本研究は, 介護者の生活行動および日常生活の問題を被介護者の日常生活自立度別に分析し, 介護者の生活の質を向上させるための支援方法を明らかにすることを目的として, 介護者104名を対象に自記式質問票による調査を行った. 日常生活自立度は, 4ランクからなる厚生省「障害老人の日常生活自立度判定基準」* を用いた.結果は以下のとおりである.
1) 介護者の睡眠時間および食事時間は一般住民より短く, そしてランク間の差は認められなかった.
2) 運動・散歩時間がない介護者がランクCは約8割で, ランクAに比べて有意に多かった.
3) 介護時間4時間以上の介護者がランクCは約8割で, ランクJ, A, Bより有意に多かった. また夜間介護のある介護者がランクB, Cは約7割で, ランクJ, Aより有意に多かった.
4) 家を留守にできない, ストレス・精神的負担が大きいと感じている介護者がランクA, B, Cは約6~7割で, ランクJより有意に多かった.
この結果から, 介護に関連する時間はランクB, Cの介護者に多いが, 介護者の日常生活の問題はランクAもランクB, Cと違いが少ないことが示された. 介護者が余暇時間を確保し, 拘束感が軽減できるよう通所型のサービスを効果的に活用すること, また介護者が必要時に援助が得られるソーシャル・サポート・ネットワーク構築の必要性が示唆された.
★J: 生活自立, A: 準寝たきり, B: 寝たきり (座位を保つ), C: 寝たきり
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