室内環境
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10 巻, 2 号
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  • 久米 一成, 堀池 利行, 本間 信行, 山下 晶平, 房家 正博, 大浦 健, 雨谷 敬史
    2007 年 10 巻 2 号 p. 107-120
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    ホルムアルデヒドをはじめとする室内外のカルボニル化合物の分析法として, パッシブサンプラーで捕集し, アセトニトリル水溶液で溶媒抽出し, 大量試料導入法を用いたHPLC/吸光光度法で分離分析する手法を開発した。この手法の定量下限濃度は, 24時間採取の場合, 後述の調査で検出された6種のカルボニル化合物, すなわちホルムアルデヒド, アセトアルデヒド, アセトン, プロピオンアルデヒド, ベンズアルデヒド, ヘキサナールに関して0.001~0.007μg/m3であった。開発した手法を用いて, 静岡市において,2005年度には22カ所, 2006年度には21カ所の公共施設内の延べ413地点と, 2005年度に個人家庭41世帯内の延べ397地点の室内外のカルボニル化合物濃度調査を行った。この結果,ホルムアルデヒドを含め, 6種類のカルボニル化合物が検出された。2005年度の調査で室内環境指針値を超えた測定地点は, ホルムアルデヒドでは, 公共施設11地点, 個人家庭13地点であり, いずれも夏期であった。アセトアルデヒドはいずれも個人家庭で, 夏期に7地点, 冬期に12地点あった。ホルムアルデヒドは公共施設では夏期と冬期の濃度差が大きかったのに比べ, 個人家庭ではそれほど大きくなかった。これは, 個人家庭では夜間も暖房等を使用しているためと考えられた。ホルムアルデヒドは他のアルデヒドとは異なる場所で高濃度となる一方, アセトアルデヒド, アセトン, ヘキサナールでは同一居室から共通して発生している傾向がみられることが判った。
  • 宮城 圭輔, 関根 嘉香, 出口 勇次, 大西 雅之, 松延 邦明, 有本 雄美
    2007 年 10 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    室内空気中のギ酸は, ホルムアルデヒドなどの有機化合物とオキシダントとの反応により生成する二次汚染物質であり, 皮膚や粘膜に対する刺激性を有することからシックハウス症候群に関与する可能性が指摘されている。一方, 空気中のギ酸は塩基性物質と反応するとギ酸塩となり, 蒸気圧が低くなるためエアロゾル粒子として存在する可能性がある。そこで本研究では, 室内空気中のギ酸濃度をガス状および粒子状に分けて測定するため, ミニチュア拡散スクラバー/インピンジャー捕集-イオンクロマトグラフ法を開発した。捕集液には水酸化カリウム水溶液を用い, 通気流量は0.1L/minとした。前段のミニチュア拡散スクラバーによるガス状ギ酸の捕集効率は94%, 捕集したギ酸の再揮発やミニチュア拡散スクラバー内への粒子沈着の影響は見られなかった。また本法によるギ酸捕集量の総量は, 従来のインピンジャー法と一致した。本法を用いて居住住宅において実態調査を行ったところ, 室内空気中のギ酸は, はじめはガス状物質として生成し, 徐々に粒子化していくことがわかった。ギ酸の粒子化機構として, 空気中の塩基性物質との反応に伴うギ酸塩の生成, および空気中エアロゾル粒子への吸着などが考えられるが, 同一住宅でも測定日によっては粒子化が起こらない場合もあり, 粒子化のメカニズムは不明な点が多い。
  • -室内環境基準値の誕生まで-
    入江 建久
    2007 年 10 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 杉田 収, 中川 泉, 濁川 明男, 曽田 耕一, 室岡 耕次, 坂本 ちか子
    2007 年 10 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    上越市立小学校の全児童(6才~12才)12,045名を対象に, 化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)様症状を示す児童数を調べるアンケート調査を実施した。またMCSとの関連性が注目されている花粉症, アレルギー,「特に嫌いな臭い」を持つ児童数も合わせて調査した。調査票の回収数は10,348名分(回収率85.9%)であった。調査票で尋ねたMCS様症状は, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班によるMCSの診断基準に記載された症状を, 児童の保護者が回答しやすい症状表記に改変して尋ねた。その結果MCS様症状を示す児童数は979名で回答児童の9.5%であった。また花粉症は19.3%, 花粉症を含むアレルギーは47.6%, 「特に嫌いな臭い」を持つ児童は32.7%であった。
