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-先導船による後続船の安全考慮-
吉岡 舜, 浪川 新大, 橋本 博公
p.
1-3
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船舶の無人隊列航行の実現にむけて,隊列全体の衝突危険を考慮した先導船と隊列内の衝突を避けながら船頭船を追従する後続船で構成される隊列航行AIの開発を試みた.はじめに,先導船の避航判断における隊列全体の衝突危険度分布の算出手法を提案した.次に,提案した衝突危険度分布を用いて先導船に隊列避航操船を学習させた.後続船はマルチエージェント強化学習を用いて,隊列内の衝突を避けながら,先導船の後方を追従するタスクを学習させた.数値シミュレーションでそれらを検証した結果,隊列航行を維持しながら,隊列全体が安全となるように避航できることが確認できた.
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金盛 雄大
p.
5-11
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
自動避航操船は,自動運航船の実現に必要不可欠な技術である.現在広く研究されている自動避航操船は,航路計画と航路追従制御を合わせた手法である.この手法では,事前に避航航路が確認できる点や,複雑な航路での避航が可能である点が利点として挙げられるが,航路計画問題と航路追従問題の両方を高度に解決する必要がある.また,航路計画を用いない手法も多く提案されているが,制御則が複雑になる傾向があり,所望するコントローラの設計は容易ではない.
本論文では,航路計画を用いない手法として,制御バリア関数を用いた自動避航操船を提案する.提案法では,最大舵角による旋回軌道を考慮して制御バリア関数を設計することで,制限舵角内での自動避航制御則を設計する.提案法の有効性は,コンピュータシミュレーションを用いて検証した.
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檜垣 岳史, 吉岡 舜, 若林 伸和, 橋本 博公
p.
13-15
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
自律避航操船における課題のひとつとして,意思決定のモデル化の難しさが挙げられる.過去には熟練船長の操船を「正解」とみなすアプローチなどが提案されたが,人間の複雑な意思決定をモデル化するための表現力に課題があった.そこで,本研究では方策の多峰性を表現可能な拡散方策を導入し,人間の避航操船の模倣に取り組んだ.神戸大学の練習船「深江丸」で取得された航行データを用いて拡散モデルを訓練し,実海域シナリオにおいて人間の操船者と同様の避航航路を選択できていることや,自船周りに十分な安全領域を確保できていることを確認した.
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登尾 悠平, 牧 敦生, 佐藤 訓志
p.
17-23
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年、船員不足の課題を背景として船舶の自動運航技術の研究が活発に行われている。特に、低速操縦時の船舶制御では、運動モデルの不確実性や外乱の影響が大きな問題となる。本研究では、外乱抑制とロバスト安定性を考慮した制御則を、線形行列不等式(LMI)を用いたアプローチによって設計する手法を提案する。LMIを活用することで、複数の制御仕様を統一的に扱い、拡張性の高い設計が可能となる。提案手法の有効性を数値計算により検証し、外乱とモデルの不確かさがある場合でもシステムの安定化が可能であることを示す。
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田中 誠一, 檜垣 岳史, 橋本 博公
p.
25-27
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
自動運航船の重要度が増す一方,着桟は特に自動化が難しいタスクとして知られており,リアルタイム性の確保や定式化の難しさが課題であった.檜垣・橋本の提案した推奨航路分布は,定式化の難しい問題においても推奨度の分布をリアルタイム生成することが可能であり,既存の制御手法と組み合わせることで適切な自動着桟の実現が期待される.しかし,その際の有用性や性能限界については明らかになっていない.そこで,本研究では推奨航路分布と既存の制御手法を組み合わせた自動着桟手法を開発した.本稿では,代表的な制御手法であるPD制御とモデル予測制御に推奨航路分布を組み込み,制御パラメータに対する性能の違いや特性について調査を行った.
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脇田 康希, 牧 敦生
p.
29-38
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
強化学習は環境の不確実性を考慮しつつ最適な行動方策を獲得することができるため,船舶の操船制御への適用が注目されている.これまでにも船舶の軌道追従制御のための行動方策を獲得する強化学習法も提案されている.しかし,シミュレーション環境と実環境の乖離が最終的な行動方策の性能を低下させる可能性がある.そこで,本研究では,操船データの不足または偏在に起因する認識論的な不確実性を示すFNNのアンサンブル学習法を導入することで,操縦モデルの予測不確実性を考慮した訓練手法を提案する.本稿では,運航データを基にMMGモデルに基づくシミュレーションデータを用いて検証実験を実施した.その結果,着桟操船軌道を高精度に追従可能であることを確認した.
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澤田 涼平
p.
39-44
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年,自動運航船の開発が盛んに進められている.自動化の対象となる操船のうち,離着桟操船は多くの船員による作業が必要であり,また,低速度で岸壁等へ接近することから,作業負担が高い操船である.経路追従による自動着桟において,経路誤差の履歴や外乱の影響などにより,経路追従誤差が発生していると考えられるが,それ以外にも操舵の遅れ等も曲線状の経路を追従する際に経路誤差を発生させる要因の一つとして考えられる.本研究では,経路曲率を考慮したフィードフォワード制御則を導入することで,安全なアプローチ操船手法について数値シミュレーションを用いて検討した.
