日本応用数理学会年会予稿集
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選択された号の論文の217件中151~200を表示しています
O01 宇宙機システムにおける数理
  • 高橋 孝, 松永 三郎
    セッションID: O01
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,接触部を剛体近似した多衝撃問題に関して,従来法よりも適用範囲が 広く,計算負荷が小さい線形相補性モデルの一手法を提案した.さらに線形相補性問題の精度保証定理を導出し,衝撃問題の数値的不具合がモデル化誤差と数値計算誤差のどちらに起因するのか特定する手法を示した.最後に,構築した動力学解析手法を応用して,2次元微小重力模擬実験システムを用いた数値シミュレーションを行った.
  • 歌島 昌由
    セッションID: O01
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    宇宙開発事業団を中心に、将来のエネルギーを確保する手段の一つとしての宇宙太陽発電システム(SSPS)の検討が行なわれている。SSPSは低軌道で半年程度の期間を掛けて組み立てられた後、更に半年程度の期間を掛けて静止軌道に運ばれて運用に供される予定である。本講演では、低軌道から静止軌道への最適な軌道変換を扱う。軌道生成に要する時間を削減するために平均化法を使用し非線型計画問題として定式化する。その問題を逐次二次計画法(SQP)を使って解く。地球重力場の扁平性、地球の蝕、放射線による太陽電池の劣化が大きな影響を与える。これらの影響により、最適解がどのように変わるかを示す。
P03 総合講演03
  • Aflio Quarteroni
    セッションID: P03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    The interest in the use of mathematical modeling and numerical simulation in the study of the cardiovascular system (and its inherent pathologies) has greatly increased in the past few years. Blood flow interacts mechanically and chemically with vessel walls producing a complex fluid-structure interaction problem, which is practically impossible to simulate in its entirety.
    Several reduced models have been developed which may give a reasonable approximation of averaged quantities, such as mean flow rate and pressure, in different sections of the cardiovascular system. They are, however, unable to provide the details often needed for understanding a local behavior, such as, e.g., the effect on the shear stress distribution due a modification in the blood flow consequent to a partial vessel stenosis.
S02 計算化学 on Grid
  • 田中 良夫
    セッションID: S02
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    グリッド(GRID)とは、「高速ネットワークで接続された高性能計算機、大規模データベース、特殊な装置、人的資源などの様々な資源を軟に、容易に、安全に、統合的に、そして効果的に利用するためのネットワーク利用技術」である。グリッドにより、単体のスーパーコンピュータやデータ記憶装置の能力を超える大規模計算や大規模データ処理および超高圧電子顕微鏡のような特殊な装置の遠隔利用といった様々な応用技術が開発され、大規模科学技術計算などのグランドチャレンジからビジネス応用まで多様な応用が可能である。本発表においては、グリッドの概要およびグリッドがもたらす可能性について述べる。
  • 西川 武志, 長島 雲兵, 関口 智嗣
    セッションID: S02
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    Grid技術を用いて、利用者にCPUアーキテクチャ、メモリ容量、ディスク容量等の計算機資源の詳細を意識させることなく、ジョブの内容に最適な計算資源にジョブを割り当て、量子化学計算プログラムGaussianジョブの計算結果を可能な限り早く提供するメタスケジューラを備えたTACC Quantum Chemistry GRID/Gaussian Portal を構築したので報告する。
  • 中馬 寛, 馮 誠, 稲 祐一郎, 西川 武志, 長嶋 雲兵, 後藤 仁志, 朴 泰祐, 佐藤 三久
    セッションID: S02
