日本看護科学会誌
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21 巻, 1 号
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  • 中島 登美子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 母親の愛着尺度日本版 (MAI-J) の信頼性と妥当性を検討することを目的とした. MAI-Jは, 乳児に対する母親の愛着を情意領域から定義した尺度で, 26項目で構成される. 日本版の翻訳は逆翻訳を行い, 日本版の翻訳が原文の意味を反映しているか確認した. 信頼性と妥当性の検討は, 255名の健康な乳児の母親の協力を得て行った.
    信頼性は, 内的整合性を表すCronbach's αは0.92, 安定性はr=0.84 (p<0.000) であった. 妥当性は, 内容妥当性が支持された. 構成概念妥当性は十分に支持されなかったが, 主成分分析と因子分析から, MAI-Jは1次元に近い構造を示していた. 親となるとはどのようなものか日本版 (WPL-R-J) の下位尺度, 育児の評価との相関はr=0.63 (P<0.000) であり, かなり関連があった. 併存妥当性として用いた対児感情評定尺度との相関はr=0.38 (P<0.05) であり, 支持される程の関連はなかった.
    これらから, MAI-Jの信頼性は支持されたが, 妥当性は十分に支持されているとはいえず, 今後, さらに検討が必要である.
  • 内田 陽子, 島内 節, 河野 あゆみ
    2001 年 21 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は訪問看護を受けている利用者のアウトカム評価と費用対効果分析を行い, 費用対効果に影響を及ぼす利用者背景やケア内容の特徴を明らかにすることである. 対象はNステーションの全利用者64人と全訪問看護職者11人とした. その結果, 訪問看護のアウトカムとしてのニーズ解決度では改善が,「清潔」,「排泄」等で, 現状維持は,「ADL障害」であった. 利用者満足度は全体的に高かった. ニーズ解決度からみた費用対効果比と満足度からみたそれの両者の度数分布は2相性であり, 費用対効果のよい群と悪い群に分けられた. 費用対効果に影響を与える条件には自立度があり, よい群は悪い群に比べ高かった (t値=2.14, p<0.05). またよい群には,「機能訓練」(t値=3.69, p<0.01), 悪い群には,「医療処置」(t値=-2.44, P<0.05) が多かった. 看護職者は自立度を高めるケアの工夫と社会資源利用等が必要である.
  • 小川 恵子, 島内 節, 河野 あゆみ
    2001 年 21 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 家族と看護職による訪問看護の総合満足度に関連する訪問看護ケア内容, および家族と看護職による訪問看護ケア内容に対する評価の相違とその要因を明らかにすることである. 調査は, 訪問看護を利用して死亡したターミナル期の癌患者の家族48人とその受け持ち看護職21人を対象者として, 自記式質問紙により行った. 分析対象者は, 家族47人 (回収率97. 9%) と看護職21人である. 分析の結果, 以下の知見を得た. (1) 家族による訪問看護の総合満足度に関連がみられた訪問看護ケア項目は,「インフォームドコンセント」「信頼関係」「安らかな死」「死の受容」「死別後の立ち直り」「安楽」「痛み」「薬剤」「家族の不安」「家族の介護疲労」であった. 一方, 看護職では,「栄養」「排泄」「清潔」などであった. (2) 家族と看護職の評価には差があり (p<.001), 一致率が高かった項目は,「緊急」「死の受容」「医療機関の連携」であった. 一方, 一致率が低かった項目は,「家族の介護疲労」であった. (3) 家族と看護職による訪問看護ケア内容の評価一致が評価不一致に比べ,「死の受容」について, 看護歴が有意に長かった. また,「死の受容」「医療機関の連携」について, 療養者年齢が有意に高く,「家族の介護疲労」については, 家族年齢が有意に高かった.
    以上より, ターミナル期の癌患者への訪問看護を評価する際, 注目すべき具体的なケア内容が示唆された.
  • 本庄 恵子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙 (SCAQ) を改訂することを目的とし, その妥当性と信頼性の検討を行った. SCAQは29項目の質問紙で, 1) 健康管理法の獲得と継続, 2) 体調の調整, 3) 健康管理への関心, そして4) 有効な支援の獲得, の4下位尺度からなる.
    対象者の年齢は40歳から65歳までの範囲で, 糖尿病, 心疾患, 高血圧といった疾患に罹患している者が多かった. SCAQの構成概念妥当性は, 因子分析と既知グループ技法からある程度支持された. また, セルフケア能力を査定する質問紙としてのSCAQの妥当性は, SCAQとExercise of Self-Care Agency Scale (35項目版) との強い相関関係 (r=.72, P<.001)から支持された. SCAQの信頼性は, 再テスト法を用いた安定性 (r=.85, P<.001), 内的整合性(Cronbach'sα=.91) から支持された.