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種市 考洋, 関 十也, 牧 敦生, 巣山 凜, 脇田 康希, 白川 真一, 秋本 洋平, 佐伯 和基, 石川 雄紀, 廣田 一博
p.
45-60
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年,船舶の自動化や省力化への要求が高まるなか,とりわけ港内操船の自動化が盛んに研究されている.本研究では,実船の大量の運航データを統計解析し港内操船の自動化に必要な着桟までのアプローチパスの自動生成を試みた.特に,船と地形の間に保たれるべき距離を示す船体周りの領域(shipdomain)をデータから求めたことはこの研究の特徴の一つである.また,操船状態を要素操船に自動的に分類するアルゴリズムを提案し,港内操船時の傾向を定量的に把握した.これらのデータドリブンなアプローチをもとに,あたかも人間の船長が計画したかのような着桟パスを自動生成する手法を提案し,その有効性を確認した.
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神原 太地, 小池 弘顕, 登尾 悠平, 細萱 和敬, 牧 敦生
p.
61-66
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年の自律船舶技術の発展に伴い、動的定位(DPS)の高度な制御が求められている。本研究では、1軸2舵を有するベクツイン舵を活用したDPS制御手法を提案する。特に、モデル予測制御(MPC)を用い、舵角およびスラスター推力を離散化することで、計算負荷を抑えつつ高精度な位置保持を実現する。運動モデルにはMMGモデルを適用し、風や潮流の影響を考慮したシミュレーションおよび実験により、提案手法の有効性を検証した。結果として、風外乱下でも安定したDPS制御が可能であり、リアルタイム適用性を示すことができた。本手法は、将来的な自律船舶の実装に向けた基盤技術として貢献することが期待される。
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巣山 凜, 脇田 康希, 石橋 篤, 楠元 達也, 牧 敦生
p.
67-69
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
熟練操船者の要素操船の定量的なモデル化を目的とし,操縦運動時系列データに基づいてLatent DirichletAllocation(LDA)によって確率モデルを訓練した.熟練者による伊勢湾内の運航を記録した時系列データを解析の対象とした.推定されたパラメータに基づき,トピックごとに操縦運動時系列を確率的に生成した.旋回径の異なる変針操船や船速の異なる直進操船として解釈可能な時系列群が生成された.
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山下 耕平, 小池 弘顕, 登尾 悠平, 牧 敦生
p.
71-74
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年,船舶の自動化が進み,特に操船の自動化は重要な課題の一つとなっている.自動船位保持システム(DPS)は,船舶が自律的に船位を一定に保つ技術であり,外洋での定点保持だけでなく経路追従にも応用可能である.前報では,登尾らの簡易DPSに外乱オブザーバを用いたフィードフォワード制御を追加し,風外乱に対するロバスト性向上を数値シミュレーションで確認した.本研究では,その制御則の有効性を検証するため,模型船実験を行い,シミュレーション結果と比較した.その結果,経路追従精度は概ね一致したが,後進時に参照経路から少し外れることが確認された.原因としてPID制御のゲインチューニングの問題が示唆され,今後は環境に応じた自動調整機能の開発が必要と考えられる.
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近弘 祥彦, 巣山 凜, 牧 敦生
p.
75-79
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船舶の安全かつ効率的な運航には,舵角や操舵スピードの制限を考慮した制御が不可欠である.従来の船舶制御則には舵角と操舵スピードの制約を共に考慮しているものが少なく,これを直接実環境に適用すると制御性能の低下や意図しない振動の発生を引き起こす可能性がある.本研究では,巣山の制御アルゴリズムを用い,舵角および舵角速度の制約を考慮した経路追従制御を実現することを目的とする.まず,模型船を用いた実験によりその有効性を検証した.さらに,LOS(Line-of-Sight)アルゴリズムを導入することで経路追従機能を拡張し,シミュレーションによりその有効性を確認した.本研究の成果は,制御入力に制約のある船舶の自動運航システムの信頼性の向上に貢献するものである.
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羽根 冬希, 高橋 薫, 吉田 優太
p.
81-90
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船舶用オートパイロット(AP)の操船における低速度化が期待されている.背景には自律船の実現化支援が挙げられる.自律船の操船では離着桟から大洋航海までの船速範囲を対象にする.従前のAPでは高速航行を運用領域にしてきたが,離着桟操船に対応するために低速域まで拡大されている.
このような状況において,APがモデルベースで設計された場合,船体運動モデルのパラメータは高速,中速と低速の各域での値が必要になる.だが,AP設置後の運用開始段階では,船体パラメータ特性が未だ把握されていない.そのとき,船体パラメータを船速修正によって更新する.船速修正では船速が変化したら,船体パラメータの初期値に基づいて初期船速と当該船速の比例倍を乗じることによって実施できる.
船速修正はデフォルト的な修正であるため,その効果を検証する必要がある.船体パラメータの船速修正を2つの形に分類し,制御ゲインや閉ループ系の特性多項式に与える影響を評価する.船速修正の実施によって,運用開始段階における閉ループ安定性の改善が図れることを明らかにする.