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    ゲノム創薬を実現するためには、蛋白質・薬物の網羅的配座解析や分子動力学法、分子軌道法等の大規模な分子計算やデータベース処理がシームレスに、かつ超高速に行えることが必要である。本研究では、スーパーコンピュータ、ワークステーション、パソコン、データベース等の広域で高速なネットワーク上に分散した計算機資源を接続して一つの仮想的な巨大計算機を構成することにより、ローカルな計算資源のみを使用する従来の計算科学の方法では不可能であったハイスループットの超大規模計算を可能にする次世代広域分散計算技術であるGridテクノロジーを活用し、各種分子計算プログラム、大規模配座データベースを統合した「創薬プラットフォーム」の構築プロジェクトとその応用例についてを紹介する。
O04 境界要素法および工学における逆問題
  • 北 英輔, 池田 洋一, 神谷 紀生
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本文では、Trefftz法によるPoisson方程式の解法について述べる。最初に、Poisson方程式の非同次項を完全多項式で近似する。近似された非同次項に対応する特解を用いてPoisson方程式の境界値問題をLaplace方程式の境界値問題に変換する。このとき、近似された非同次項には未知係数が含まれるので、これを同定するために反復計算を行う。最後に、提案する方法を傾斜機能材料の定常熱伝導問題に適用する。このような材料は、熱伝導率が場所毎に連続に変化する特性を有する非均質媒体としてモデル化することができるので、支配方程式はポアソン方程式で与えられるからである。
  • 須賀 一博, 天谷 賢治, 青木 繁
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    未知パラメータに関する局所的周波数特性を先験情報として利用できる逆解析手法を開発した。Wavelet変換を解空間に施し、周波数特性/解像度の異なる各成分に分解する。こうすることで、解空間を局所的周波数特性で評価できる。変換により得られた各成分を直接操作して、局所的周波数特性を利用することができる。先験情報を加味した各成分を低周波成分から高周波成分へと順時探索する。得られた各成分から、逆問題の解を得る。Wavelet変換を利用することで、従来、経験的に扱われてきた周波数に関する概念を定量的、合理的に扱うことができる利がある。開発した手法を用いて、熱源を同定する逆問題を解く数値シミュレーションを行った。悪条件性が強く解くことが困難な問題が解けることを示し、本手法の有効性を確認した。
  • 福井 卓雄
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    高速多重極境界要素法は、高速多重極法により方程式の求解を高速化する境界要素法である.計算の高速化と同時に計算に必要な記憶容量も減少させるので,きわめて大規模な問題の解析が可能になる.求解には反復法を使用するので、とくに大自由度の問題に対しては適切な前処理により反復回数を減少させる必要がある.ここでは、とくに波動散乱問題に有効な前処理法として、Haar wavelet変換を利用した前処理法を紹介し,これを高速多重極境界要素法に応用するためのアルゴリズムについて述べる.数値計算結果により、この前処理法による反復回数はほぼN^(1/4)程度になり、自由度の大きな問題に有効であることを示す.
  • 瀬戸 秀幸, 河角 省治
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    境界要素法は,通常,密係数行列に帰着されるため大規模化が課題である.その対策として,著者らはグリーン関数の分離核表示に基づき,実境界のブロック分割を用いる境界要素分割の階層化とユニット分割型付番を組み合わせて,領域分割を用いずに,主要部がブロック帯の係数行列にそのまま帰着される定式化により,FEMと類似の大規模計算スキームが可能であることを示し,基本特異性(1/r)を伴う接水振動問題においてもその有効性を明らかにした.本報では,係数行列の一段の疎行列化を図るべく,係数行列主要部の直接ブロック対角化のための,反復処理も含めた2,3の近似的なスキームの検討を行い,流体中での船舶の接水振動による付加質量に対するテスト計算結果を一例として示す.
  • 高橋 徹, 西村 直志, 小林 昭一
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    近年、高速多重極法などの高速アルゴリズムを用いて境界積分方程式法を加速し、大規模問題を解く試みがなされているが、時間域の算法はErgin らのスカラ波動方程式の高速解法や、我々の2次元時間域動弾性問題の高速解法が知られているのみである。本稿では、前報で開発した2次元時間域動弾性問題の高速解法を3次元動弾性問題へと拡張する。
  • 奈良 高明, 安藤 繁
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    3次元ポアソン方程式のソース項同定逆問題において,ソース個数,強さ,位置を境界データにより陽に表現する解法を提案する.球面調和関数展開を介して得られるソースパラメタと境界データ間の代数方程式の中で,どの調和係数が高いSN比で得られるかは,ソースの空間分布とデータ計測法により決まる.従って用いる調和係数の選定が重要である.我々は,1)低周波調和係数を用いる方法,2)高周波成分までの無限級数を用いる方法を提案する.3次元ソース位置を,方法1)はxy平面に,方法2)はリーマン球面に射影し,1)はソースが比較的一様に領域内に分布している場合に精度良くソースを同定するのに対し,2)はソースが表面付近に集中している場合,解像力高く同定可能であることが示される.1)2)とも,ハンケル行列の首座小行列式によりソース個数Nを推定し,N次方程式の解として射影位置を求めるアルゴリズムとなる.
