この問題は昔からいろいろな人によつて論ぜられ,いろいろな方法で計算されているが,なかなか実験と合わせることができない。しかもそれらは,どれも同じ「合わない」という言葉のもとにかたずけられて,十分整理されたものとなつてはいないようである。しかし先へ進むためには,どのように合わなかつたか,なぜ合わなかつたかの立ちいつた,系統的な分析がなされなければならない。現在,なによりもまず必要なことは,この問題を追及する場合の基本的な方法を確立して,系統的な研究プログラムをつくりあげることである。そして,従来までになされたいろいろな試みを,このプログラムのなかに正しく位置ずけ,それぞれに正当な評価を与えることである(§1)。最近では,核子の励起状態や重い中間子の存在を考慮した議論も行われている。しかし,それらの効果をとりいれる前に検討すべき問題が,まだ残つているようにわれわれには思われる。この空白をうずめる目的から,われわれはps(pu)の対称理論を用い,static近似で二次プラス四次の磁気能率を計算した(§2)。
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