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勝村 佳司, 佐藤 訓志, 巣山 凜, 牧 敦生
p.
91-103
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
パラメトリック横揺れは波浪中の復原力変動によって生じる横揺れ現象である。パラメトリック横揺れの発生条件やリスク評価に関する研究はこれまで数多く行われてきた。一方で、舵によって積極的に横揺れを減揺しようというアプローチも存在する。本研究の目的は、パラメトリック横揺れの舵減揺と方位角制御を両立する制御手法の提案である。非線形・確定系のシステムに対して、受動性に基づく制御の一つであるポート・ハミルトン系の枠組みで一般化正準変換を利用することで制御則が導出された。また、本研究で導出された制御則を、白色雑音を付加したシステムについても適用し、数値計算によってその有効性を検証した。
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田畑 佑樹, 脇田 康希, 羽根 冬希, 牧 敦生
p.
105-113
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船舶の安全運航を維持するためには,GNSSに依存しない冗長な測位システムの導入が不可欠である.GNSSは外部信号に依存するため,電波障害に対して脆弱である.一方,天測航法は正確な時刻と星の高度角の測定により自船の位置を算出できる手法である.また,航空宇宙分野では星の位置計測や識別技術が実用化されており,その知見が船舶への応用にも期待されている.しかし,海上環境下では船体動揺や大気の影響により観測可能な星の数が減少する問題がある.また,宇宙機で使用されるStar Trackerに比べ,より広い視野を有するカメラの利用は,星の識別に有利に働く一方で,イメージセンサの角度分解能が低下することも示されている.そこで本研究では,一般的な光学カメラを用いて,星の検出,高度の観測,星の識別,および船位の推定を行い,その精度を評価した.
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松井 貞興
p.
115-125
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
本報告では,非線形構造応答の短期・長期分布を求める実用的手法の確立を目的に,2021年から著者が継続して取り組んできた研究成果を報告する.提案した手法は設計への適用を念頭に置いたもので,その簡便性と推定精度はこれまで検討した対象(非線形評価関数,形状非線形を考慮した波浪荷重を受ける応力,非線形減衰力を考慮したroll運動)については十分と考えられる.提案法によって,従来は設計波法によってしか考慮することのできなかった非線形影響を,フルスペクトルの長期予測計算によって考慮することが可能になった.このことにより,設計波法の欠点,すなわち着目する応答以外の因子による推定誤差,ならびに着目する応答の選択に関する恣意性を排除あるいは補うことができると考える.
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Atsuo Maki, Masaru Kitahara, Leo Dostal, Masahiro Sakai, Tomoki Takami
p.
127-132
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
The assessment of a ship capsizing risk in beam sea is one of the most important indicators for measuring a vessel's basic performance. The authors have proposed a method to qualitatively and quantitatively calculate the response and capsizing probability of systems with nonlinearities in roll damping and restoring moment. For example, it is difficult to accurately measure roll damping, one of the parameters governing ship motion, on a real ship. Therefore, it must be estimated by Bayesian inference from time series data, for example. In such cases, the estimated parameters are distributed stochastically and never have definite values. As a result, the response distribution and capsizing risk would also be further stochastically distributed. This is a probability distribution of a probability distribution, which is known as a second-order distribution. In this study, we propose a calculation method to theoretically obtain the second-order distribution of capsizing probability.
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高見 朋希, 森 亮太, 笹 健児
p.
133-137
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
本研究では波浪中船体運動の波に対する伝達関数の推定を高速化するため、人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Network)を活用して既存の耐候性計算法の学習を行った。耐候性計算法としては線形ストリップ法を用い、Lewis form近似を活用することで船型情報を記述するためのパラメータ数の削減を実現した。Heave及びPitch運動の伝達関数の学習を行い、線形ストリップ法と同等の精度の予測が高速で可能であることを示した。また、RIOS bulker船型を対象として実船プロファイルを用いた線形ストリップ法計算結果との伝達関数の比較を行った。
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木村 直人, 宝谷 英貴, 小森山 祐輔, 村山 英晶, 平林 紳一郎, 鈴木 英之
p.
139-143
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
本研究では,ベイズ最適化を用いて水槽実験の自動化,特に波浪中船体応答実験における周波数応答関数の自動推定アルゴリズムを構築した.水槽実験の代替としての,ストリップ法を用いた船体応答計算と,ベイズ最適化とを組み合わせ,どのような条件でRAOを精度よく推定できるかについて数値的な検討を行った.また,ピーク予測が誤りであった時の精度低下がどの程度であるかについても評価を行った.以上のRAO推定の検討の結果として,さまざまな形状のRAO,さまざまな状況に対して適切なカーネルや獲得関数の取り方を明らかにした.
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松木 督子, 寺田 大介
p.