  • 遠藤 龍司, 川上 善嗣, 登坂 宣好
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    ユニット連結型浮体構造物の連結部の損傷同定解析を行うにあたり,ヘルスモニタリングより得られた連成固有振動数を観測データとする逆問題を定式化する.浮体構造物は,ウエットモードを用いた連成系として境界要素法に基づく数理モデルを構成し,逆解析手法にはフィルタ理のなかでもパラメトリック射影フィルタを採用する.パラメトリック射影フィルタには射影フィルタの制約条件の緩和にともなうノイズの抑制の度合いに対するバランスを調整するためのパラメータが含まれている.本研究では,このパラメータを正則化パラメータとして捉えることにより,パラメータの与え方と同定すべき状態量の収束安定性について数値計算例を通して示す.
  • 代田 健二
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では,線形弾性波動方程式の係数同定問題に対する数値解法について考察する.ここで対象とする弾性体は,等方性であると仮定する.取り扱う弾性問題としては, 2次元問題である平面ひずみ問題について考えることにする.同定対象となる弾性係数としては,密度,Poisson 比,Young 率があるが,ここでは密度,Poisson 比は既知であると仮定し,Young 率のみを同定することを考える.また表面変位と表面力が,境界上すべてで与えられているものとする.この係数同定問題に対する数値解法として,本発表では,変分法的同定法を採用する.元の問題の解を,変分法により得られた汎関数の最小化問題の解により同定する.最小化関数を同定する方法としては,射影勾配法を基礎とした方法を提案する.また数値実験により,本手法の有効性を検討する.
  • 野口 智弘, 天谷 賢治, 青木 繁
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    高靭性金属材料の引張変形の過程を解析する場合,ボイドの発生や成長を考慮にいれたGurson-Tvergaard-Needlemanモデルの構成式が用いられる.この構成式にはいくつかの材料特性値が含まれており,ボイドの挙動を考慮に入れた解析を行うためには,その材料特性値の決定が重要となってくる.本研究では,炭素鋼(S25C)を用いて実際に実験(圧縮試験および引張試験)を行い,5つの材料特性値についての逆解析を行った.逆解析の結果,予め他の手法を利用して介在物の体積率を調べておけば,全ての材料特性値について精度よく同定できることがわかった.また,本手法で得られた炭素鋼の同定結果は,一般的な材料に対する推奨値とされている値と比べて,かなり異なる数値となることがわかった.
  • 阿部 馨督, 天谷 賢治, 青木 繁
    セッションID: O04
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    "本研究ではシリコンウェハへの銅めっき問題に関して最適設計法,および逆解析を用いたモニタリング法の2つの解析法を開発した.
    均一な膜厚のめっきを施すため,まず,カソードに理想的な電位・電流密度分布を2重境界条件として与え,アノードの電流密度を未知とする逆問題を解いた.求めた電流密度分布からアノードの分割幅を決定した.次に,分割された各アノードに与える電流の最適化をSimplex法を用いて行った.
    リアルタイムで膜厚分布をモニタリングするため,電気を利用した膜厚測定装置を提案した.提案した装置の有効性を確認するため,膜厚変化に対する電位の感度解析を行った.測定電位からめっき面全域の膜厚分布をモニタリングする逆解析手法を開発した.数値シミュレーションを行い,開発した解析手法が有効であることを確かめた."
