内需不足,特に消費需要の不足は中国経済の持続的な成長とともに注目されている.消費需要の低成長の原因は所得分配と消費支出性向に求めるにはSAM(Social Accounting Matrix)の分析手法が有効である.分析を遂行するためには,SAMの構築が必要である.同時に,新たな社会保障システムを SAM の枠組みの中で反映させる必要がある.本稿の目的は2002年のSAMを構築することを通じて,中国のSAM推計が直面する課題を明らかにすることである.
GDP の高成長を維持してきた中国経済のもとで,総所得が増加していることを考えると,消費支出の伸び悩みの原因は,所得分配と消費性向に求めることができるであろう.本稿の目的は,経済循環の視点から農村部家計の消費支出の低成長の原因を解明することである.そして,もう一つの目的は,社会保障基金勘定を設定することと,農林水産業と非農林水産業の労働者報酬を別記することによって,農村部家計と都市部家計のSAM 会計乗数の効果が如何に変化するかを明らかにすることである.