145-148
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
不規則波の生成過程が成分波の重ね合わせで表現できると仮定すれば、代表角周波数におけるパワースペクトルおよび位相角が推定できれば,不規則時系列の予測が可能になる.本研究では,この事実に着目しBayes推定法を用いた離散フーリエ変換で求めたパワースペクトルの平滑化と状態空間モデル解析による位相角の推定法について検討を行った.状態空間モデル解析においてはアンサンブルカルマンフィルタを用い,先行研究で課題としていた部分に関して改善を試みた.提案方法は数値実験に基づいて検証した.パワースペクトル推定および位相角推定ともに,いくつかの課題はあるものの,先行研究で課題としていた部分に関しては改善できた.
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酒井 政宏
p.
149-152
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年,船舶の実海域性能を推定するために,運動データを基にした運動方程式のパラメータ推定が注目されている.特に,横揺れ減衰特性は,船舶復原性能評価において極めて重要な要素であり,非線形性を考慮した精度の高い推定手法が求められている.本研究では,模型船の自由横揺れ試験から得られた時系列データを用い,ベイズ推定に基づく横揺れ減衰係数の推定を行い,線形および非線形の減衰係数の事後分布を導出する.さらに,得られた結果を従来手法と比較し,ベイズ推定の適用性およびその精度について評価を行う.本研究により,横揺れ減衰特性の不確実性を考慮した推定手法の有効性が示され,今後の実船への適用可能性が検討された.
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庄司 邦昭, 千葉 元
p.
153-160
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
商船系、水産系の練習帆船の気象海象に起因する事故について調査した。調査に当たって校友会誌の記事なども参考にした。その結果、数値的に示すことはできなかったが、船舶の大型化に伴って、事故は減少しており、さらに、積載貨物の影響がなくなったこと、補助機関が設置されたことなどは安全に寄与することになったと推測される。
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小嶋 良一
p.
161-167
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
江戸海運の象徴的行事として新綿番船や新酒番船があり,いずれも速いものでは3日以内で上方から江戸に到達したという記録がある.ここではその記録が実際に達成可能であったか否かを,過去の風速,風向の記録,弁才船の実際の航路,速力率などを調査し検討してみた.その結果,計算によると速い場合には2.8日程度で達成可能であることが分かった.速度は2.7m/s(5.2knots)程度を確保していることになるが,このレベルの記録達成は不可能ではないように思われる.ただし,江戸期には2.3日(6.8knots)という報告もあり,潮流や海流の利用、補助帆の使用,向かい風の回避などが行われたものと考えられる.
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-第二報:氷海航行の実態について-
宇都 正太郎
p.
169-172
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
南極観測船「宗谷」は,2023年5月に日本船舶海洋工学会によって「ふね遺産」に認定された.耐氷性,砕氷性を有する昭和期の南極観測船の嚆矢であることが認定理由である.「宗谷」は1956-57年に行われた第1次南極航海に先立ち,氷海航行に耐えるために大幅な改造工事を施したのちに南極観測に従事した.前報では当時の資料をもとに,本改造工事の概要を示すとともに,砕氷能力の推定を試みるなど,主に造船工学の観点から本船の氷海航行能力を考察した.「宗谷」は第1次から6次まで6度にわたり南極観測支援に従事した.本報告は第2報として「宗谷」が南極観測に従事した6回の航海実績をもとに「宗谷」の氷海航行能力を考察した.
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-第7報 初期国産洋式帆装貨物船松阪丸の建造とその船主たち-
伊藤 政光
p.
173-182
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
現在の三重県伊勢市大湊に存在した元禄15年(1702)創業の市川造船所が,明治11年(1878)に建造した日本初の国産洋式帆装貨物船の一隻とされている松阪丸について,その建造と歴代船主について調査した.
建造の原動力建造の原動力は,当時の不況や社会情勢の激変による当時の造船所の苦境と,開国によって始まった地域の大々的な製茶の輸出による洋式船のニーズが相まったものであったことが判明した.
また,松阪丸建造に当たって洋式木造船建造の経験がない大湊に兵庫から招聘された船工が,後に神戸にて造船所を経営したこと,市川造船資料に残された,松阪丸用の建造用ハーフモデルについて,欧米のように建造時に寸法を変更させて建造したことを示した.建造用ハーフモデルは日本ではほとんど使用されなかったので,本モデルは大変貴重なものである.
最後に,歴代の船主について調査し,沿岸用貨物船として建造された松阪丸が,日本の南洋進出の動きの中で,一時期ではあるがはるか南洋諸島への数度の航海を行っていたことを確認した.
松阪丸の長い履歴は明治という時代の一断面を示している.
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平山 次清
p.
183-185
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
2本マストの帆船「やまゆり」は、1962年に建造され1964年の東京オリンピックで警備・観覧艇として使用され貢献した。船齢60年を超える2本マストの木造帆船で、現在も動態保存され、体験航海など社会貢献しており、ふね遺産の認定基準に照らして、その候補としての資格があると思われる。また船体外板は2重張りで、その内側は斜め張りとなっており今もその構造が確認できる。本論では主として本船建造経緯とその社会貢献活動について述べる.
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阿部 憲和, 松原 広平, 杉本 友宏
p.
