未利用資源である無機系廃棄物を原料とした無機イオン交換体転換プロセスに関する筆者らの研究について紹介する。様々な無機系廃棄物などの原料やそれに対する転換プロセスの中で,本稿では廃砕石紛とアルミニウムドロスにアルカリ溶融処理を施して無機イオン交換体に転換するプロセスについて紹介した。産業廃棄物である廃砕石粉およびアルミニウムドロスを原料としてアルカリ溶融処理を施すことで,A型ゼオライトおよびX型ゼオライトを含む高い陽イオン交換容量(CEC)を持つ生成物や陰イオン交換能を持つハイドロタルサイトなどの無機イオン交換体を合成することに成功した。廃砕石紛とアルミニウムドロスの混合比により反応機構を制御することによって,A型ゼオライトとX型ゼオライトを選択的に合成できた。
半導体業界における技術革新に伴い,製品の小型化,微細化が進み,使用される薬品や超純水の高純度化,及びその管理要求も高まっている。大量の理論純水に近い超純水が製造供給され,水質管理においてはホウ素の管理が課題である。従来のホウ素選択性樹脂は溶出が多くみられ採用はされていなかった。新規開発の超純水向けホウ素選択性樹脂は,樹脂からの溶出分をコントロールし純水製造に適応させ,実機への新規導入も果たし稼働している。今後,ホウ素選択性樹脂が超純水製造プロセスのスタンダードとして適用されていくことが期待される。