度を測るツールとして知られている.この手法を拡張し,産業連関表から特定部門の生産活動を抽出するのではなく,中小企業の生産活動を新たに挿入することによって経済的貢献度を測定する新たなツール「仮説的挿入法」を提案する.ここでは,愛知県西尾市を事例として,中小企業4社を対象に,この手法をレオンチェフ・モデルに適用した「後方連関」を通じた地域貢献度と,ゴーシュ・モデルに適用した「前方連関」を通じた地域貢献度を計測する.

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