産業連関
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18 巻, 1-2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
【特集マクロモデル特集】
  • 宍戸 駿太郎, 浜田 文雅, 栗林 世, 山田 光男 , 菅 幹雄
    2010 年18 巻1-2 号 p. 3-23
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
  • 宍戸 駿太郎
    2010 年18 巻1-2 号 p. 24-29
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    リーマンショックに始まる今回の世界同時不況は,国際的なマクロ経済政策の疾患と経済学自体への重大な不信を招く結果となった.原因は金融工学手法の暴走 や過剰流動性と世界通貨システムの不安定性にとどまらず,各国政府の経済情報システムの根幹となるマクロ計量モデルの基本システムにも問題がなかったか? 主流派のマクロ経済理論に対するマネタリズムの反革命がいかなる効果を及ぼしたのか?など.21世紀の新しい世界環境にふさわしいマクロモデルの供給や技術サイドの構造を重視するレオンチェフ型モデルとの連結の可能性など,今回本学会の代表的メンバーの方々による自由な討論が行われた.その結果を私なりに整理し,所見を述べたものが以下の小論である.広く本学会の方々にこの分野での論争が巻き起こることを期待したい.
  • 小坂 弘行
    2010 年18 巻1-2 号 p. 30-38
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    経済モデルを作成する時に,最初に2つの異なるモデルの概念を区別する必要がある.規範モデルと実証モデルの区別である.前者はあるべきモデル,規範モデル,後者はあるがままのモデル,実証 モデルと言われる.あるがままのモデルは,経済の資源配分の実態を明らかにしようとするもので,多くの計量経済モデルがこの範疇にはいる.一方,それに対 して,あるべきモデルはこうあって欲しい,こうあるべきもので,しばしば長期の姿を描くことがある.二酸化炭素排出を扱うマーカルモデル,最適産業構造を 論じるターンパイクモデル,また最近のCGE,DGEもこの範疇になる.近年のマクロモデルの主流であるDGEの特徴は,したがって a)規範モデルであり,b)確率を含んだ確率モデルであり,さらに c)価格決定で合理的期待形成を採用する点に求めることができる.ところでこうした DGE のアプローチは2つの欠陥をもっている.一つは日銀モデル JEM などを除いて現実のデータを追いかける実証的側面を放棄していることである.他の欠陥は,所論「deep parameter」の不安定性にある.「deep parameter」の不安定性は,経済システムが社会,人口,政治,環境といった要素と緩い相互依存の中にあることから来ている.したがってこれらの要素をマクロモデルに組み込まないと「deep paramer」の安定性は確保されないだろう.
  • :KOMH-Version Ⅰ
    浜田 文雅
    2010 年18 巻1-2 号 p. 39-52
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    この小論は,日本のマクロ経済の景気循環の特徴を単純化して補足することを主眼としたマクロ計量経済モデルを構築することを主な目的としている.今 回提示するモデルは,本来の目的からすればあまりに単純であるが,モデル開発の方向を示す一つのプロトタイプになるのではないかと考えている.このモデル の特定化においては,(1)就業機会を失う危険確率の指標として,失業率を取り上げ,(2)経済活動を活性化したり沈滞化したりする地球規模の外生要因と して太陽黒点相対数を導入し,(3)失業率の決定メカニズムとして労働と代替関係にある資本設備ストック,労働供給源としての労働力人口および総需要の効果を陽表的に導入している.マクロ計量経済モデルが政策シミュレーションや予測に使われる場合の必要条件は,そのモデルが現実のマクロ経済の変動をどの程度まで説明できるかが明示できることである.このモデルは,最終テストの結果を主要なマクロ変量についてグラフによって明示する.その結果を踏まえて,2015年までの予測および2007年またはそれ以前を起点とする政策シミュレーションの結果を明示する.そこでは政府赤字累積残高およびその対GDP比率の予測結果も含まれている.
  • :「政府支出乗数」1) に関する整理と考察
    猿山 純夫
    2010 年18 巻1-2 号 p. 53-62
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    財政出動は景気底上げにどの程度,寄与するのか.従来,どちらかと言えば懐疑的な見方が増えていた財政政策の効果を,マクロ計量モデルによる「政府支出乗 数」の計測値に着目して考える.内閣府(旧経済企画庁)モデルや,筆者が推計に関わっているマクロモデルを例にとり,現在および過去の乗数がどのように算 出されてきたかを確認,それと日本経済の変化がどのように関係しているか考察する.さらに,財政支出追加を「継続」した場合の3年後,5年後までの中期的な影響についても検討する.それらを踏まえて,財政出動のあり方について私見を交え簡単な整理を試みる.
  • アジア国際産業連関分析
    矢野 貴之, 小坂 弘行
    2010 年18 巻1-2 号 p. 63-70
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    供給要因である要素賦存度に基づいて貿易パターンを説明するヘクシャー=オリーン・モデルに対して需要要因により説明するリンダー仮説がある.本稿では,1985-1990-1995-2000 年接続アジア国際産業連関表を用い,アジア太平洋地域内での工業製品の二国間貿易がリンダー仮説により説明されるか否かを需要項目別に検証した.得られた 結果は,肯定と否定が混在するものであった.全ての需要項目についてリンダー仮説の符号条件を満たすのは輸入国が中国の二国間貿易のみで,アジア太平洋地 域内の二国間貿易についてリンダー仮説は基本的に棄却されることが明らかとなった.
  • 浅川 典敬, 長野 章, 後藤 卓治, 高木 泰宏, 横山 真吾, 加賀屋 誠一
    2010 年18 巻1-2 号 p. 71-79
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    公共事業の事業評価については,行政評価法に基づく政策評価が実施されており,各省庁が定める要領等に基づき運用されている.水産基盤整備事業(公共事業)では,漁業者の営業余剰増加等の直接的な事業効果を貨幣換算して便益を算出している.しかしながら,実際には事業は関連する産業にも波及効果をもたら しており,政策を評価する情報として,住民に説明することが肝要である.本稿では水産基盤波及効果分析手法により,小地域への産業連関分析を行うことで, 現行の手法では算出できなかった効果について定量的に把握し,事業の有する効果を分析・抽出を行うことにより,より的確な事業評価へ近づけることを提案する.
  • 山田 光男, 村田 千賀子, 安岡 優
    2010 年18 巻1-2 号 p. 80-95
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2015/03/28
    ジャーナル フリー
    鈴鹿 F1 日本グランプリには全国から多くの観戦者が集まり,その間交通アクセスや宿泊・飲食・土産など様々な支出を通じて地域経済に直接間接の影響をもたらしてい る.その影響は単に開催市にとどまらず広域にまたがると期待されるものの,これまでその経済効果の詳細な評価・分析が行われてこなかった.ここでは,F1 観戦客や大会主催者,チーム関係者,F1 ビジネス関係者,地元事業者,宿泊事業者等にアンケートやヒアリングによる実態調査を行い,その結果をもとに,東海3県およびその他都道府県の4地域間産業連関表を用いて2006年F1日本グランプリの経済効果を算出した.さらに,県表から市町村の経済効果を計測する簡便法を用いて鈴鹿市および三重県内周辺市町への経済効果の試算をした.
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