    改訂により, 下位尺度「体調の調整」は, 疾病や年齢などの自分の弱い点を考慮し行動する能力となり, 慢性病者の特性が強く反映されていた. また, 主に意図を査定する下位尺度「動機づけ」がなくなり, 意図を査定する質問項目は関連する行動の質問項目を含む下位尺度に統合された. 意図と行動は密接に関連することが示唆された.
  • 花出 正美, 佐藤 禮子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 40-50
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 頭頸部がんの治療後5年未満が経過している人々のQOLの様相を明らかにし, 頭頸部がんを経験する人々のQOLの支援に効果的な看護援助を検討することを目的とした. 頭頸部がんの治療後5年未満が経過している12名を対象者として, 生活体験についての思いに関する半構成的面接調査を実施し, 得られた資料を質的帰納的に分析した.
    分析の結果得られた生活体験の意味の10主題およびその肯定的様相から, 頭頸部がんの治療後5年未満が経過している人々のQOLの様相は, 頭頸部がんの再燃との対峙の過程, 生活の支障への折り合いの過程, および今ある自己の了解の過程という生活過程を反映するものであることが明らかになった.
    頭頸部がんという病を経験する人々のQOLの支援に効果的な看護援助は, がんの再燃の不安への的確な対応, 基本的ニーズ充足のためのセルフケア能力の強化, リハビリテーションへの動機づけの強化, 家族の適切なソーシャルサポートの促進, 対人関係を築くための社交性の促進, および自己の肯定的変化的への気づきの促進であった.
  • 鈴木 真知子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, Mishelの不確実性理論 (1988; 1990) を基盤に考えた, 子どもの生活場所に対する親の意思決定を表わす概念枠組みにおける変数間の関係を6つの仮説すなわち, 仮説1)子どもの反応を感じ取れる親ほど不確実性に挑戦し, その結果, 子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が高くなる, 仮説2) 子どもの反応を感じ取れない親ほど不確実性へのとらわれが強くなり, その結果, 子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が低くなる, 仮説3) 子どものケアに自信がある親ほど不確実性に挑戦し,その結果,子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が高くなる, 仮説4) 子どものケアに自信がない親ほど不確実性へのとらわれが強くなり, その結果, 子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が低くなる, 仮説5) 子どものケアを負担に思わない親ほど不確実性に挑戦し, その結果,子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が高くなる, 仮説6) 子どものケアを負担だと思う親ほど不確実性へのとらわれが強くなり, その結果, 子どもの生活場所に対する親の意思決定の質が低くなる, に基づき検討することを目的とした. 対象は3か月以上呼吸器を装着している全国の子ども (0歳から15歳) の親の内, すでに子どもの生活場所を決断した101名であった. データ収集は, 6つの質問紙を用いた. 分析は重回帰分析を行い次に, 他の変数の影響を取り除いた変数問のパス係数を表すことによって行った.分析の結果, 仮説2) の「反応の感じ取り」 と 「不確実性へのとらわれ」 との関係, 仮説5) の 「ケアの負担」 と「不確実性への挑戦」 との関係は支持されなかった. 本研究結果は, 看護者が子どもの置かれている状況への親の不確実性を 「不確実性への挑戦」 にし, 今後における子どもの生活場所を親自らが考え, 納得した決め方をしていけるような支援のあり方を検討するための重要な手がかりになると思われる.
  • 井上 みゆき
    2001 年 21 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 小児看護実践で看護婦が直面する倫理的問題とその問題を解決する看護婦の対応を明らかにすることを目的とした. 対象は,小児専門病院へ勤務する小児看護経験5年以上の看護婦18名である. データ収集は非構成面接を行い, 得られたデータから質的帰納的分析を行った.小児看護実践で看護婦が直面している倫理的問題は, 1) 延命治療の是非, 2) 医療の情報提供の不足, 3) 子どもの人権が尊重されていない, 4) 看護婦の継続教育の不足, 5) 快適な療育環境が提供されないの5つに分類された.
    看護婦は, 倫理的問題を感じてはいるが, 看護婦自身の問題と捉えていないために倫理的問題を解決する行動はとっていなかった. これらの問題を解決するためには, 1) 日々の看護実践を通じて自らの倫理的感受性を発達させる. 2) 看護婦が倫理的感受性を高めて行くことを助ける人的資源 (CNSなど). 3) 看護婦が患者の擁護者としての役目を果たせるよう, 看護婦のパワーで職場を変化させて行く必要性が示唆された.
  • 梅田 英子, 中村 慶子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 71-79
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 川村 佐和子
    2001 年 21 巻 1 号 p. 80-88
    発行日: 2001/04/05
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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