187-190
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
近年、IMOの環境規制強化に伴い、船舶の脱炭素化が求められている。その中で、風力補助推進システム(WAPS)は燃料消費の削減と環境負荷低減に寄与する技術として注目されている。日本海事協会はWAPSの設計・搭載・運用に関するガイドラインを策定し、承認体制を整備した。WAPSの導入はEEDI/EEXIへの反映が可能であり、FuelEU Maritime規制やGHG強度規制等においてもWAPSの効果を算入する仕組みが導入・検討されている。また、MBSE/MBDを活用したシステム設計や航路最適化の研究が進められ、WAPSの実用性向上に貢献している。今後、技術の進化やコスト削減が進むことで、より多くの船舶への導入が加速することが期待される。
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松下 凜太郎, 角田 領, 前田 佳彦, 二木 崚祐, 喜多代 顕彦, 松田 識史
p.
191-197
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
本論文では,船舶に複数搭載されたローターセイルの間隔による相互干渉が推力に与える影響を,CFDを用いて定量的に評価した.本評価では,4本のセイルを仮想船に50m程度の間隔で搭載し,ローターセイルの稼働が想定される流入風速と風向に対して推力を計算し,先頭のローターセイルを基準に各ローターセイルの推力比を算出した.風向90,120(deg)では,各ローターセイルの推力比が約0.9~1.1の範囲となることが分かった.風向が30,45,150(deg)では,最後尾のローターセイルの推力比が他のローターセイルと比べて著しく小さくなることが分かった.本評価では,最後尾のローターセイルにおける推力は他と比べて減少傾向にあり,搭載時の効果が相対的に低いことが見込まれる結果が得られた.
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橋本 浩明, 浜崎 充良, 井下 のぞみ
p.
199-210
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
To reduce GHG and fuelcosts, we introduce a new wind propulsion device called a “Windmillsail” that combines the characteristics of a rotor sail and a vertical axis wind turbine based on the concept of a “rotor sail that rotates with the force of the wind”. The shape of the windmill sail is designed to be rotationally symmetrical in order to ensure that they always move forward regardless of the wind direction. Inaddition, in order to maximize magnus force, the shape of the sail has multiple parallel wings. It has greater propulsive force than rigid-wingsails, and unlike rotorsails, it can generate electricity while propelling. The 2-D hydrodynamic analysis confirmed that the lift coefficient exceeds 5 and at the same time the power coefficient is about 0.25. This paper outlines the characteristics of windmill sails, their development to date, and a vision for the future.
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大内 一之, 島 健太郎, 木村 圭祐
p.
211-217
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
来るべき水素社会に向けて,再生エネ由来のグリーン水素エネルギーの供給は非常に重要である.地球上では再エネの豊富な地域と水素の消費地は大きく離れていることが多く,水素の運搬が必要となる.水素ガスは風袋が大きくそのままでの輸送は難しく,所謂水素キャリアとして体積を減じて輸送せざるを得ない.ここでは,風力で前進する帆船に水中タービン・発電機を装備して電力を得て,水電解により水素を発生させ,この水素を水素キャリアであるメチルシクロヘキサン(MCH)に変換縮小して,消費地まで届ける手段として,グリーン水素の生産・貯蓄・運搬を全て船上で行うことのできる水素生産帆船「ウィンドハンター」の構想と概念設計を行った.
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金丸 崇, 新川 大治朗, 澤田 祐希, 白石 耕一郎, 安東 潤
p.
219-226
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船尾伴流中で作動する非定常キャビテーションによって誘起される船尾変動圧力は,理論的な取り扱いが可能であり,残された課題はあるものの推定法が実用化されている.近年,注目されているプロペラキャビテーションノイズのうち,低周波数域は,理論的には船尾変動圧力と同様であるため,その特性の推定はある程度可能と考えられる.一方,高周波数域に関しては,実用的手法としてBrownの式などが用いられているが,物理現象に従う理論的な推定は未だに難しい.本論文では,パネル法を用いたキャビテーション計算をベースとして気泡力学を組み合わせたキャビテーションノイズの推定法を示し,実験値との比較から実用の可能性について検討する。
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立川 拓也, 蓮池 伸宏, 白石 耕一郎, 澤田 祐希, 安東 潤
p.
227-233
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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近年,海洋中の環境保全に関して国際的な関心が高まっており,船舶から発生する水中放射雑音についても注目されている。国際海事機関においては,商業船舶からの水中放射雑音低減のためのガイドラインや水中放射雑音を管理するための推奨ガイドラインの改定案の承認といった取り組みが行われている.航行中の船舶から発生する水中放射雑音の主な音源の一つにキャビテーションがあり、キャビテーションの挙動には船尾の伴流分布が大きな影響を与える。そこで本研究では船尾フィンとしてVortex Generator(VG)を設置し、伴流分布を改善した状態におけるキャビテーション試験を実施し,伴流分布が水中放射雑音に与える影響を調査した.調査結果をふまえて水中放射雑音の騒音レベルの推定に用いるBrownの式に伴流分布の影響を考慮できる方法について提案する.
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大関 昌平
p.