O02 システムと制御の数理
R05 科学技術計算と数値解析の現状と課題(1)
  • 加古 孝
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    インターネット環境を利用した「科学技術計算と数値解析」に関するネットフォーラム構築の試みについて報告する。インターネットの普及に伴い、様々な情報を発信、検索することが可能になってきている。このような環境を十分活用するためには情報の所在検索や情報発信手法などに関する良質の二次的情報が不可欠である。通常それは研究者各人が陰に陽にデータベース化して個人的に用いている。インターネット上にフォーラム作り、そのような検索のための二次的情報をそこで共有することによって、情報交換の量と質を飛躍的に向上させることが可能であると思われる。そのような情報交換の場の利用が進めば、そこを通して情報を発信するという強い動機付けが生じ、それによってフォーラムの内容的充実が進むことが期待される。本報告では、ここ一年半にわたるフォーラム構築の試みについて述べ、今後の課題を明らかにしたい。
  • 菊地 文雄, 清水 宏久
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    電磁場問題で不可欠な辺要素と面要素について,理的な数値解析の結果を示し,それに基づく改良法を提示した.まず,この要素の解析で最も本質的な離散コンパクト性の具体例をいくつか与え,それに関する抽象レベルでの結果を2,3導いた.この結果は具体的なアフィン要素族に対してすでに適用されている.ついで解析がより困難な非アフィン族の最も簡単な例として低次の四辺形要素を取り上げ,解析結果を与えた.解析にはベクトル関数の補間誤差解析を用いたが,その際に非整数次ソボレフ空間での誤差評価が本質的役割を果たした.この手法は高次要素や3次元要素の解析にも適用可能と思われ,これらの要素については離散コンパクト性が保証されそうである.他方,回転項の近次は,要素形状がアフィン形状に近くないと低次要素では保証されない.しかし,2次元低次要素では簡単な射影を利用して要素の修正が可能になった.さらに,簡単な数値例も示した.
  • 牛島 照夫, 千葉 文浩
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    著者達はこれまで円外帰着波動問題のある基本解近似(FSM)解法の特性を理的ならびに数値的に考察してきた。 このFSM近似解法の手法で円外帰着波動問題の境界円上の透過境界条件を離散化し、一般の二次元外部帰着波動問題に対する有限要素 - 基本解近似(FEM-FSM)結合解法を定式化出来る。得られた線形問題は、無限桁計算可能であれば、概ね意味のある数値解を出すと思われる。しかしながら、現実の有限桁計算の世界では、大きな波数を持つ問題に対しては、十分な桁数の計算が必要になる。
    この報告では、これまで実施してきた円外帰着波動問題のあるFSM近似解法の結果のまとめを行い、東京湾川崎人口島まわりを想定して、重力波一定水深線形水の波外部問題の場合を例として、我々のFEM-FSM 結合解法の有効性につき行った考察の結果を報告する。
  • 金山 寛, 鄭 宏杰, 鄭 美賢, 松本 悟史
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    ADVENTURE Magneticは,日本学術振興会未来開拓推進事業のプロジェクトの1つであるADVENTUREプロジェクト(ADVanced ENgineering analysis Tool for Ultra large REal world (正式名称:設計用大規模計算力学システム開発プロジェクト))にて開発された階層型領域分割法を用いた大規模磁場解析モジュールである.並列計算サーバ, PCクラスタ環境のいずれにおいても使用可能で,解析機能として非線形静磁場解析及び線形渦電流解析がある.モデル作成(プレ処理)や領域分割,解析結果の可視化処理(ポスト処理)は全てADVENTUREシステム内で行うため,プログラムの改良や開発に軟性を持ちながらユーザにやさしい設計になっている.本稿ではADVENTURE Magneticモジュールの静磁場解析機能に焦をあてて,計算法や解析例を説明する.
