わが国では,特定自動運行という形でレベル 4の公道での自動走行が技術的,法的には可能になった。この結果,ヒトが運転するクルマから,システムが制御するクルマへの転換が本格的化し,それに伴い既存の規制の枠組みでは対応しきれない新たな課題も生じてきている。本稿では,わが国における自動運転をめぐる研究開発の現状を概観し,それに伴う保険制度に関する課題を整理する。この際,ELSI(Ethical,…Legal…and…Social…Issues/Implications:倫理的,法的,社会的課題)として自動運転をめぐる課題を捉え,自動運転の社会実装化に不可欠な社会受容性を高めることが急務となっている現状における懸念事項を,アンケート調査を含む先行研究の分析から整理する。そして「事故責任の所在,トラブル対処,保障」という多くのアンケートで同様に抽出される懸念事項を軽減させる上で,保険が果たしうる役割について検討していく。
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