    MCSはアレルギーとは異なると考えられているが, MCS様症状を示す児童でアレルギーを持つ児童は63.7%であった。一方MCS様症状を示さない児童でアレルギーを持つ児童は46.3%で両児童群に有意の差があった。同様にMCS様症状を示す児童は「特に嫌いな臭い」を60.5%が持ち, その症状を示さない児童は30.6%であり, 同じく有意の差があった。MCS様症状を示す児童, アレルギーを持つ児童, 及び「特に嫌いな臭い」を持つ児童の割合は, いずれも高学年になるほど上昇していたことから, 小学校児童の高学年ほど化学物質に敏感になっていると考えられた。
  • 井上 ひとみ, 世良 保美, 大谷 亮, 佐藤 雅幸, 市瀬 正之, 田村 行弘
    2007 年 10 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    室内環境中における化学物質濃度については厚生労働省により2000年に指針値が, 2002年には国土交通省により基準値がそれぞれ設定されたことにより, それ以降指針値設定化学物質(指針値設定物質)の使用が抑えられ, 代替品として様々な化学物質(指針値未設定物質)が使用されるようになった。
    そこで, 室内環境中におけるVOC(揮発性有機化合物)濃度の実態把握を目的に, 設定物質6物質および未設定物質16物質, 計22物質を対象に, 2002年12月から2007年3月までに3,039施設について調査を行い, 各物質の検出率および濃度分布を比較・検討した。その結果, 2003年の建築基準法改正以降, 1-ブタノール, トリクロロエチレン, トリメチルベンゼン, デカンの検出率が顕著に増加した。さらに, 調査対象とした22物質の検出量の合計をTVOC(総揮発性有機化合物)と仮定して算出したところ, 最大値54,266μg/m3, 平均値1,005μg/m3,中央値215μg/m3であった。また, 厚生労働省が定める目標値400μg/m3を超過した検体の割合は39%であった。
  • 川上 裕司, 高橋 佑子
    2007 年 10 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    2005年7月5日, 長崎県長崎市内所在の肺アスペルギルス症患者の一戸建住宅の室内浮遊真菌調査を行った。浮遊真菌の採取は, エアーサンプラー(SAS SUPER 100, PBI)を使って1Fの居間と2Fの寝室で実施した。DG-18平板培地を使い, 各部屋とも10ヵ所の採取(100L吸引)を行った。この結果, 浮遊真菌濃度の平均値は, 居間では634±100.6CFU/m3, 寝室では1220±1853.9CFU/m3であった。分離された真菌を同定した結果, 居間ではCladosporiumとMycelia steriliaの両者が約70%を占めた。寝室では約70%がAspergillusであった。また, Aspergillusは, 肺アスペルギルス症の原因菌であるA. fumigatusが100%近い割合を占めた。居住者は, 日常的にA. fumigatusを吸入していることが示唆された。
  • -空気清浄機による空中浮遊カビ胞子(生菌)の除去性能の評価例-
    阿部 恵子, 須山 祐之, 川上 裕司, 柳 宇, 奥田 舜治, 大塚 哲郎
    2007 年 10 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    市販の空気清浄機による空中浮遊カビ胞子(生菌)の除去性能について評価試験を行った。陰圧管理ができる試験室を一般の実験室内に組み立て, その中に空気清浄機を設置した。この試験室内にWallemia sebiまたはPenicillium glabrumの胞子を空中超音波法により散布し, 散布後の試験室空気中に浮遊するカビ胞子をゼラチンフィルタ法により採取し, 空中浮遊カビ胞子(生菌)濃度を測定した。空気清浄機の稼働条件を, 空気清浄機off(対照試験), 空気清浄機onでイオン発生なし, および空気清浄機onでイオン発生ありの3条件とし, 空気清浄機の稼動条件と空中浮遊カビ胞子(生菌)残存率の経時変化の関係について調査した。空気清浄機に装着されているフィルタによる空中浮遊カビ胞子(生菌)の減衰は認められたが, イオン発生による空中浮遊カビ胞子(生菌)の減衰は認められなかった。
  • 清水 晋
    2007 年 10 巻 2 号 p. 167-168
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    建物内のカビによる汚染は, 健康被害などの問題を引き起こす。このような汚染や被害の事例を知ることは, その対策を考えるための一助となるだろう。本報では, アメリカのニュースサイトなどに掲載されたカビによる汚染の事例を紹介する。
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