  • 坂口 秀雄, 竹内 敏己, 今井 仁司
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    無限精度数値シミュレーション(IPNS)において浮動小数数の多倍長計算が行われているが、これを並列化して複数の異なる機種を使用して計算する場合、機種ごとに丸め誤差が違うため、多倍長計算の信頼性に疑問が生じる。このことに関して、本公演では実際に数値計算を行った結果などを報告する。
  • 佐藤 哲
    セッションID: R05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    3次元画像を生成する一手法であるシンプレクティック・レイトレーシング法には,計算コストが高くなる問題があった.本発表では,差分法による数値微分と高速自動微分法による数値微分を用いた実装について述べ,比較結果について述べる
R05 科学技術計算と数値解析の現状と課題(2)
O03 有限要素法の数理
  • 今村 純也, 棚橋 隆彦
    セッションID: O03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    FEMはエネルギー原理に基づく手法として発達したが、それだけでは対応できない問題があることが判っていた。有限個の未知数自由度で系を表現するFEMでは、要求される条件をどのように満足させるかが課題である。要求条件は3大保存則の満足である。したがって、自由度を3つのいずれに重配分して系を記述するかが基本的課題である。
    これには、2)均等配分の考え方 2)条件の1つは厳密に、他の2条件には残り自由度を均等に 3)2ないし1条件のみに配分し、残り条件は要素細分化することで結果として近似的に満足させる という3つの考え方がある。初期FEMは3)であった。必要な自由度数は3)1)2)の順に多くなるが、2条件のみに専念してスキーム開発できるでは2)3)は1)より取り扱いが容易と言える。その影響は要素形状および基底関数の選択にまで遡る。本稿では、具体例を上記の視からAPPENDIX的に整理して報告する。
  • 山田 貴博
    セッションID: O03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    移流拡散方程式に対する数値計算法では、数値安定性を確保するために何らかの上流化、安定化が必要となる。一方、高レイノルズ数流れの問題にこのような数値計算法を適用する場合には、安定性とともに高次モードにおける数値拡散と位相誤差の特性が実質的な計算の解像度を決定することとなり重要となる。
    有限要素法における上流化手法としては、SUPG、GLSに代表される安定化有限要素法が提案されており、多くの研究により高い数値安定性については確認されている。しかしながら、安定化有限要素法では、基本的に拡散項を安定化のために付加していることから、高次モードに対する数値特性が高次要素において改善されることは確認されていない。
    そこで、本研究では、高次有限要素を用いたスキームにおいて1次元安定性解析を行い、数値特性を評価する。
  • 奥村 弘
    セッションID: O03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    近年、要素境界上でその値が0となる気泡関数を、3角形1次要素を始めとする通常の有限要素に付加した気泡関数要素が、安定化法の立場から注目を集めている。ある種の定常問題においては安定化有限要素法と気泡関数要素を用いた近似方程式が等価になることが分かっているが、気泡関数要素をBubnov-Galerkin近似に適用した場合、気泡関数の安定化作用に限界があることが分かっている。一方、最近の研究によれば、気泡関数空間のみに着目したある種のPetrov-Galerkin法の考え方に基づいて導出される近似方程式ならびに気泡関数の安定化パラメータは、従来のBubnov-Galerkin近似における気泡関数の数値不安定性の問題を克服している。本研究では、この新しい気泡関数要素に基づいた有限要素法解析を通じていくつかの流れ問題にアプローチし、気泡関数の有効性を検証する。
  • 松本 昌昭, 棚橋 隆彦
    セッションID: O03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    ベクトル有限要素法は電磁場解析においては従来の有限要素法と同様によく用いられている手法である。差分法に基づくFDTD法の一般化と考えられるベクトル有限要素法が流体解析に用いられている例は見受けられていないが,ベクトルの回転を記述するには大変都合がよい。そこで本文ではベクトル有限要素法を流れをふくむ電磁場解析に適用した。具体的には誘導方程式の離散化にベクトル有限要素法を用いた。磁場が印加された平衡平板内部の液体金属流れの解析を行った。磁束密度分布および速度分布を理解と比較することでスキームの検証を行った。2次元キャビティ内の電磁熱流体解析を実施し,従来の解析手法であるB法と比較することで,解析結果の妥当性を検証し,B法などのような反復を必要とせずに高精度な解析を実施できることを示した。
  • 田上 大助, 伊藤 肇
    セッションID: O03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    "ガラスの製造には原料を約 1,500 度に加熱し溶融ガラスを生成する工程がある. 加熱方法の一つとして, 溶融ガラス中に設置した電極への直接通電により発生する Joule 熱を利用する方式がある. この方式による炉は電気溶融炉と呼ばれ, 二化炭素の排出量が少ないという特徴がある. そのため電気溶融炉の設計・運用に必要な計算技術の開発は,環境調和型のガラス製造プロセスの実現のために重要である. 本講演ではガラス電気溶融炉に対し, 無限 Prandtl 数近似を用いた熱対流問題に Joule 発熱を考慮したモデルを考え, 有限要素法による計算スキームを導入し, その誤差評価を行う. 誤差評価ではJoule 発熱の考慮により生じる非線形性に注意を要する. 本講演では Poisson 方程式の解のあるノルムでの一様有界性をもとに非線形項の評価を行ったのでこれを紹介する.また提案したスキーによる計算例も紹介する.
