選挙研究
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30 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 竹中 佳彦
    2014 年 30 巻 2 号 p. 5-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    若年層の政党の保革イデオロギーへの位置づけは高齢層と異なるという知見を踏まえ,(ア)イデオロギーの自己位置づけ(イ)争点態度の一貫性,(ウ)支持政党・投票政党とイデオロギーとの相関の年齢による違いを,JIGS有権者調査(2013年),JESⅣ調査(2010年)とJES調査(1983年)を用いて比較分析した。その結果,①同一コーホートが保守化してはいないが,若年層は,保革イデオロギーを認識しておらず,認識していた場合には自己を革新的と位置づけ,②若年層にも,争点の態度空間に一貫した基底的構造はあるが,その力は弱く,また保革イデオロギー次元でない場合もあり,③40歳代以下に,支持政党・投票政党と保革イデオロギーとの相関がない場合があった。このようにイデオロギーの自己位置づけと争点態度と投票政党との間の一貫性の喪失が,若年層ほど進んでいることを示した。
  • 2012年選挙における自民党議員の政策選好
    建林 正彦
    2014 年 30 巻 2 号 p. 19-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    2012年に政権復帰した自民党議員は,どのような政策指向を有していたのか。本稿では,2012年総選挙の候補者に対する早稲田大学と読売新聞社の共同サーベイをもとに,自民党議員の政策位置を分析した。分析の結果,2012年に大量に当選した新人議員とシニア(多選)議員の間には,安保・憲法にかかわる争点や,経済開放・国内開発に関する争点において立場の違いが存在し,シニア議員がよりタカ派的,国内開発的な立場を採っていることが明らかになった。また議員の政策的立場を規定する要因としては,前者については,都市選出の議員ほど,選挙で強い議員ほどよりタカ派的な立場を採る傾向にあり,年齢をコントロールした上でも当選歴の効果が見られたのに対し,後者については,地方選出の議員ほど国内開発指向が強く,年齢をコントロールすると当選歴の効果は見られなくなるという争点ごとの違いが明らかになった。
  • 高安 健将
    2014 年 30 巻 2 号 p. 35-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    首相の権力は議院内閣制下において何によって規定されるのであろうか。戦後日本の首相については,首相のもつ公的権力資源,官僚制の強さ,国会議員を選出する選挙制度,政権党の執行部がもつ権力資源などさまざまな要因が指摘されてきた。これに対し,本稿は,首相に対する政権党の拘束力に注目する。本稿は,プリンシパル・エージェント・モデルを援用し,特にプリンシパルとしての政権党という視座に焦点を当てる。プリンシパルとしての政権党は複数のメンバーから構成されており,意見集約の困難さを意味する「複数のプリンシパル問題」を抱えている。この問題の本質は集合行為問題である。集合行為問題を克服できる政権党は首相を強く拘束でき,克服できない政権党は首相を拘束することができない。政権党が集合行為問題を克服できるか否かはその政党の組織構造次第である。本稿は,自民党政権下の首相の権力の変化を,集合行為問題に着目しつつ,結党から今日に至るまでの自民党組織の変遷を通して考察する。
  • 2012年衆議院選挙と2013年参議院選挙のSwing vote分析
    三浦 麻子, 楠見 孝
    2014 年 30 巻 2 号 p. 49-59
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,投票を高度な意思決定過程を伴う社会的選択行動としてとらえ,個人的態度との関連を検討した。有権者を対象とした2波のオンラインパネル調査を実施し,次の2点,すなわちまず,投票の有無や投票に際しての熟慮,正確な投票行動(Correct voting)の自己認知と批判的思考態度の関連を,政治意識や他の心理社会的要因をふまえて検討した。また,選挙ごとの投票先の記憶と実際の投票先の一致・不一致にもとづいて同定した主体的Swing voterの特徴に注目して検討した。Correct voting認知に対する批判的思考態度の正の影響や主体的Swing voterにおけるリスク回避傾向の低さなど,投票行動やそれについての認知と個人的態度の関わりの一端が明らかとなった。
  • Lessons from Japan's Twisted Diet
    Michael F. THIES, Yuki YANAI
    2014 年 30 巻 2 号 p. 60-74
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    David Mayhew (1991) argued that divided government does not lead to gridlock; partisan rivals find ways to strike deals. In parliamentary systems, however, the stakes are higher, because government survival is partly a function of legislative effectiveness. If a parliamentary system is strongly bicameral, a government could face an opposition majority in the upper house with the means and motivation to block its legislative agenda and oblige it to resign. In this paper, we examine data from the Japanese Diet between 1989 and 2013, a period of frequent non-government upper house majorities. Have Japan's “Twisted Diets” succumbed to gridlock? We show that while governments adapt smoothly to the mere absence of upper house control, they are severely hampered when the upper house is controlled by the Opposition. They propose fewer laws and suffer more changes to and failures of the legislative proposals they do submit.