235-241
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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本報告では,SimcenterSTAR-CCM+を用いて,初代青雲丸プロペラのキャビテーションに起因する船尾変動圧力解析を実施した.解析にはSRH(Scale-Resolving Hybrid)モデルによる非定常乱流解析,Adaptive MeshRefinement(AMR)を用いたチップ渦解像,および液体圧縮性の考慮を適用し,船尾圧力変動の詳細な評価を行った.解析の結果,1次成分の変動圧は実験値と良好に一致し,特に高次成分では液体圧縮性の考慮による解析精度の向上が確認された.また,キャビテーション画像の比較から,翼端渦キャビテーションやシートキャビテーションの発生・崩壊挙動が適切に再現されることが示された.本手法により,従来の解析手法では捉えきれなかった船尾変動圧力の特性が詳細に解析可能であることが明らかとなった.
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-第2報:船尾変動圧力に基づく低周波数域の精度向上-
白石 耕一郎, 久米 健一, 新川 大治朗, 川並 康剛, 金丸 崇, 安東 潤
p.
243-249
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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本研究では,低周波数域での水中騒音の特性を捉えることを目的として,プロペラキャビテーションノイズの簡易推定法の改良を行った.従来法の課題であった低周波数域の精度向上のため,キャビテーションに起因する船尾変動圧力を実船スケールに換算し,音圧レベルへの変換アルゴリズムを開発した.また,理論計算法の一種であるパネル法を用いて船尾変動圧力データベースチャートを新たに構築し,船種,プロペラの主要目,および作動条件から直接船尾変動圧力を推定できる手法を確立した.大島南沖での実船計測結果との比較検証により,本手法が低周波数域における水中騒音の傾向を適切に再現できること,また推定値と実測値が良好に一致することを確認した.
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阿部 恒志朗, 岩嶋 大和, 酒井 政宏
p.
251-253
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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近年,船舶の水中放射雑音が海洋生態系に与える影響が懸念され,国際的な規制や監視が進められている.なかでも水中サウンドマッピングを利用した船舶水中放射雑音の監視・管理が欧州やカナダでは検討されている.本研究ではAISデータを基に,伊豆大島近海におけるフルコンテナ船と自動車専用船の水中放射雑音の影響を評価した.船舶の音源レベルをJOMOPANS-ECHOモデル,伝搬損失はPE法を用いて計算し,船舶水中放射雑音の受波レベルを推定した.結果,伊豆大島近海における,海底地形や海底質が船舶水中放射雑音の伝搬特性に与える影響が可視化された.本研究の成果は,船舶騒音管理や海洋環境保護の指針となるだけでなく,今後の騒音低減対策の基礎資料として有用である.
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新井 大介, 米倉 一男, 許 筱東
p.
255-258
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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本稿では、船舶の基本計画における推進性能の初期推定を高速化かつ高精度化することを目的に、生成AIを用いた推進性能推定システムの基盤を開発する。生成モデル(WGAN-gp)と、識別モデル(CNN)を用いて別々に船型と各パラメータを学習し組み合わせることで、船型を自動的に生成した後、その船型の推進性能を短時間で推定するシステムを作成した。また、本システムで生成・推定した船型および、推進性能の推定精度を評価している。なお、CNNのトレーニングデータには、全てCFD計算結果(平水中の抵抗・自航計算結果)を用いる。
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小松 優一
p.
259-262
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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ゼロエミッション船の普及には、電気推進技術や電池充放電などのパワーエレクトロニクス技術が必須である。特に、その中枢を担う船舶のパワートレインシステムに焦点を当て、BEMACが実施しているインバータ開発設計などおけるモジュールベースでのシミュレーションとして、電気的な解析手法の一例を紹介した。また、今後、部品やモジュール単体でなく、パワートレインシステム全体へのシミュレーションの有効活用の方向性と、実負荷試験設備を使ったシミュレーションの精度向上や、試験設備を活用した実負荷試験などの実検証とシミュレーションをどう使い分けていくのが合理的か、一つの見方について紹介した。
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阿方 基裕
p.
263-267
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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本稿では,船内電力系統の電源設備計画に関する考察を行う.国際海事機関(IMO)のGHG削減戦略に基づき,船舶の脱炭素化が求められる中,新たな機器の導入による電力需要の増加と,代替燃料の利用に伴う電力品質の維持が重要な課題となっている.これらに対応するため,本稿ではシステムズエンジニアリングの手法を用いて電力系統の要求事項を整理し,主電源装置の分類と設備・運用計画について検討する.特に,電源装置を「ベース電源」,「ミドル電源」,「ピーク電源」,「非制御電源」に分類し,それぞれの特性と適切な組み合わせを分析する.さらに,負荷予測の精度向上に着目し,運航データを活用した標準負荷変動モデルの構築を提案する.
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安田 俊平, 栁原 智也, 原 裕一
p.
269-274
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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海上輸送における人的要因による海難事故の低減、船員不足への対応は大きな課題である。自動運航船はその解決策として期待されており、現在モデルベースでの開発が注目されている。そこで本稿では、モデルベースでの航海機器の開発環境であるシミュレーション基盤をモデルベースドシステムズエンジニアリング(MBSE)手法で構築した。はじめに多分野のステークホルダーが統一された環境で開発できることを目標としてモデリング言語(sysML)によるシステムのデザインを行った。その後、標準化された入出力仕様をもつモデル群とシミュレーション結果を評価する機能を有するモデルをSimulink上で実装した。さらに行動計画システムの評価例を用いて、その有用性を確認した。
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馬渕 慎一朗, 角田 領, 二木 崚佑
p.