O05 多相流体計算法の現状
  • 小林 久紀, 長谷川 貴司, 肖 鋒
    セッションID: O05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではLMR/AMRに基づいた非圧縮性流体計算モデルの開発を行った。計算格子はスタガード格子を採用した。この格子の特徴から1/3の比率により計算格子の細分化を行った。この場合、元の計算格子における物理量の定義位置は、細分化した計算格子における物理量の定義位置のいずれかに一致し、元の計算格子と細分化された格子の結合を強化することができる。非圧縮性流体の解法としてはフラクショナルステップ法を用い、移流項の計算にはCIP法を適用した。これにより非常に精度よく移流計算をすることができる。計算格子が局所的に細分化されていることから物理量の補間が必要であり、この補間に対してもCIP補間を適用した。
    本手法の有用性を確認するためにpoisson方程式とcavity-flowについて、AMRは界面の移流問題と自由表面流体について計算した。
  • 滝沢 研二, 河合 剛巨, 瀬川 敦, 矢部 孝
    セッションID: O05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    石が水面を跳ね飛ぶ「水切り現象」の数値的解明は、工学的には将来船舶の衝撃加重やスラミングの問題、高速艇の動的揚力測定等様々な分野に応用が期待 されるが、本研究では固体・液体・気体が混在する系の統一解法であるCIP-CUP法を用いて水切り現象の数値シミュレーションを行った。また保存保証型CIPを用いて保存精度を向上させる試みをした。
  • 渡次 圭, 内藤 和樹, 矢部 孝
    セッションID: O05
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    魚は流体中を自由自在に泳ぐことができる。特に小さな魚は急速な回転運動を行う。しかしながら、その科学的理解は必ずしも十分ではなく、魚の運動の力学について体系化への努力が続けられている。
    物体と流体が同時に存在し相互作用を行う現象は数値計算による解析が難しいことが知られているが、空間微分値をも用いて3次の補間関数を構築するCIP法を用いれば、比較的少ない直交格子を用い、物体と流体を統一して計算を行うことできる。さらにその際、魚体表面に発生する圧力から得られる並進速度が実際に観測された魚の速度と一致することを確認した。
O08 流れ場解析と最適化
  • 名古屋 靖一郎
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    と辺から成るネットワーク上に,発散・勾配・回転などの差分作用素を定義し,有限体積法から自然に決まる内積上での性質を述べる.そして,これらの抽象化された内積空間の概念を使った応用として,非圧縮流体計算における発散零の部分空間の話題を中心に,(1) 圧力ポアソン方程式に対する,行列表現を経由しない共役勾配法のプログラミング法 (2) 複数の構造メッシュ系を使ったあるメッシュリファインメント技法における,圧力ポアソン方程式に対する流速圧力同時計算型共役勾配法の適用(3) 発散零基底による非圧縮性流体計算法(4) 借金返済における最小二乗問題などの話題を紹介する.
