目的 山口大学整形外科では1995年までに頸椎症性脊髄症720例の手術治療を行った。このうち外傷を基盤とした症例を除外し,かつ1年以上の追跡調査を行い得た545例の生命予後を解析し,妥当な術後追跡期間を検討した。
対象 手術治療を行った545症例(生存469例,死亡76例)を対象とした。
検討項目 全死因死亡率,主要死因,平均余命,生命予後と臨床経過について統計処理を行い検討を加えた。
結果 本症と国民一般との間において,標準化死亡比は,1.38(95%CI 1.07∼1.68)と有意に高値であり,主要死因の標準化死亡割合比では,肺炎·気管支炎,不慮の事故が有意に高値であった。また,平均余命は男女とも9年程度の短縮がみられた。しかし,この原因は運動機能,特に下肢運動機能の低下と考えられ,術前に運動機能の低下が著しい症例であっても,術後運動機能の回復が良好な症例は十分な生命予後が得られていた。
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