275-281
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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近年,海上輸送の安全性向上や労働力不足の解消に繋がるソリューションとして,自動運航船に注目が集まっている.東京大学海事デジタルエンジニアリング講座では,自動運航船の設計・開発・テストを支援するシミュレーション基盤の構築に取り組んでいる.著者らは自動運航船の機能の中でも,自動離着桟を実現する制御系シミュレーション基盤の構築を進めている.今回,MBSEを用いてシミュレーション基盤の要求分析,システム設計を実施した.また,STAMP/STPAを用いたリスクアセスメントを実施した上で,シミュレーションに用いる船体操縦運動モデルの不確実性をカバーする手法を検討し,システム設計に反映させた.本稿では,これらの結果に基づき,シミュレーション基盤のプロトタイプを実装し,制御系の検証に適用した結果について述べる.
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-生産へのシミュレーション技術の導入-
安部 昭則, 松尾 宏平, 森下 瑞生, 永根 悠伍
p.
283-288
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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本研究では、造船の生産計画及び生産管理におけるシミュレーションとモニタリング技術の適用について考察し、その関係性を整理した。シミュレーションの対象を「マクロ」と「ミクロ」の視点で分類し、それぞれの役割を明確化した。特に、マクロシミュレーションを活用することで、中日程計画の柔軟な調整や、工期・工数による変動評価、遅延発生時の迅速な対策立案が可能となることを示唆した上で、汎用スケジューリングツールFLEXSCHEを用いた試算により、そのイメージを示した。また、M-BOM/BOPデータの自動生成研究を紹介し、BOM/BOP整備がシミュレーション及びモニタリングの精度向上に寄与することを示唆した。シミュレーション技術の発展により、モニタリングの有効性が高まり、進捗管理や生産管理の高度化が期待される。
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菅 良太郎, 青山 和浩, 古渡 健太, 廣野 正隆, 村山 英晶
p.
289-292
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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近年,世界的に海運業界の船員不足や高齢化が深刻化している.また,ヒューマンエラーに起因する海難事故や操船負荷の高さなどが課題として指摘されており,これらの問題を解決する手段の一つとして自動運航船が注目されている.自動運航船を実現することで,従来の有人運航では困難とされていた安全性の向上や船員負担の軽減,効率的な航路計画による燃費削減などが期待されている.
一方で,自動運航を成立させるためには,周囲の環境や船体の状態を高精度かつ信頼性高く把握することが不可欠である.このとき用いられるレーダーやLiDAR,カメラ,GNSSなどのセンサが取得する情報を統合し,リアルタイムに状況を認識・判断できるシステム構築が求められている.
以上の背景を踏まえ,我々は自動運航船を構成する機能の中でも,周囲状況把握を目的とした新規センサシステムのコンセプト検討を行なっている.本稿では,まず,自動運転船の技術的特徴を自動運転車との違いを踏まえながら述べる.続いて,講義の中で学生がセンサシステムについて検討した一例を紹介する.
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三上 航平, 村山 英晶
p.
293-297
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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現実空間における対象の挙動・状態をデジタル空間における対応物として高精度に再現することで、現状把握や将来予測を可能にする動的なデジタルモデルであるデジタルツイン(Digital Twin,DT)は,意思決定の仮想的な試行錯誤によって状況に即した合理的な判断を可能にする技術として注目されている.本論文では,船舶のDT実現を目指し,実装に向けた課題を整理するとともに,MBSE(Model-based systems engineering)やMBD(Model-based development/design)といったモデルベースアプローチをDT開発に活用することで,どのような効果が見込まれるかについての検討を行う.またモデルベースアプローチとDTを効率的に連携させるために必要となるフレームワークにおいて考慮すべき条件の検討を実施する.
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野々村 一歩, 稗方 和夫, 中島 拓也
p.
299-304
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
フリー
船会社にとって,既存燃料と比較して高価な代替燃料に積極的な投資を行うのは難しく,経済的手法を含むBasket of Measuresの下で他社の戦略を考慮しながら最適戦略を求めるのも容易ではない.本研究では,Basket of Measuresとその規制下における他の船会社の意思決定,及びその意思決定下における代替燃料の価格変化を考慮した上で,現在から2050年までの船会社の代替燃料船の投資戦略とその利益をシミュレートするモデルを開発する.さらに,そのシミュレーション結果を用いて特定の船会社エージェントに強化学習を適用することで学習モデルを構築し,船会社の効果的な脱炭素戦略を分析する手法を提案する.
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-翼走遷移状態・翼走状態について-
田口 新風, 村山 英晶
p.