  • 神田 英貞, 下向 健秀, 柳谷 貴之, 山本 敏弘
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    平行平板間の流れを研究する。層流乱流遷移の最小臨界レイノルズ数は理値約7700(平板間距離と平均速度に基づくレイノルズ数)が得られているが、その値は実験値約1300から大きく離れている。実験によると遷移は入口近傍で発生するため、助走区間の2次元流れ場を渦度輸送方程式による数値計算で解明する。この問題は過去に十分研究されたが、境界層理に基づく研究が多く、流れ方向に垂直な方向の圧力分布は未定である。本研究の結果、レイノルズ数が4000以下では、(1)流れに垂直な方向に大きな圧力分布が存在する、(2)同一断面上で、中心の圧力は壁面の圧力よりも高い。これはベルヌーイの法則に反する、(3)レイノルズ数が大きくなると、中心と壁面との圧力差は小となることが発見された。ただし、一回の計算にスーパーコンピュータで数ヶ月必要であり、プログラム(ガウスザイル法)の改善が今後の課題である。
  • 神田 英貞
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    層流乱流遷移の臨界レイノルズを求める問題は、今なお未解決である。神田は新しい層流乱流遷移モデルを作成し、1999年、円管流の最小臨界レイノルズ数2040を得た。モデルの正しさを検証するために、平行平板間の流れの臨界値を計算し、2002年、最小臨界レイノルズ数1230を得た。この値は実験値約1300に近いものであり、モデルの正しさを裏付けるであろう。モデルの概略は、(1)自然な環境条件下で、層流乱流遷移は助走区間で発生する。(2)助走区間で速度分布は放物形に成長する。加速に必要なエネルギーは無次元で取り扱うとレイノルズ数に関係なく一定である。(3)壁面では渦度の回転により壁面に垂直に壁面法線方向力が生じている。この力は中心流を加速するが、レイノルズ数に反比例する。(4)壁面法線方向力による仕事が加速に必要なエネルギーより大であると流れは安定であり、小であると流れは不安定となる。あると流れは不安定となる。
  • 水山 洋右, 田端 正久
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    特性法を用いた有限要素法とレベルセット法によって,電場によるMaxwell応力によって駆動される誘電性液体と空気の自由境界の運動を調べる.静止した誘電性液体は電場の下で空気との界面におけるMaxwell応力により駆動されジェット流を形成する.本研究では電気流体のこのような運動を調べる.電場のLaplace方程式,流れ場の Navier-Stokes方程式,そして界面の移流方程式が逐次的に解かれる.界面の運動はレベルセット法を用いて解かれる.レベルセット法を用いることにより,界面の大きな変形も捕捉することが可能である.Navier-Stokes方程式と移流方程式における物質微分の計算に一次精度の特性法を用いる.そこでは質量行列の計算において,上流における滑らかでない基底関数を含む積分を精度よく行うために,各々で被積分関数が滑らかになるような部分要素に分割し,その上でGauss積分または,基底変換を用いた厳密積分を実行する.
  • 梅田 紀, 野口 裕久
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    形状最適化がsmoothing技術無しに行われた時には,滑らかでない境界を持つ最適化形状が得られる場合が存在することが知られている.このような不都合を避けるため,畔上は接線剛性マトリクスの逆行列をsmootherとして用いる力法を提案している.力法は線形最適化問題に対して有効であることが確認されているが,非線形問題に対する拡張はまだ確立されていない.本研究においては,力法を非線形形状最適化問題へ拡張した新たな最適化手法の提案を行う.提案する手法の特徴としては,半解析微分法とDirectional Derivativeを用いることにより感度を効率的に計算することができるが挙げられる.また,これらの感度解析手法を用いた場合には,既存の非線形解析コードに変更を加えることなく感度を算出可能であり,本手法は容易に用いることが可能である.
  • 片峯 英次, 津幡 知幸, 畔上 秀幸
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、粘性流れ場の形状を設計対象にした散逸エネルギー最小化問題を定式化する。次に、ラグランジェ乗数法(あるいは随伴変数法)と物質導関数の公式を用いて、領域変動に対する感度関数(形状勾配関数)を導入する。形状最適化解析には力法を用いる。力法は設計領域を弾性体と仮定して、導入した形状勾配関数を設計境界に擬似弾性問題の外力として作用させたときの変位場を領域変動として解析する方法として、著者らによって提案されている。ストークス流れを仮定すれば、形状勾配関数は通常の流速分布のみの関数となるため、実際の最適化解析は比較的容易である。一方、対流を考慮した問題では、形状勾配関数は、通常の流速分布と随伴方程式から計算される随伴流速分布の関数となる。したがって、このような随伴流れ場を正確に解くために、流れ場を安定に解析することに加えて、随伴流れ場の境界条件を適切に設定する必要がある。
  • 金山 寛, 久米 宏和, 田上 大助
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    大規模電磁流体解析のような大規模解析を行うには,その前段階として流れに対する有効な解析手法の開発が必要である.今回,これまでに蓄積されたナビア・ストークス方程式の解析技術と移流拡散方程式の解析技術を温度による流れへの影響をブシネスク近似を用いることにより連成させ,熱対流方程式の解析を可能にした.手法としては有限要素法を用い,要素はベロコビエ・ピロノーの要素,非線形解法としてニュートン法を用いた.レーリー数が卓越する際における不安定性の除去と高速化のために安定化法を導入した.ここで特徴としてニュートン法における線形化した方程式の各スッテプごとに安定化法を導入したことが挙げられる.ただしこの安定化有限要素法を導入する際に検討すべき課題が発生したので,この課題並びにさしあたっての課題解決方法を紹介する.