  • 湯淺 墾道
    2014 年 30 巻 2 号 p. 75-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    公職選挙法により候補者,政党等が選挙運動期間中にインターネットを選挙運動目的で利用することは禁じられていたが,2013年に公職選挙法が改正され,インターネット(電子メール,ウェブページ等)を選挙運動に利用することが解禁された。しかし,誹謗中傷への対応,電子メールの定義とSNSのメッセージとの関係,電子メールの送信規制,落選運動の定義など,多くの問題点が残されている。本稿では,インターネット選挙運動を解禁した公職選挙法改正の法的問題点について考察し,今後の課題や再改正の方向性について検討する。
  • 梶原 晶
    2014 年 30 巻 2 号 p. 91-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,地方分権改革の推進要因について,国会議員に焦点を当てた分析を行う。つまり,改革の推進アクターとして国会議員を位置づけた上で,どのような国会議員が地方分権を志向する政策選好を有しているのかを明らかにする。そこで注目するのは,議員の選挙時の公約である。具体的には,衆議院議員総選挙の候補者が,個人の公約の中で行っている地方分権と地方分権改革に関する言及の状況について,規定要因を分析していく。分析の結果からは,選挙制度改革以降,公約中における言及が増加しているほか,二大政党化が議員の言及を増加させている点が示される。同時に,議員個々の選挙における強さや選挙区環境の違いもまた,地方分権への言及を規定している点が明らかにされる。一連の分析を通して,地方分権改革の推進者としての国会議員の姿を明らかにする。
  • 名取 良太, 福元 健太郎, 岸本 一男, 辻 陽, 堤 英敬, 堀内 勇作
    2014 年 30 巻 2 号 p. 105-115
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    参議院選挙は,戦後日本政治の変動に,何度も重要な役割を果たしてきた。しかし,従来の日本政治研究,特に選挙過程の分析は,そのほとんどが衆議院を対象にしたものであり,日本政治の理解もこの範囲を出なかった。参議院選挙データはほとんど分析されず,参院選が日本政治に与えた影響は解明されてこなかったのである。その状況をもたらした原因の一つは,参院選データが十分に整備されていないことである。そこで我々は,参院選の市区町村別データを収集し,データベースを開発した。参院選研究を活性化させ,日本政治に対する参院選の意義や,二院制の意義そのものの再検討を促したり,選挙研究の理論モデルを発展させたりすることが狙いである。本論文は,その参院選データベースの内容と利用方法を説明するものである。
  • 候補者たちは何を「つぶやいた」のか
    上ノ原 秀晃
    2014 年 30 巻 2 号 p. 116-128
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
    2013年の参議院選挙は,初めての「ネット選挙」であった。近年,インターネットではソーシャルメディアの比重が増しており,海外では選挙運動にも広く利用されている。そこで本論文では,「ネット選挙」解禁に候補者がどう対応し,(代表的なソーシャルメディアである)ツイッターを活用したのかを分析する。具体的には,①どのような候補者がツイッターの利用に積極的であったのか,②どのような内容を投稿したのかを分析する。 分析の結果,小政党の候補者,競合的な選挙区もしくは比例区の候補者がツイッターに積極的であったことが分かった。また,コンピューターによる内容分析の結果,多くの投稿が告知や報告に関わるものであり,政策関連の投稿は少ないことは分かった。いくつかの小政党の候補者はツイッターの双方向機能を活用し,有権者との情報交換に積極的であった。
  • 三船 毅
    2014 年 30 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2014 年 30 巻 2 号 p. 141-158
    発行日: 2014年
    公開日: 2018/02/02
    ジャーナル オープンアクセス
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