305-311
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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複雑化する船舶システムに対応するために,東京大学ソーラーボートプロジェクトにおける水中翼付き一人乗りソーラーボートの開発を通して,MBSE・MBD手法の探求が行われている.本稿では,ソーラーボートの翼走遷移状態及び翼走状態を対象とし,システム記述及び動作の1Dモデリングを行った内容を記す.1Dシミュレーションでは,比例制御で安定して翼走できる可能性とゲインによって運動が異なることが示唆された.今後は,旋回運動などに対象の状態を拡大すること,電装や推進系など1Dモデルを追加していくこと,実験や運用により開発手法やモデルの検証を行っていくことが望まれる.
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梅田 直哉
p.
313-317
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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国際海事機関(IMO)の第二世代非損傷時復原性基準は現在その試用期間となっており,その試用経験をもとにIMOなどで技術的検討が行われている.そこでは,最近の大型コンテナ船のコンテナ崩落事故への適用に伴う問題点として,横揺れ固有周期の正確な推定や脆弱性基準の要求値の再設定が挙げられている。また,直接復原性評価基準における不規則波の繰返しを防止する新方法や簡易操船ガイダンスの提案など計算負荷を減らすための検討も行われている.本論はそれらの動向を整理し,試用期間終了後の基準改正に向けた研究方向の探索に資することを目指している.
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肥後 佑平, 近森 椋, 橋本 博公, 山本 裕介, 桝谷 頼之, 松田 秋彦
p.
319-322
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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パラメトリック横揺れの評価においては,横揺れ固有周期の推定精度が及ぼす影響が大きい.パラメトリック横揺れに対する脆弱性が指摘されており,載貨状態によって横揺れ固有周期が大きく変化するコンテナ船では,航海中に簡便かつ正確に横揺れ固有周期を推定できる手法の確立が望まれる.本研究では,はじめに小型調査船の動揺データから,横揺れと縦揺れのパワースペクトルのピーク周期の差に着目することで,横揺れ固有周期を精度よく推定できることを確認した.次に,大型コンテナ船を想定した一方向・多方向不規則波中の自由航走模型試験を実施し,横揺れと縦揺れのパワースペクトルのピーク周期の比が2以上となる条件では,横揺れ固有周期を精度よく推定できることを確認した。最後に,同様の解析手法を大型コンテナ船の船体動揺の長期計測データに適用した場合,横揺れ固有周期は平均で32.7秒と推定された.
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池上 敦規, 酒井 政宏
p.
323-325
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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船舶の横揺れは,復原力や減衰力による非線形性を考慮した解析が求められる.従来,軟化型Duffing方程式を用いた近似解析が行われ,調和平衡法や平均化法により分岐現象やカオスが研究されてきた.しかし,1次の解析手法では分岐条件の評価に限界が指摘されている.そこで本研究では,2次の項を考慮した平均化法を適用し,1次の平均化法との近似精度の差を分岐図を用いて調査する.さらに,数値解と比較することで2次の平均化法の有効性を評価し,より精度の高い解析手法の確立を目指す.
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吉田 尚史, 金山 真大, 片山 徹
p.
327-330
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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パラメトリック横揺れは,復原力の時間変動と横揺れ減衰力の関係により発生の有無またはその振幅が決まり,IMOの第2世代非損傷時復原性基準においても2者の関係を用いて評価している.
パラメトリック横揺れの振幅を低減させるまたは発生をなくすためには復原力変動を小さくするか横揺れ減衰力を増やす必要がある.横揺れ減衰力を増やすには,面積の大きなビルジキールを長く取り付けるのが有効であるが,ビルジキールの大型化は抵抗増加につながるため,現行の非損傷時復原性基準中Weather Criterionを満たす範囲で小さく設計する場合も多く,パラメトリック横揺れを低減する上で減衰力が不十分なため第2世代非損傷時復原性基準を満たさない可能性がある.
本研究では,C11級コンテナ船を対象に,まず近年平均的な大きさと思われるビルジキールを取り付けた場合に非損傷時復原性基準を満足することを示す。次に,パラメトリック横揺れの発生またはその振幅について,池田の方法により横揺れ減衰力を推定して評価し,同ビルジキールが第2世代非損傷時復原性基準を満足できないことを示す.最後にビルジキールの長さ,配置を変化させることでパラメトリック横揺れの振幅を低減できることを示す.
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大田 大地, 黒田 貴子
p.
331-334
発行日: 2025/05/29
公開日: 2025/12/06
会議録・要旨集
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変分モード分解(VariationalModeDecomposition,VMD)を用いて抽出した横揺れ時系列の主要な動揺モードにHilbert変換を適用し,瞬時周波数及び瞬時振幅の時間変化を解析することで,不規則波中におけるパラメトリック横揺れの発生前後で横揺れの周波数及び振幅がどのように変化するかを可視化する手法を提案する.提案手法を用いて短波頂不規則波中における模型船の横揺れ時系列を解析すると,横揺れの瞬時周波数はパラメトリック横揺れの発生時刻付近で概ね横揺れ固有周期に相当する値に収束し,その後に瞬時振幅が増加する様子を捉えた.このように,実船における電子傾斜計等による横揺れのオンボードモニタリングデータにVMDを適用し,瞬時周波数及び瞬時振幅の時間変化を解析することで,パラメトリック横揺れの発生予兆を検知することができると考える.
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