  • 石原 大輔, 吉村 忍, 矢川 元基
    セッションID: O08
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは、強い相互作用を有する非圧縮性粘性流体-弾性体相互作用系の非定常3次元大規模解析を念頭においた多段階強連成解法を提案してきている。本解法では、強連成法に基づく相互作用系方程式に対し、静的縮約と流速圧力分離を適用する。この結果、相互作用系のための補助的な圧力ポアソン方程式を中心とする多段階の解析過程を構成する。従来の強連成法と異なり、性質の良い対称マトリクスに対してのみ、代数的操作が行われる。補助的な圧力ポアソン方程式のソルバーとしては共役勾配法を採用している。本研究においては、本多段階法における時間積分法、非圧縮性条件の処理、及び補助的な圧力ポアソン方程式の係数マトリクスの数理的性質について、議する。
G03 応用解析・非線形現象
  • 石渡 哲哉, 矢崎 成俊
    セッションID: G03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    結晶の界面運動の数学モデルの1つにクリスタライン運動(Crystalline motion)がある。これは自由境界問題の1つであり、結晶の表面エネルギー分布から導かれるウルフ図形によって界面形状の特徴付けがなされている。本研究では、界面の内向き法線速度がある種の曲率に依存する多角形界面の運動を考える。この運動では、多角形が縮退し有限時間で界面に特異性が発生することが知られている。講演では、クリスタライン運動の概要、発生する特異性についての知られている結果を解説した後、講演者および共同研究者によって現時で得られている特異性の評価について話す。特に、界面の形状と特異性の強度との関係について、具体的な特異性の指数とともに明らかにする。
  • 池田 勉, 長山 雅晴
    セッションID: G03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    燃焼合成反応においては,燃焼波が振動しながら伝播したり(振動燃焼波),円柱側面をらせん状に回転しながら伝播する(ヘリカル燃焼波)ことが知られている.また,自己触媒反応や重合化反応においてもヘリカル状に進行する波が観察されている.本研究は,数理モデル方程式系を用いて,安定なヘリカル波の発現機構を数学解析および数値計算を通して数理的に明らかにすることを試みるものであり,今回の報告では,ある状況設定の下では,安定な進行波から Hopf 分岐を経てヘリカル波が出現することを数学的に厳密な意味で示す.
  • 等々力 賢, 永吉 宏之, 鈴木 篤之
    セッションID: G03
    発行日: 2002/09/18
    公開日: 2003/03/18
    会議録・要旨集 フリー
    実現象を対象とする場合は様々な要因により生じたノイズの影響は不可避である。一般にノイズにはイナミカルノイズと観測ノイズの2種類が存在する。前者は、後者と異なり対象とする物理系の内部に存在する本質的なノイズであり、フィードバックの効果を含む極めて複雑な影響を系に与える。特に系がカオス的な場合、初期値依存性によりその影響は甚大となると予想される。しかし、機構が複雑であるが故にこれまでイナミカルノイズそれ自体の影響は十分には解析されてはいない。そこで本研究では、イナミカルノイズの影響は系の時間的なゆらぎに現れると考え、そうしたゆらぎは特異値分解(SVD)から得られた特異値の時間的なゆらぎとして抽出できることを示す。その結果より、イナミカルノイズのカオスへ及ぼす影響を評価する手段を提案する。尚、今回の解析対象は電子回路としたが、他の分野における実現象への応用可能性についてもじる予定である。
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